ファトフ軍がアレッポ市南西部のシリア軍士官学校(砲兵学校)一帯に侵攻し、シリア軍と一進一退の攻防を繰り広げる(2016年8月5日)

アレッポ県では、SANA(8月5日付)によると、シリア軍地上部隊が予備部隊の支援を受けアレッポ市南西部郊外に位置する軍士官学校(砲兵学校)一帯の拠点を強化し、反体制武装集団(新生ファトフ軍)と交戦、これを撃退した。

この戦闘で、シリア軍は反体制武装集団の戦車6輌などを破壊、戦闘員300人以上を殲滅、そのなかにはシャーム自由人イスラーム運動、シャーム戦線、シャーム軍団、イスラーム軍、イスラーム・トルクメン党の幹部数十人が含まれているという。

またシリア空軍は、地上部隊の迎撃と並行して、ハーン・トゥーマーン村から軍士官学校にいたる回廊、ヒクマ学校から軍士官学校にいたる回廊、バーズー丘から軍士官学校にいたる回廊、ズィルバ村からアレッポ市にいたる回廊、アウラム・クブラー町からアレッポ市にいたる回廊一帯を空爆した。

SANA, August 5, 2016

SANA, August 5, 2016

これに対して、反体制武装集団はアレッポ市ハムダーニーヤ地区を砲撃し、子供3人を含む5人が死亡、5人が負傷した。

一方、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)などのジハード主義主義武装集団からなる新生ファトフ軍と、ジハード主義武装集団と「穏健な反体制派」の混成組織の双方に参加するシャーム自由人イスラーム運動は、この戦闘で軍士官学校を完全掌握したと発表した。

Kull-na Shuraka', August 5, 2016

Kull-na Shuraka’, August 5, 2016

なお、シリア人権監視団は、アレッポ市南部郊外一帯での戦闘に関して「特筆すべき進展はなかった」と評する一方で、「アレッポ市マルジャ市でシリア軍かロシア軍か確認できない戦闘機が行った「虐殺」によって、子供7人を含む民間人10人が死亡した」と発表した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がアルバイン市、カフルバトナー町、ジスリーン町、アイン・タルマー村・ハッザ町間、マディーラー市、シャイフーニーヤ村、フーシュ・ファーラ村を空爆し、一家5人全員が死亡した。

またフーシュ・ファーラ村とマイダアーニー村を結ぶ回廊一帯では、シリア軍とジハード主義武装集団が交戦を続けた。

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ダルアー県では、SANA(8月5日付)によると、シリア軍がダルアー市ハマーディーン地区、避難民キャンプ一帯、中心街、カラク地区、西ガーリヤ村などでシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)などからなる反体制武装集団と交戦した。

一方、ARA News(8月5日付)によると、南部戦線(自由シリア軍)に所属するスンナ青年師団のメンバーによる「反乱」が失敗に終わり、アフマド・アウダ司令官が復職した。

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イドリブ県では、SANA(8月5日付)によると、シリア軍がウンム・ハーラタイン村西部でファトフ軍の拠点に対して特殊作戦を行い、戦闘員28人を殲滅した。

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ハマー県では、SANA(8月5日付)によると、シリア軍がタマーニア町でシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)の拠点を攻撃し、戦闘員9人を殲滅した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月3日に8件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県、ダマスカス県ジャウバル区、ラタキア県で発生したという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は928件。

AFP, August 5, 2016、AP, August 5, 2016、ARA News, August 5, 2016、Champress, August 5, 2016、al-Hayat, August 6, 2016、Iraqi News, August 5, 2016、Kull-na Shuraka’, August 5, 2016、al-Mada Press, August 5, 2016、Naharnet, August 5, 2016、NNA, August 5, 2016、Reuters, August 5, 2016、SANA, August 5, 2016、UPI, August 5, 2016などをもとに作成。

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