ダマスカス郊外県バラダー渓谷、東グータ地方で戦闘を続ける反体制武装集団に対して、ロシアだけでなくトルコも戦闘停止の圧力を強め、反体制派のアスタナ会議への参加を求める(2017年1月12日)

『ハヤート』(1月13日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、ロシア、トルコ両国が、1月23日にカザフスタンの首都アスタナで開幕予定のシリア政府と反体制武装集団の和平協議(アスタナ会議)を控え、反体制派に会議への参加条件を提示したと伝えた。

同紙によると、トルコの首都アンカラで11、12日、ロシア、トルコ両国の高官、反体制武装集団を含む反体制派の幹部・代表約100人が会合を開き、アスタナ会議への対応について意見を交わした。

この会合で、ロシア、トルコ両国は、アスタナ会議参加の条件を書面で提示したという。

この書面には、①首都ダマスカスの主要な水源であるダマスカス郊外県バラダー渓谷および同県東グータ地方での停戦違反の停止、②アスタナ会議の議事次第に従うこと、③リヤド最高交渉委員会の会議への参加を認めること、④反体制派の参加を求めるシリアの友連絡グループ諸国の助言を受け入れること、⑤そうすることで、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が2月8日開催に向けて準備を進めているスイスの首都ジュネーブでの和平協議(ジュネーブ4会議)を促すこと、などがあげられているという。

複数の消息筋によると、この条件提示に対して、一部の参加者が拒否の姿勢を示したが、トルコの高官は、彼らに対して圧力をかけて応じるよう要請、アスタナ会議への参加を求めたという。

なお、ダマスカス郊外県バラダー渓谷の反体制武装集団は、アル=カーイダ系のシャーム・ファトフ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなり、東グータ地方の武装集団は、非アル=カーイダ系のイスラーム軍、ラフマーン軍、そしてアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動などからなる。

AFP, January 12, 2017、AP, January 12, 2017、ARA News, January 12, 2017、Champress, January 12, 2017、al-Hayat, January 13, 2017、Iraqi News, January 12, 2017、Kull-na Shuraka’, January 12, 2017、al-Mada Press, January 12, 2017、Naharnet, January 12, 2017、NNA, January 12, 2017、Reuters, January 12, 2017、SANA, January 12, 2017、UPI, January 12, 2017などをもとに作成。

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