国連安保理では英国が提出した「樽爆弾などによる爆撃」に対する非難声明案にロシア・中国が反対、バイデン米副大統領はイスラーム国が占拠するイラク・ファッルージャ市の奪還に向けた同国政府の努力への支持を発表(2014年1月8日)

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反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月8日付)によると、イスラーム戦線は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘拡大を抑えるための新方針を発表した。

Kull-na Shuraka', January 8, 2014

Kull-na Shuraka’, January 8, 2014

新方針の骨子は以下の通り:

1. 各都市のシャリーア委員会からの正式の許可なしに、ダーイシュの戦闘員、およびそれ以外の組織のメンバーが暮らす住居への突入・襲撃の禁止。
2. 新たな武装集団の結成の禁止、戦闘参加を望む者への既存の武装集団への参加要請。

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シリア革命家戦線は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏に対し、24時間以内に自由シリア軍諸部隊との公開会合に出席し、その行き過ぎた行動について釈明するよう求めた。

声明によると、この公開会合には、ビラード・シャームのムハージリーン(非シリア人)、アンサール(シリア人)のウラマーも同席し、その釈明の様子を撮影、公開するという。

また声明において、シリア革命家戦線は、イスラーム戦線、民間人保護委員会、ムジャーヒディーン軍とともに、シャームの民のヌスラ戦線に対し、反体制運動参加への謝意を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立はトルコのイスタンブールでの総合委員会会合を閉幕した。

閉幕にあたって総合委員会(定数122人)は声明を出し、ジュネーブ2会議への参加の是非を1月17日に最終決定することを明らかにした。

また議長など執行部選挙をめぐって脱会を宣言した41人の総合委員会メンバーに対して「決定を撤回し、連立の隊列に復帰するよう願う…。シリアの反体制勢力、そして連立は、殺戮、破壊、強制退去を行う体制に対抗し、アサド政権崩壊後…民主制を構築するため、最高レベルの統合を必要としている」と呼びかけた。

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シリア人権監視団は、1月3日から8日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などとの戦闘により、385人が死亡したと発表した。

死者のうち56人は民間人(うち9人はダーイシュによって処刑された)だという。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市インザーラート地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などからなる反体制武装集団との戦闘の末、主要拠点の一つだった郵便局から退去、同地区からほぼ完全に撤退した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市におけるダーイシュの主要拠点が置かれていたカーディー・アスカル地区の小児科病院をイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などからなる反体制武装集団が制圧した。

同監視団によると、小児科病院に駐留していたダーイシュ戦闘員数百人の行方は不明で、またダーイシュが「もっとも重要な収監者」として拘留していた数十人が釈放されたとの情報が流れているという。

また、複数の活動家によると、ダーイシュは、反体制武装集団が拘束していたダーイシュ戦闘員70人を釈放する見返りとして、「自由シリア軍」戦闘員、市民活動家、メディア関係者などが300人を釈放したという。

なお、活動家の一人によると、ダーイシュは小児科病院撤退に際して、収監者複数名を銃殺し、ブスターン・カスル地区で行われた犠牲者の葬儀は、ダーイシュの退去を求めるデモに発展したという。

一方、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市を軍が「樽爆弾」などで爆撃し、8人が死亡した。

他方、SANA(1月8日付)によると、マアルサト・ハーン村、タッル・カラーフ村、マアーッラト・アルティーク村、ナスルッラー村、カフルダーイル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ハナーヌー地区、インザーラート地区、シャフバー地区、サーリヒーン地区、タルティヤーン地区、ハイダリーヤ地区、シャイフ・サイード地区、ジュバイラ地区、バイヤーだ地区、サファーヒーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、『ハヤート』(1月9日付)などによると、ラッカ市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍などからなる反体制武装集団との戦闘がフィルドゥース地区一帯に拡大、またダーイシュは国家治安局地区に進軍した。

