シリア軍とロシア軍はファトフ軍の「アレッポ大血戦」の戦いに対抗してアレッポ市南部郊外を激しく爆撃(2016年8月2日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍およびシリア軍が1日晩から2日にかけて、新生ファトフ軍(シャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動など)による「アレッポ大血戦」の戦いの進軍に対抗して、アレッポ市南部郊外一帯に対して断続的に大規模空爆を実施、またロシア軍と思われる戦闘機がアターリブ市を空爆、子供1人を含む民間人11人が死亡した。

なお、ロシア軍とシリア軍の航空支援を受けたシリア軍は、新生ファトフ軍によって制圧された拠点8カ所のうちの5カ所を奪還した。

一方、SANA(8月2日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市サラーフッディーン地区、マシャーリカ地区、ハムダーニーヤ地区、サアドッラー・ジャービリー公園地区、県知事邸一帯を砲撃し、2人が死亡、23人が負傷した。

他方、ジョン・ケリー米国務長官は「ロシアとアサド政権は攻撃を停止する必要があり、反体制派が戦闘の当事者にならないよう促すのは我々の責任だ」と述べ、ロシアとシリアの両政府に自制を促した。

AFP(8月2日付)が伝えた。

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ハマー県では、SANA(8月2日付)によると、シリア軍がザーラ村郊外の火力発電所一帯に侵攻した反体制武装集団(ファトフ軍)と交戦、これを撃退した。

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ダルアー県では、SANA(8月2日付)によると、シリア軍がダルアー市郊外のナツメヤシ農場一帯で反体制武装集団と交戦した。

また反体制武装集団は、タッル・シハーブ町の国民和解委員会責任者のアブドゥルカリーム・ウムヤーン氏を誘拐する一方、2016年政令第15号に従って当局に投降するためダルアー市に向かっていた反体制武装集団戦闘員14人を拉致した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月1日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県、ラタキア県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は913件。


AFP, August 2, 2016、AP, August 2, 2016、ARA News, August 2, 2016、Champress, August 2, 2016、al-Hayat, August 3, 2016、Iraqi News, August 2, 2016、Kull-na Shuraka’, August 2, 2016、al-Mada Press, August 2, 2016、Naharnet, August 2, 2016、NNA, August 2, 2016、Reuters, August 2, 2016、SANA, August 2, 2016、UPI, August 2, 2016などをもとに作成。

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