アサド大統領はベルギー・メディアの取材に応じる「国民を守るとき、国際刑事裁判所などの国際機関のことなど気にしてはいられない」(2017年2月7日)

アサド大統領は、ベルギー連邦議会議員団(フィリプ・ドゥウィンター議員が団長)のシリア訪問に同行した独国メディアのインタビューに英語で応じた。

映像(https://www.youtube.com/watch?v=c8S22Lpwr2Q&feature=youtu.be)、英語全文(http://sana.sy/en/?p=99676)、アラビア語全訳(http://www.sana.sy/?p=505825)はSANAが配信した。

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, February 7, 2017

SANA, February 7, 2017

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「和平をどのように見るかは、アスタナ(での和平会議)だけの問題ではない。それはもっと大きな問題だ。どのようにシリアへのテロリストの流入を食い止めるのか、どのようにトルコ、湾岸諸国といった地域諸国、フランスや英国といった欧州諸国、そしてオバマ政権下の米国から(テロリストへ)の支援を食い止めるか。この問題に対処すれば、政治的な手順などその他の問題について話すことができるだろう。アスタナはシリアをめぐる戦争のなかで出てきたイニシアチブの一つで、シリア人どうしの対話にかかわるものだ。アスタナの是非を判断するのは時期尚早だ…。和平とは二つのものから成り立っている。第1に、テロリストやテロと戦うこと、テロの流れや兵站支援を食い止めること、第2に、シリア人どうしの対話を通じて国の未来を決することだ」。

「(停戦合意は)死んでいない。どの停戦にも…違反はつきものだ。それは個人レベルで行われるときもある…。だがそれは、政府、ないしはそのほかの当事者に停戦違反を行うという政策があることを意味しない」。

「(ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦いで「あらゆる手段」が許されると思うか、との問いに対して)「あらゆる手段」で何を意味しているかが分からないが…、それが軍事的手段という意味であれば、もちろん許される…。しかし、私はダーイシュだけについて話しているのではない。ダーイシュ、ヌスラ戦線(旧シャーム・ファトフ戦線、現シャーム解放機構)、そしてシリア国内にいるアル=カーイダ系の組織は、民間人を攻撃、殺害、誘拐し、公共財産、私有財産、インフラなどこの国を破壊しようとしている…。我々の憲政上の義務、政府、軍、国家としての義務はシリア国民を守ることにだる。これには別の選択肢はない。義務だ」。

「アル=カーイダ、ヌスラ戦線、ダーイシュについて話す時、この世界に彼らが対話しようとしていると信じている者などいないと考えている…。彼らは自分勝手なイデオロギー、路線を持っているだけで、市民国家に関わるすべてを受け入れようとしない…。だから、ヌスラ戦線やアル=カーイダとの対話というのは(問題解決の)手段ではない。ただ、誰かが個人レベルで自分の進路を変えたいというのであれば、政府としてそうした個人を受け入れ、恩赦を与える用意はある」。

「ベルギーがダーイシュに対する作戦に貢献していると言っても、実際にはダーイシュに対する作戦などなかった。うわべだけの作戦があっただけだ…。米主導の有志連合は幻想の連合に過ぎなかった。なぜならこのその作戦期間中もダーイシュは拡大したからだ。しかも、この作戦はシリア政府の許可を得ない…違法な作戦で、主権侵害だ。さらに、その作戦はシリアの市民がダーイシュに殺害されることを何ら阻止しなかった…。率直に言って、ベルギーは貢献などしていない」。

「シリア国民が(自分以外の)別の大統領を選べば、退くことを選択するまでもない。私は退き、この地位ではなくなるだけだ。それは当たり前のことだ」。

「(アサド家が行政府にいないシリアを想像できるか、との問いに対して)もちろんできる。我々はこの国を所有しているわけでなはないし、私の家族が所有しているわけでもない…。(ハーフィズ・)アサド大統領には制度上後継者はいなかった…。彼が死んで、私が選ばれただけだ。彼は私の選挙とは何の関係もなかった」。

「(EUやNATOに関して)シリアを破壊している限り、復興で役割を果たすことはできない。なぜなら、EUは、人道、穏健といった名目で当初からシリアのテロリストを支援してきた。実際に、ヌスラ戦線やダーイシュを当初から支援してきた…。何よりもまず、EUはテロリストへの支援を止め、シリアの主権についての立場を明確にさせねばならない。そうすれば、シリア人はEU諸国が役割を果たすことを受け入れるだろう」。

「トランプ新大統領は、ダーイシュなどのテロリストとの戦いを優先させると選挙期間中、そして選挙後に約束したのを耳にした…。だから私は見込みがあると考えている。だが、我々は待たねばならず、何かプラクティカルなものを期待するには時期尚早だ。米国とロシアが協力すれば、それはシリア以外の世界にとっても良いことだと思う」。

「すべての過ちが後悔すべきものだ。個人による過ちであれ…、人間として過ちであれ。私は人間として過ちを当然犯している。そうでなければ、人間ではない…。過ちというのは…状況によって変わってくるが、(現下の)危機についていうと…、我々がその当初に行った三つの決定、テロとの戦い、シリア人どうしによる対話、あらゆる政治的イニシアチブに応えること…、これらは正しかったと思っている」。

「サウジアラビア、カタール、トルコ、フランス、英国、米国といった国がシリアを不安定化させようとする悪意を持っていたがゆえ、戦争は避けられなかった。これはシリア人の問題ではない」。

「我々はみな、国連機関が偏っていない訳ないと考えている。なぜなら、米国、フランス、英国の影響下にあるからだ。国連機関のほとんどは、世界に平和をもたらしたり、真実を究明したりするために活動してはいない。それらは、各国のアジェンダを実行に移すために政治化している。私は、大統領として…国を守るという義務を果たす時、この問題を気に留めることはない。我々はあらゆる手段で国を守らねばならない。そしてあらゆる手段で国を守らねばならないとき、この法廷(国際刑事裁判所)などの国際機関のことなど気にしてはいられない」。


AFP, February 7, 2017、AP, February 7, 2017、ARA News, February 7, 2017、Champress, February 7, 2017、al-Hayat, February 8, 2017、Iraqi News, February 7, 2017、Kull-na Shuraka’, February 7, 2017、al-Mada Press, February 7, 2017、Naharnet, February 7, 2017、NNA, February 7, 2017、Reuters, February 7, 2017、SANA, February 7, 2017、UPI, February 7, 2017などをもとに作成。

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