ロシアの合同連携センター(国外難民と国内避難民の帰還を支援するためのロシア国防省と外務省の合同調整センター)とシリアの国外難民帰還調整委員会の合同会合がモスクワとシリア各地などをテレビ会議システムで繋いで開催された。
会合は、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領がシリアを電撃訪問し、ダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」の勝利を宣言(2017年12月11日)してから1年が経ったのに合わせて、開催された。
会合では、合同連携センター議長を務めるミハイル・ミズィンツェフ(Mikhail Mizintsev)上級大将(国家防衛管理センター長)が2018年のシリア情勢についての報告を行い、ソチ、アスタナ、テヘラン、ジュネーブなどで、アスタナ会議の保障国であるロシア、イラン、トルコの首脳会談を含めた100以上の会議・交渉を行い、停戦の実現・維持・強化に努めてきたことをアピール、「戦争は終わり、国家再建が全速力で推し進められている」と強調した。
ミズィンツェフ上級大将はまた、この動きと並行して、多数のシリア難民が帰国したと指摘、2018年に難民約11万3942人がレバノン、ヨルダンから帰国、またイドリブ県の緊張緩和地帯などから国内避難民11万7369人以上が帰宅したことを明らかにした。
ミズィンツェフ上級大将によると、戦闘の被害が大きい地域出身の難民を受け入れるため、412カ所に収容施設が設けられ、これまでに帰国した難民は29万278人、帰宅した国内避難民は125万9731人にのぼっているという。
ミズィンツェフ上級大将は一方、米軍がヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯(55キロ地帯)を違法に占領し、同地に「テロリスト」6000人を配置、シリア国境に近いヨルダン北東のルクバーン・キャンプの解体を妨害していると発表した。
Ministry of Defence of the Russian Federation, December 11, 2018をもとに作成。
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