米軍主導の有志連合はダーイシュの中心都市ラッカ市にビラを散布し、住民に退去を呼びかける(2016年5月20日)

ラッカ県では、『ハヤート』(5月21日付)などによると、米軍主導の有志連合がダーイシュ(イスラーム国)の中心都市であるラッカ市にビラを散布し、住民らに同地から退避するよう呼びかけた。

raqqa-sl.com, May 20, 2016

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これに関して、シリア人権監視団は、有志連合が初めて住民に退去を求めたと発表したが、トルコで活動する「ラッカは沈黙によって惨殺される」(http://www.raqqa-sl.com/)の創設者の一人で「アブー・ムハンマド」を名乗る活動家は、AFP(5月20日付)に対し、「有志連合がラッカ市にビラを散布し、住民に退去を求めるのはこれが初めてではない」と述べた。

「ラッカは沈黙によって惨殺される」が公開したビラには、「ダーイシュ・ラッカ州検問所」と書かれた標識から逃げ去る男性3人、女性1人、子供1人、そしてその背景に廃墟や戦闘員の遺体の絵が描かれ、「あなた方が待っていた時来た、ラッカを去る時が来た」などと書かれているという。

アブー・ムハンマドによると、今回散布されたビラのなかには「約束の時は近い、お前たちの終わりは近い」と書かれ、空爆を予告するビラもあったという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル航空基地に近いサルダ山、ダイル・ザウル南西部のパノラマ交差点一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、また同地に加えて、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ハミーディーヤ地区、工業地区を空爆した。

サルダ山での戦闘ではシリア軍の准将が戦死した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーイル油田一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地一帯を空爆した。

一方、SANA(5月20日付)によると、シリア軍がシャーイル油田一帯、ウンム・タバービール村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、スワイダー県との県境に位置する砂漠地帯でシリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

AFP, May 20, 2016、AP, May 20, 2016、ARA News, May 20, 2016、Champress, May 20, 2016、al-Hayat, May 21, 2016、Iraqi News, May 20, 2016、Kull-na Shuraka’, May 20, 2016、al-Mada Press, May 20, 2016、Naharnet, May 20, 2016、NNA, May 20, 2016、Reuters, May 20, 2016、SANA, May 20, 2016、UPI, May 20, 2016などをもとに作成。

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