シリア人権監視団は、ロシア軍がシリア空爆を開始した2015年9月30日から2016年9月30日までの1年間で、ロシア軍の空爆による死者数が確認し得るだけで9,364人にのぼっていると発表した。
死者9,364人のうち、民間人は3,804人(うち18歳未満の子供は906人)、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーは2,746人、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)を含む反体制武装集団メンバーは2,814人。
同監視団はまた、過去1年間でロシア軍の空爆で2万人以上が負傷したと発表、さらに8月末までの11ヶ月間で59の医療センターが破壊されたと付言した。
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一方、世界保健機構(WHO)は、米・ロシアの新停戦合意が反故となった9月19日以降、アレッポ市東部で338人が死亡(うち106人が子供)、846人が負傷(うち261人が子供)したと発表した。
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なお、シリア人権監視団は約1年前の2015年8月6日、「シリア内戦」での死者が24万381人に達したと発表、また約半月前の2016年9月13日、死者数が30万1,781人を記録したと発表しており、約1年間での死者総数(両者の差)は、6万1,400人となる。
すなわち、ロシア軍の空爆による死者数9,364人は、過去1年間での死者総数の約15%にあたる。
ただし、シリア人権監視団はシリア国内での空爆に関して、シリア軍、ロシア軍のいずれによるものかを区別せずに発表しているため、どのようにロシア軍の被害を抽出したのかは不明である。
AFP, September 30, 2016、AP, September 30, 2016、ARA News, September 30, 2016、Champress, September 30, 2016、al-Hayat, October 1, 2016、Iraqi News, September 30, 2016、Kull-na Shuraka’, September 30, 2016、al-Mada Press, September 30, 2016、Naharnet, September 30, 2016、NNA, September 30, 2016、Reuters, September 30, 2016、SANA, September 30, 2016、UPI, September 30, 2016などをもとに作成。
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