イドリブ県北部およびアレッポ県西部(アレッポ市西部郊外)一帯では、『ハヤート』(1月26日付)などによると、アル=カーイダ系組織のシャーム・ファトフ戦線が、「穏健な反体制派」と目されるムジャーヒディーン軍、シャームの鷹旅団、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、そして両組織が参加するシャーム戦線所属組織との戦闘を続けた。
シリア人権監視団によると、この戦闘により、シャーム自由人イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などからなる反体制武装集団は、イドリブ県ザーウィヤ山の村々、マアッラト・ヌウマーン市一帯などからシャーム・ファトフ戦線を放逐する一方、シャーム・ファトフ戦線はアレッポ県のアナダーン市、カフルハムラー村、ハーン・アサル村、フライターン市、カフルナーハー村、アウラム・クブラー町、アレッポ市西部郊外、同市北西部郊外、そして北部郊外を掌握したという。
この戦闘で、シャームファトフ戦線の司令官1人を含む7人を殺害、民間人5人が死傷、双方が多数の戦闘員を捕捉したという。
**
シャームファトフ戦線は声明を出し、アレッポ市西部およびイドリブ県でのムジャーヒディーン軍拠点制圧に関して、「和解や停戦の計略は…アサド大西との和平へと革命を逸脱させる」ものだとアスタナ会議に参加した反体制武装集団を非難、「陰謀を挫折させ、未然に防ぐために抵抗し、輸入された計画を頓挫させる」ための介入だと主張、その目的が「殺戮ではなく戦闘にある」と正当化した。
**
シャーム自由人イスラーム運動の司令官アリー・ウマル・アブー・アンマール氏は音声声明(https://youtu.be/DYlODKJwUN8)を出し、「武装組織どうしの戦闘発生を許さない…。戦闘発生を受け即時に部隊を総動員し、侵略者に対抗する」としたうえで、「シャーム・ファトフ戦線だけが司法に判断に委ねることを拒否した唯一の当時者」だと非難し、「我々のジハードを無に帰するような者は決して許さない」と厳正な態度で臨む意思を表明した。
**
ヌールッディーン・ザンキー運動は声明を出し、シャーム・ファトフ戦線とムジャーヒディーン軍などの戦闘において「中立姿勢をとる」と宣言した。
**
ファトフ軍に所属するハック旅団は声明を出し、シャーム・ファトフ戦線とムジャーヒディーン軍などの戦闘において「中立姿勢をとる」と宣言した。
**
イドリブ県のサラーキブ市で活動する5組織は共同声明を出し、シャーム・ファトフ戦線と、ムジャーヒディーン軍、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの鷹旅団、シャーム戦線との戦闘に関して、サラーキブ市を中立地帯に設定し、戦闘に関与しないと宣言した。
共同声明を出したのは、民間平和運動体、サラーキブ革命評議会、サラーキブ名士評議会、自由イドリブ県警察、地元評議会。
**
シャーム・ファトフ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団などからなるファトフ軍の治安部隊は声明を出し、シャーム・ファトフ戦線とムジャーヒディーン軍などとの戦闘に巻き込まれることを回避するため、戦闘地域から撤収すると発表した。
共同声明には、シャーム・ファトフ戦線、ハック旅団、シャーム軍団、シャームの鷹旅団、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、スンナ軍、シャーム自由人イスラーム運動の代表7人が署名している。
AFP, January 25, 2017、AP, January 25, 2017、ARA News, January 25, 2017、Champress, January 25, 2017、al-Hayat, January 26, 2017、Iraqi News, January 25, 2017、Kull-na Shuraka’, January 25, 2017、al-Mada Press, January 25, 2017、Naharnet, January 25, 2017、NNA, January 25, 2017、Reuters, January 25, 2017、SANA, January 25, 2017、UPI, January 25, 2017などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.