ヌスラ戦線は米国の支援を受ける「穏健な反体制派」のタフリール軍の拠点を襲撃し、司令官ら40人を拘束(2016年7月3日)

『ハヤート』(7月4日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線は、イドリブ県およびハマー県一帯で、「穏健な反体制派」と目されているタフリール軍の拠点を襲撃、幹部らを拘束した。

ARA News(7月3日付)によると、ヌスラ戦線によるタフリール軍幹部の拘束は、解放軍メンバーの汚職をめぐる意見の対立が背景にあるという。

タフリール軍はSNSを通じて声明を出し、イドリブ県カフルナブル市にあるムハンマド・アブドゥルハイ・アフマド司令官の父親の家がヌスラ戦線の襲撃を受け、アフマド司令官やその家族が連行され、またこのほかにもイドリブ県ザーウィヤ山一帯の拠点、ハマー県内の拠点が襲撃を受け、ハマー地区部門のウィワイス・ハマドゥー司令官ら40人以上が拘束されたと発表、幹部の釈放をヌスラ戦線側に求めるとともに、ヌスラ戦線以外の武装集団に対して停戦に向けた介入と、問題解決に向けた司法委員会設置を呼びかけた。

タフリール軍は2016年2月に、シャーム戦線、第46師団、第312師団、第9旅団、第314ハック中隊によって結成された組織で、4,000人の戦闘員を擁し、米国から「穏健な反体制派」とみなされ、支援を受けていた。

ヌスラ戦線が「穏健な反体制派」を襲撃するのは、米・ロシアが敵対行為停止合意を発効した2月27日以降では、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市の第13師団の拠点襲撃に次いで2度目。

なお、第13師団はその後、アレッポ県西部でヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなる「新生ファトフ軍」との共闘関係を強めるようになった。

AFP, July 3, 2016、AP, July 3, 2016、ARA News, July 3, 2016、Champress, July 3, 2016、al-Hayat, July 4, 2016、Iraqi News, July 3, 2016、Kull-na Shuraka’, July 3, 2016、al-Mada Press, July 3, 2016、Naharnet, July 3, 2016、NNA, July 3, 2016、Reuters, July 3, 2016、SANA, July 3, 2016、UPI, July 3, 2016などをもとに作成。

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