ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のカラム・ルーズ地区と県南西部のガッサーニーヤ村でムルシド派の住民が抗議するデモを行い、数千人が参加した。
抗議行動は、ヒムス市アダウィーヤ地区にある発電用電力供給装置の配給事務所で勤務していたハーディー・ムハンマド・カースィム氏とムハンマド・ワリード・ダルウィーシュ氏の2人が13日に誘拐され、その後殺害された事件を受けたもの。
武装グループは、2人が働いていた事務所を襲撃し、室内の備品を破壊したうえ、バイク1台、ノートパソコン、現金を奪って逃走した。
2人の遺体は、ヒムス市ハーリディーヤ地区の診療所の裏手で発見され、ザフラー病院に搬送された。
検視の結果、ムハンマド氏は頭部と胸部に銃弾を受けており、ハーディー氏も頭部と鎖骨上部に銃弾を受けていたことが判明した。いずれの遺体に明らかな拷問・暴行の痕が残されていた。
デモ参加者は、ヒムス県治安当局に対し、犯人の身元を明らかにし、正義のもとで裁くよう要求した。
また、ムルシド派の住民に対して繰り返される人権侵害を即刻停止し、彼らに必要な保護を提供するよう強く求めた。
過去数ヵ月間、ムルシド派の住民たちは国内各地で座り込みデモを繰り返し、彼らの宗教的聖域に対する攻撃の激化に抗議している。
なお、アサド政権が崩壊した2024年12月8日以降、ムルシド派60人以上が殺害されたことが記録されている。
ムルシド派は1923年にイマーム・サルマーン・ムルシドによって創設された新興宗派。
平和主義と非暴力の立場で知られている。長年にわたって社会的に疎外や差別を受けてきたが、紛争や敵対行動に関与した例は記録されていない。
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