アル=カーイダ系のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍はアレッポ市東部に対するシリア軍の包囲解除を達成したと発表、シリア軍側はこれを否定(2016年8月6日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月6日付)、ARA News(8月6日付)、シリア人権監視団などによると、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団などからなるファトフ軍が、アレッポ市南西部で進攻を続け、シリア軍、シリア人・外国人民兵組織と激しく交戦、これを受け、シリア軍は同地を砲撃、戦闘機(所属明示せず)が同地一帯を数十回にわたって空爆した。

この戦闘で、ファトフ軍に所属する武装集団はSNSを通じて、士官学校(砲兵科、兵器科、航空技術科)、アレッポ市シャイフ・サイード地区内の主要施設(セメント工場、ガス工場など)、ハムダーニーヤ地区、サラーフッディーン地区、3000集合住宅計画地区、ラームーサ地区、アーミリーヤ村、マフルーカート丘を制圧したと次々と発表した。

Kull-na Shuraka', August 6, 2016

Kull-na Shuraka’, August 6, 2016

Kull-na Shuraka', August 6, 2016

Kull-na Shuraka’, August 6, 2016

この戦闘に関して、シャーム自由人イスラーム運動は、ロイター通信(8月6日付)に対して、アレッポ市南西部のラームーサ地区を完全制圧し、同市東部への街道を解放したと述べた。

また、ヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)も「アレッポ市外のムジャーヒディーンは、市内の同胞と再会、包囲解除に向けて残された拠点制圧への活動を継続する」と発表した。

さらにトルコのイスタンブールで活動するシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍がアレッポ市東部に対するシリア軍の包囲解除を達成したと発表した。

Kull-na Shuraka', August 6, 2016

Kull-na Shuraka’, August 6, 2016

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一方、ファトフ軍と連携し、5日にアレッポ市東部に対する包囲解除に向けた作戦の開始を宣言していたアレッポ・ファトフ軍作戦司令室は、シリア政府支配下のアレッポ市内の住民に向けて声明を出し、「家に入れば安全だ、モスクに入れば安全だ、教会に入れば安全だ、武器を棄てれば安全だ」と呼びかけた。

Kull-na Shuraka', August 6, 2016

Kull-na Shuraka’, August 6, 2016

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しかし、SANA(8月6日付)は、シリア軍地上部隊が予備部隊の支援を受け、レッポ市南部郊外および南西部郊外に潜入を試みた反体制武装集団と激しく交戦、また空軍が同地一帯を空爆し、反体制武装集団の動きを封じたと報じ、アレッポ市東部包囲解除を否定した。

シリア軍消息筋によると、反体制武装集団はアレッポ市東部に対するシリア軍の包囲解除を試みたがこれに失敗、しかし反体制武装集団の殺戮に協力する複数のメディアが、心理戦をしかけ、多数のねつ造画像・映像を配信、市民の心理や世論を揺さぶり、反体制武装集団側の被害を隠蔽しようとしているのだという。

またSANA(8月6日付)によると、反体制武装集団はアレッポ市ハムダーニーヤ地区、サラーフッディーン地区を砲撃し住民10人が死亡した。

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なお、アレッポ市南西部以外では、シリア人権監視団によると、アレッポ市北部のハンダラート・キャンプ一帯でシリア軍、クドス旅団(パレスチナ人)などからなる民兵組織が、反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)と激しく交戦した。

AFP, August 6, 2016、AP, August 6, 2016、ARA News, August 6, 2016、Champress, August 6, 2016、al-Hayat, August 7, 2016、Iraqi News, August 6, 2016、Kull-na Shuraka’, August 6, 2016、al-Mada Press, August 6, 2016、Naharnet, August 6, 2016、NNA, August 6, 2016、Reuters, August 6, 2016、SANA, August 6, 2016、UPI, August 6, 2016などをもとに作成。

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