YPG主体のシリア民主軍の総司令官「ロシアとシリア政府はイドリブ県で戦うよう要請してきたが、我々は応じなかった…シリア政府と交渉は続けている」(2019年7月20日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーフ・アブディー総司令官は、オランダのクルド系トルコ語日刊紙『イェニ・オズギュル・ポリティカ』(7月20日付)のインタビューに応じ、「ロシアとシリア政府は我々にイドリブ県で戦うよう要請してきたが、我々は応じなかった。我々はイドリブ県には関心はない。我々の関心はアフリーン郡にある」と述べた。

アブディー総司令官はまた、「ロシアとシリア政府は、イラン軍が参加しなかったために、イドリブ県で失敗した」と付言した。

一方、シリア政府との関係については「シリア政府との交渉は今も続いている。関係は途絶えていない」としたうえで、「シリア政府との交渉を行うにあたって二つの条件がある。第1はシリアの領土統一をめぐって協議すること、第2はシリア民主軍を受け入れ、自治を行うこと」と述べた。

トルコ軍がラッカ県タッル・アブヤド市に面する国境地帯に部隊を増派したことに関しては「我々はこうした動きに対処する容易はある…。アフリーン郡で起きたことが繰り返されることはあり得ない。我々はそうしたことは決して認めない…。トルコ軍がギレ・スピ(タッル・アブヤド市)を攻撃したら、マンビジュ市(アレッポ県)からダイリーク市(ハサカ県)に至る広大な地域が戦線と化すだろう…。シリア民主軍はこうした決意を米国やフランスをはじめとする有志連合諸国に伝えている…。我々は新たな戦争は望んでいない。大戦も望んでいない」と述べた。

AFP, July 20, 2019、ANHA, July 20, 2019、AP, July 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 20, 2019、Reuters, July 20, 2019、SANA, July 20, 2019、SOHR, July 20, 2019、UPI, July 20, 2019、Yeni Ozgur Politika, July 20, 2019などをもとに作成。

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