ハサカ市でのシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)の戦闘にYPGが参戦(2015年6月27日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、25日にハサカ市内に侵攻したダーイシュ(イスラーム国)に対し、シリア軍、国防隊が反転攻勢を開始した。

クッルナー・シュラカー(6月27日付)、ARA News(6月27日付)によると、シリア軍、国防隊はこれにより、グワイラーン地区、ハムル・ヴィーラート地区の複数カ所を奪還し、ダーイシュは東ヌシューワ地区から撤退する一方、シリア軍は西ヌシューワ地区、ハムル・ヴィーラート地区、サカン・シャバービー地区、グワイラーン地区一帯を空爆・砲撃した。

また、クッルナー・シュラカー(6月27日付)によると、26日晩、東部地区(ダイル・ザウル県一帯)でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の指揮をとっているイサーム・ザフルッディーン准将とムハンマド・ハドゥール准将が、ハサカ市でのダーイシュ掃討を支援するために同市南部戦線のシリア軍、国防隊の拠点を視察した。

しかし、ドゥラル・シャーミーヤ(6月27、28日付)によると、ダーイシュはハサカ市内で進軍を続け、シリア軍が撤退したアズィーズィーヤ地区、ガズル地区に侵攻、またグワイラーン地区、市内中心部に続く橋に面したグワイラーン丘、さらには国防隊が拠点として使用していたハサカ市内のマディーナ・リヤーディーヤを制圧した。

これを受け、シリア政府とハサカ市を分割統治する西クルディスタン移行期民政局の人民防衛隊が戦闘に参加、アズィーズィーヤ地区一帯でダーイシュと交戦した。

なお、クッルナー・シュラカー(6月27日付)は、人民防衛隊は、ハサカ市での参戦の条件として、第123連隊基地の受け渡しなどを骨子とする条件をシリア軍側に提示したと報じた。

同報道によると、人民防衛隊が提示した条件とは以下の通り:①カウカブ山の第123連隊基地を明け渡す、②シリア軍はハサカ市内の政府関連庁舎のみに駐留する、③人民防衛隊のみが同地域に展開し、指揮権を掌握する、④シリア軍、サナーディード軍、ムハンマド・ファーリス氏らが率いる国防隊のすべての重火器を人民防衛隊に引き渡す。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合がダーイシュ(イスラーム国)の軍事拠点の一つ第17師団基地一帯、フルースィーヤ検問所一帯(ラッカ市北部)を空爆、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北部(アアザーズ市一帯)のジハード主義武装集団支配地域に燃料の搬入を許可した。

一方、SANA(6月27日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サフム・ジャウラーン村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団とシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団が交戦した。

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スワイダー県では、SANA(6月27日付)によると、ラジャム・ダウラ村一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月27日付)によると、ワーディー・マースィク一帯、アブー・ジャリース村、ジバーブ・ハマド村、ムシャイリファ村、ラスム・ハミーダ村、ウンム・サフリージュ村、ウンム・リーシュ村、タドムル市一帯、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(6月27日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、25万米ドル相当を横領したシリア軍離反士官でダーイシュ内の戦闘部隊(軍事評議会)の司令官を務めるムニール・マタル・ハンムード・アフマド大佐およびその部下多数を戦闘員を逮捕した。

AFP, June 27, 2015、AP, June 27, 2015、ARA News, June 27, 2015、Champress, June 27, 2015、al-Durar al-Shamiya, June 27, 2015、al-Hayat, June 28, 2015、Iraqi News, June 27, 2015、Kull-na Shuraka’, June 27, 2015、June 28, 2015、al-Mada Press, June 27, 2015、Naharnet, June 27, 2015、NNA, June 27, 2015、Reuters, June 27, 2015、SANA, June 27, 2015、UPI, June 27, 2015などをもとに作成。

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