ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はスプートニク・ニュース(5月4日付)のインタビューに応じ、米国とロシアが「アレッポを停戦対象地域(「講和規定」適用地域)に含めるために行動している」としつつ、米国がアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線を停戦の対象に含めようとしていると批判した。
そのうえで、米国に対して、トルコをはじめとする同盟国に対して「テロリストと「穏健な反体制派」を区別」し、シリアのすべての社会勢力をジュネーブでの交渉に参加させるため圧力をかけるよう呼びかけた。
一方、シリア国内で戦闘を続ける反体制武装集団について、「穏健な反体制派」を自認する組織は…ヌスラ戦線の支配地域にとどまり、空爆を回避したり、停戦を反故にしようとしているように感じる…。ロシアは力でシリアの危機を解決しようとはしていない…。しかし、ヌスラ戦線を支援して、停戦を反故にし、事態を力で解決するためにでき得ることなら何でもしようとする者がいる。しかしそうした者は完全に拒絶されることになろう」と厳しく非難、「多くの当事者」が停戦を妨害しようとしているとしたうえで、トルコを批判した。
他方、今月中に再開が予定されているシリア政府と反体制派の和平協議(ジュネーブ3会議第4ラウンド)に関して、リヤド最高交渉委員会の「無責任な振る舞い」ゆえに引き続き間接交渉となるだろうと述べた。
アサド大統領については「ところで、アサド氏は我々の同盟者ではない。我々は「テロとの戦い」とシリアという国家維持のために支援しているが、トルコが米国の同盟国であるようには、彼は我々の同盟者ではない」と述べた。
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ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、ラタキア県フマイミーム航空基地に駐留するロシア空軍のSu-25戦闘機30機を撤退させると発表した。
しかしコナシェンコフ報道官によると、この撤退はロシア軍のシリア領内での「テロとの戦い」には影響はないとしたうえで、過去4日間でラッカ県、ダイル・ザウル県、ヒムス県(アーラーク油田一帯)のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して87回の空爆を実施したことを明らかにした。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、Sputnik News, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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