同地区にはダーイシュが本拠地とする県・市庁舎がある。

またシリア人権監視団によると、ラッカ県でのムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などからなる反体制武装集団との戦闘の末、ダーイシュが拠点としていた政治治安部を放棄し、シャームの民のヌスラ戦線がこれに代わって同施設を制圧した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(1月8日付)によると、空軍情報部が、ジャズィーラ・チャンネルの名物アナウンサーでシリア人のファイサル・カースィム氏の住居を接収した。

一方、SANA(1月8日付)によると、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(1月8日付)によると、グナイミーヤ村、カタフ・リマーン村、ガマーム村、バイト・アワーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月8日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ヤルダー市、バービッラー市、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、ヤブルード市、アーリヤ農場、ザバダイン市、カーラ市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月8日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、バーブ・フード地区、クスール地区、ハーリディーヤ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハサウィーヤ村、アブー・アラーヤー村、タルビーサ市周辺、シャイフ・イブラーヒーム・ハキーム農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月8日付)によると、ズール・ヒーサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハマー市サハーナ地区では、軍が住民の協力のもと、反体制武装集団のアジトを破壊し、複数の戦闘員を逮捕、武器弾薬を押収した。

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ダルアー県では、SANA(1月8日付)によると、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、南部タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月8日付)によると、アルバイーン山一帯、タフタナーズ市、サルキーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またイドリブ市の住宅地に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、女性1人が死亡、市民8人が負傷した。

レバノンの動き

NNA(1月8日付)によると、イスラエル軍部隊(12人)が、イスラエルとレバノンを分けるフェンスを乗り越え、ナバティーヤ県マルジャアユーン郡マイス・ジャバル村内50メートルの地点まで侵入し、発煙弾を撃った。

ただし、イスラエル兵はブルーラインそのものを越境はしなかった。

イラクの動き

米ホワイトハウスによると、ジョー・バイデン米副大統領は、ヌーリー・マーリキー首相と今週二度目の電話会談を行い、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するアンバール県ファッルージャ市の奪還に向けたイラク政府の努力を支持すると伝えた。

諸外国の動き

『ハヤート』(1月9日付)によると、国連安保理では、シリアでの「樽爆弾」などによる爆撃に対する非難声明案(英国が提出)にロシアと中国が反対し、廃案に追い込んだと報じた。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン国防大臣は記者団に対し、「イスラエルが知る限り、ヒズブッラーはその兵器(ヤコント対艦ミサイル)を保有していない」と述べ、『ウォールストリート・ジャーナル』(1月3日付)の報道を否定した。

しかしヤアロン国防大臣は、ヒズブッラーによるヤコント対艦ミサイル保有を「レッドライン」とみなすかとの問いに「シリア情勢に関する我々のレッドラインは明白だ。その一つは高度な武器がシリアからレバノンに持ち込まれることを認めないというものだ。そうしたことが起きてしまえば、何をすべきか、どう行動するかを我々は知っている」と答えた。

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UPI(1月8日付)によると、英国のニック・クレイグ副首相は、英国がシリアから避難してきた学生約1,500人を受け入れたことを議会に報告した。

しかし、クライグ副首相の発言に関して、アムネスティ・インター・ナショナルでシリア問題を担当するクリスティヤ・ベネディクト氏は、シリア周辺国で避難生活を送る避難民とシリア人留学生を混同していると非難した。

ベネディクト氏はまた、英国が現在、シリア人避難民の受け入れを拒否していることを「恥ずべき」ことだと述べた。

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AFP(1月8日付)は、ニコラス・ケボン駐シリア・レバノン・スウェーデン大使の話として、2013年11月にシリア国内で拉致されたスウェーデン人記者2人が解放されたと報じた。

解放されたのは、ニコラス・ハンマーストローム氏(カメラマン)、マグヌス・ファルクヘッド氏(レポーター)の2人。

AFP, January 8, 2014、AP, January 8, 2014、Champress, January 8, 2014、al-Hayat, January 9, 2014、Iraqinews.com, January 8, 2014、Kull-na Shuraka’, January 8, 2014、Naharnet, January 8, 2014、NNA, January 8, 2014、Reuters, January 8, 2014、Rihab News, January 8, 2014、SANA, January 8, 2014、UPI, January 8, 2014などをもとに作成。

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