ロシアが作成した「シリア憲法」草案の内容とシリア政府の修正提案の内容が明らかに:ロジャヴァ、地元評議会の権限を認めず、再選時の大統領の任期は憲法ではなく特別憲法法廷が決定(2017年1月27日)

『ハヤート』(1月27日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、1月23~24日にカザフスタンのアスタナで開催されたシリア政府と反体制派の和平協議(アスタナ会議)で、ロシアが反体制派に提示した「シリア憲法」草案のコピーを入手したと伝え、その概要を明らかにした。

シリア政府はこれまで、ロシア側から政治移行プロセスに向けた新憲法案が提示されたことを否定していた。

「シリア憲法」草案は全24頁、85条からなっており、『ハヤート』が入手したコピーには、シリア政府による修正提案が手書きで書き込まれていたという。

この修正提案は、シリア政府からロシアおよびイランに対してさらなる文言の推敲を求めるために書き込まれたものだという。

「シリア憲法」草案とシリア政府が示した修正提案の概要は以下の通り:

表題:「シリア共和国憲法」。シリア政府は国号の変更、およびクルド人の権利を明文化することを拒否。

第8条第7項:「政権移行」の文言に対して、シリア政府は「憲法と法律が定めた平和的かつ民主的な方法での政権交代」との文言への修正を要求。

第4条第8項:「クルド人の文化的自治機関はアラビア語とクルド語を等しく用いる」との文言に関して、シリア政府は、私立学校での非アラビア語の使用を認めつつ、「各地域においては、公用語(アラビア語)に加えて、大多数の住民が使用する言語を地域での新任投票によって合意のうえ用いる」との文言への修正を要求。

第9条:「シリア領土の分割や国境変更は、国民の意思によって実施される国民投票以外の手段では変更し得ない」との文言全文の削除を要求。

第10条:シリア政府以外の武装組織を結成を定めた条文に関しては、「政治、住民の脅迫、移行プロセスにおける非政府系の武装集団の投入を禁止する」との文言への変更を要求。

第15条:「行政ユニット」との文言を削除し、「地方自治体」への変更を要求。

第40条:「「地方ユニット」の代表者の立法、地方自治への参加を保証するための地域団体のを設置する」(第1項)を含む全文の削除を要求。

第49条:現職大統領の再選資格に関して、「同一人物の大統領の再選は、現在の任期に引き続き1度だけ認められる」との文言を、「2期連続で認められる」との文言に変更することを要求。

第50条:大統領就任資格(40歳以上、シリア国籍)の文言を現行憲法の文言に戻すよう要求。

第55条:大統領の職務に関して「三権の仲介、および国家と社会の仲介を職務とし、合意に基づく措置を通じて国家機関間の対立を収束させる権限を有する」、「幹部公務員を任命する」、「大統領は立法権も有する」といった文言への修正を求める。

第82条:大統領の任期に関して「大統領の権限は就任宣誓から7年で失効し、大統領は再立候補の権利があり、その任期については特別憲法法廷が判断を下す」。

al-Hayat, January 27, 2017をもとに作成。

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