ティラーソン米国務長官がトルコでエルドアン大統領と会談「アサド大統領の進退は長期的に見てシリア国民が決することになる」(2017年3月30日)

米国のレックス・ティラーソン国務長官がトルコを訪問し、首都アンカラでレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、メヴリュト・チャヴシュオール外務大臣、と会談した。

ティラーソン国務長官は会談後の記者会見で、シリア国内での「安全地帯」の設置について集中的に協議を行ったことを明らかにした。

AP, March 30, 2017

また、トルコをダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」の主要なパートナーと位置づけ、両国の間にいかなる亀裂もないと強調しつつ、トルコ側が西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍によるラッカ市攻略への参加を拒否したことを示唆した。

一方、イランへの対応をめぐっては、勢力拡大を抑止することが両国の共通の目的であると述べた。

アサド大統領の進退に関して、ティラーソン国務長官は、「移行プロセスやシリアの未来の一部をなすことはあり得ない」としつつ、「長期的に見てシリア国民が決することになろう」と述べた。

これに関して、ニッキー・ヘイリー米国連大使は「シリアにおける米国の最優先課題はもはやアサド大統領の退陣ではない」と述べた。

また、マシュー・ライクロフト英国連大使は、アサド大統領の進退を国民が決するというティラーソン国務長官の発言について英国の方針と矛盾していないとしたうえで、「シリア国民は自らの政治的な未来に誰が必要で誰が不要かを知っている…。アサドに対する我々の姿勢に変化はない…。交渉による政治的解決の一環として彼は去らねばならない」と述べた。

フランスのフランソワ・デラットル国連大使も「アサドはシリアの未来の一部とはなり得ない」と断じた。

一方、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、「米国との実質的協力が拡大、深化するだろう…。多くの発言にもかかわらず、シリアなど一部のセンスィティブな分野で、ロシアと米国の間で実質的協力は改善、深化している。

AFP, March 30, 2017、AP, March 30, 2017、ARA News, March 30, 2017、Champress, March 30, 2017、al-Hayat, March 31, 2017、Iraqi News, March 30, 2017、Kull-na Shuraka’, March 30, 2017、al-Mada Press, March 30, 2017、Naharnet, March 30, 2017、NNA, March 30, 2017、Reuters, March 30, 2017、SANA, March 30, 2017、UPI, March 30, 2017などをもとに作成。

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