トルコ・サウジアラビア外相は「シリアの友連絡グループ」外相級会合でのリヤド最高交渉委員会の提案に準じるかたちで移行期におけるアサド大統領の役割を拒否(2016年9月8日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は首都アンカラでサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣と会談し、シリア、イエメン、イラク情勢への対応などについて意見を交わした。

アナトリア通信(9月8日付)が伝えたところによると、会談でチャヴシュオール外務大臣は、シリア情勢に関してジュバイル外務大臣とヴィジョンのすり合わせを行い、移行期においてアサド大統領の役割を認めないことを確認したという。

チャヴシュオール外務大臣は会談の席で「60万人の国民に死をもたらした人物がとどまることは、シリアで混乱が続くことを意味する…。アサドは当初から政治的変化に資する機会を逸していた」と述べたという。

トルコ政府は最近になって、アサド政権の存続を認めるような発言をしていたが、5~6日にロンドンで開催された「シリアの友連絡グループ」外相級会合では、サウジアラビアが後援するリヤド最高交渉委員会がアサド大統領の大臣を前提とした移行プロセスを改めて求めていた。

またアレッポ市北部で反体制武装集団と行っている「ユーフラテスの盾」作戦に関して、チャヴシュオール外務大臣は「いわゆるマンビジュ・ポケット(ジャラーブルス市南部一帯)からダーイシュ(イスラーム国)を閉め出し、同地からテロリスト(西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊のこと)を浄化したうえで、安全保障地帯の設置を促さねばならない」と述べたという。

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アレッポ県では、ARA News(9月8日付)によると、トルコ軍が西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアフリーン市郊外のトルコ国境沿いのマイダーン・イクビス村に近いイスラヒイェ市(ガジアンテップ県)に戦車、装甲車など多数を増派した。

AFP, September 8, 2016、Anadolu Ajansı, September 8, 2016、AP, September 8, 2016、ARA News, September 8, 2016、Champress, September 8, 2016、al-Hayat, September 9, 2016、Iraqi News, September 8, 2016、Kull-na Shuraka’, September 8, 2016、al-Mada Press, September 8, 2016、Naharnet, September 8, 2016、NNA, September 8, 2016、Reuters, September 8, 2016、SANA, September 8, 2016、UPI, September 8, 2016などをもとに作成。

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