ラタキア県ジャブラ市で4回、タルトゥース県タルトゥース市で3回にわたり爆発が発生し、多数の住民が死傷、現場近くの施設、車輌などが被害を受けた。
SANAの特派員が伝えたところによると、ジャブラ市で起こった4回の爆発のうち2回は、市内の旅客マイクロバス・ターミナルで起こり、多数が死傷し、現場周辺の車などが被害を受けた。
爆発は爆弾が仕掛けられた車によるものだった。
またにジャブラ国立病院の救急科入口で自爆ベルトを巻いた男性が自爆し、その直後に電力局近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発、多数が死傷、病院の施設や救急車輌が被害を受けた。
一方、タルトゥース市で起こった3回の爆発の爆発のうち2回は、郊外住宅地区に面する旅客マイクロバス・ターミナルの入口付近で発生、1回は爆弾がしかけられた車で、もう1回はこの車が爆発した直後に自爆ベルトを着用した男性による爆発で、通行中の住民多数が死傷した。
またターミナルでの最初の爆発の直後、郊外住宅地区で自爆ベルトを着用した男性が自爆した。
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シリア人権監視団(駐英)によると、23日午後の時点で7件の連続爆破テロによる死者数は145人(うちジャブラ市の旅客マイクロバス・ターミナルでのテロによる死者数は73人、タルトゥース市の旅客マイクロバス・ターミナルでのテロによる死者数は48人)、負傷者は200人に達しているという。
シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、今回の連続自爆テロは2011年春に「アラブの春」がシリアに波及して以降最大規模で、シリア政府の支持者が多いジャブラ市、タルトゥース市でこの種の大規模テロが発生するは1986年以来。
なお、『ハヤート』(5月24日付)によると、1986年にはタルトゥース市で死者144人、負傷者149人を出した連続爆破テロが発生、シリア政府はイラクのサッダーム・フサイン政権が関与していると断じていた。
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ムハンマド・シャッアール内務大臣は、ジャブラ市とタルトゥース市の連続爆破テロの現場を視察訪問した。
シャッアール内務大臣には、ラタキア県のイブラーヒーム・フドル・サーリム県知事、バアス党ラタキア支部のムハンマド・シュライティフ書記長が同行、大臣は記者団に対して、内務省が関係当局との協力のもと、事件の詳細を調査するための委員会を発足したことを明らかにした。
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SANA(5月23日付、5月25日付)によると、ジャブラ市とタルトゥース市で発生した連続爆破テロに対して、ロシア外務省、チェコ外務省、スペイン政府、ドイツ外務省、エジプト外務省、国連潘基文事務総長、ヒズブッラー、イラン外務省、イラク外務省、北朝鮮外務省などが非難声明を出した。
また、SANA(5月26日付)によると、中国外交部、南アフリカ国際関係協力省、ロシア下院(ドゥーマ)も25日、またSANA(5月27日付)によると、アルゼンチン外務省が27日に非難声明を出した。
AFP, May 23, 2016、AP, May 23, 2016、ARA News, May 23, 2016、Champress, May 23, 2016、al-Hayat, May 24, 2016、Iraqi News, May 23, 2016、Kull-na Shuraka’, May 23, 2016、al-Mada Press, May 23, 2016、Naharnet, May 23, 2016、NNA, May 23, 2016、Reuters, May 23, 2016、SANA, May 23, 2016、May 25, 2016、May 26, 2016、May 27, 2016、UPI, May 23, 2016などをもとに作成。
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