ロシア軍とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室の停戦交渉を仲介するトルコはアレッポ市東部での戦闘停止の見返りとしてバーブ市確保をめざす(2016年12月5日)

『ハヤート』(12月5日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、トルコの首都アンカラで行われているアレッポ市東部での戦闘停止に向けたロシア軍と反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室所属組織)の停戦交渉に関して、仲介役であるトルコがアレッポ市東部からの反体制武装集団の退去の見返りとして、アレッポ県におけるダーイシュ(イスラーム国)の最後の拠点都市バーブ市を確保を狙っていると伝えた。

バーブ市は現在、アレッポ市東部で籠城を続けるアレッポ・ファトフ軍作戦司令室に所属するヌールッディーン・ザンキー運動、シャーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動などから構成されるハワール・キリス作戦司令室が「ユーフラテスの盾」作戦を遂行し、アレッポ県北部からのダーイシュと西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の排除をめざしているが、トルコはこれを全面支援、航空部隊、戦車部隊を投入、バーブ市2キロの距離にまで迫っている。

なお、アンカラでの停戦交渉には、シリア軍とともにアレッポ市東部の完全制圧をめざす親政権武装勢力を支援するイランは参加していないが、イランはロシアとトルコの取引に対して拒否の姿勢を示しているという。

また、10月までロシアとともにシリア国内での停戦プロセスに関与してきた米国も、交渉から排除されているが、アレッポ市東部から、シャーム・ファトフ戦線だけではく、そのほかの武装集団を退去させることについても視野に入れているという。

AFP, December 4, 2016、AP, December 4, 2016、ARA News, December 4, 2016、Champress, December 4, 2016、al-Hayat, December 5, 2016、Iraqi News, December 4, 2016、Kull-na Shuraka’, December 4, 2016、al-Mada Press, December 4, 2016、Naharnet, December 4, 2016、NNA, December 4, 2016、Reuters, December 4, 2016、SANA, December 4, 2016、UPI, December 4, 2016などをもとに作成。

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