首都ダマスカスの水源を擁するアイン・フィージャ町をシリア軍が制圧、シャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団戦闘員はイドリブ県に退去予定(2017年1月28日)

ダマスカス郊外県では、SANA(12月28日付)、シリア人権監視団などによると、シリア軍が首都ダマスカスの主要な水源であるバラダー渓谷アイン・フィージャ町の揚水施設一帯を制圧した。

ARA News, January 28, 2017

ARA News, January 28, 2017

同地の制圧は、シリア政府と反体制武装集団の間の停戦合意を受けたもので、シャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団の戦闘員は、同戦線やシャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の支配下にあるイドリブ県方面に退去し、退去を希望しない戦闘員は武器を棄て、当局に投降する予定。

シリア人権監視団によると、停戦合意は、シリア政府側の代表者と地元の代表者によって交わされたという。

だが、イドリブ県(およびアレッポ県西部)では、ムジャーヒディーン軍の拠点に対するシャーム・ファトフ戦線の攻撃に端を発する武力衝突が、シャーム・ファトフ戦線と、シャーム自由人イスラーム運動のもとに糾合した反体制武装集団の間で激化している。

ヒズブッラーの戦争広報局によると、シリア軍部隊が28日早朝、揚水施設のあるアイン・フィージャ町に入り、同施設にシリア国旗を掲揚、また修復作業チームが施設の修理に向けた準備を行っているという。

Kull-na Shuraka', January 28, 2017

Kull-na Shuraka’, January 28, 2017

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍のアイン・フィージャ町への進駐を受け、反体制武装集団は撤退を開始したという。

SANA(1月28日付)によると、ダマスカス郊外県のアラー・イブラーヒーム県知事は記者団らに対し、シリア軍がアイン・フィージャ町の揚水施設内の爆発物の処理に当たっており、この作業が終了したのち、揚水施設の修理が行われることを明らかにした。

SANA, January 28, 2017

SANA, January 28, 2017

**

同じく、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市一帯で、シリア軍、親政権武装勢力がウンマの曉旅団と交戦、シリア軍が同地一帯を砲撃した。

AFP, January 28, 2017、AP, January 28, 2017、ARA News, January 28, 2017、Champress, January 28, 2017、al-Hayat, January 29, 2017、Iraqi News, January 28, 2017、Kull-na Shuraka’, January 28, 2017、al-Mada Press, January 28, 2017、Naharnet, January 28, 2017、NNA, January 28, 2017、Reuters, January 28, 2017、SANA, January 28, 2017、UPI, January 28, 2017などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.