イドリブ県、ハマー県、アレッポ県へのシリア・ロシア軍の爆撃は続き、民間人6人が死亡(2019年6月14日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから45日目となる6月14日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より29人(民間人6人、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員25人)増えて1,570人となった。

うち、412人が民間人(女性86人、子供98人を含む)、516人がシリア軍兵士、642人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は86回を、投下した「樽爆弾」の数は17発を記録、ロシア軍戦闘機も20回の爆撃を実施した。

また、シリア軍地上部隊による砲撃は300発以上におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市、アリーハー市、マストゥーマ村、フバイト村、アルバイーン山、イフスィム村、タッル・マルディーフ村、ストゥーフ・ダイル村、ナキール村、ラカーヤー村、ヒーシュ村、タフタナーズ航空基地、カフルサジュナ村、スィフヤーン村、カフルナブル市一帯、マアッラト・スィーン村、ウライニバ村、マアッラト・ハルマ村、トゥラムラー村、ハーッス村、マアッラト・ヌウマーン市一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハーン・シャイフーン市に「樽爆弾」を投下した。

この爆撃で、ハーッス村では女性1人と子供1人を含む3人が死亡した。

またシリア軍は地上部隊がマアッラト・ハルマ村、フバイト村、バアルブー村、トゥラムラー村、ハーン・シャイフーン市を砲撃した。

ロシア軍もシャフシャブー山、ハーン・シャイフーン市を爆撃した。

一方、SANA(6月14日付)によると、シリア軍がヒーシュ村、イフスィム村、マストゥーマ村にあるシャーム解放機構の拠点、ハーン・シャイフーン市一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルズィーター市、ラターミナ町に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がカフルズィーター市、ラトミーン村、ザカート村、カフルナブル市一帯を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市、ラターミナ町を爆撃した。

これに対して反体制武装集団は、シリア軍が展開するフワイズ村、ジュッブ・ラムラ町、シャイザル町を砲撃した。

一方、SANA(6月14日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のムハルダ市、ジュッブ・ラムラ町、ラスィーフ村を砲撃し、住宅などに被害が出た。

反体制武装集団はまた、シリア軍が展開するカフルヌブーダ町、カルナーズ町、フワイズ村を砲撃、これに対して、シリア軍は直ちに応戦し、イッザ大隊(イッザ軍)が拠点を置くカフルズィーター市、ラターミナ町を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でタッル・ハディーヤ村にある国内避難民キャンプに対して爆撃を実施、男性1人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(ラタキア県10件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を10件(アレッポ県2件、イドリブ県2件、ハマー県6件)確認した。

AFP, June 14, 2019、ANHA, June 14, 2019、AP, June 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 14, 2019、al-Hayat, June 15, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 14, 2019、Reuters, June 14, 2019、SANA, June 14, 2019、SOHR, June 14, 2019、UPI, June 14, 2019などをもとに作成。

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