アレッポ県北部などでシリア軍と反体制派の戦闘が続くも死者なし(2019年9月20日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから20日目(爆撃を激化させてから141日目)を迎えた9月20日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,145人だった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,408人、反体制武装集団戦闘員1,673人。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルハムラ村、マンスーラ村、アレッポ市ライラムーン地区を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がハザーリーン村、マアッラト・スィーン村、シャイフ・ムスタファー村、マアッルズィーター村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村を砲撃した。

一方、SANA(9月20日付)によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構などの反体制武装集団が、県南東部のアブー・ズフール町に設置されている「人道回廊」を通じてシリア政府支配地域に避難しようとする住民の移動阻止を続けた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制武装集団がズィヤーラ町一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制武装集団がトルコマン山一帯のシリア軍拠点を砲撃した。

これに対してシリア軍地上部隊もトルコマン山一帯、カッバーナ村一帯の反体制派拠点を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を32件(イドリブ県11件、ラタキア県10件、アレッポ県9件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を19件(イドリブ県9件、ラタキア県5件、アレッポ県3件、ハマー県2件)確認した。

AFP, September 20, 2019、ANHA, September 20, 2019、AP, September 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 20, 2019、Reuters, September 20, 2019、SANA, September 20, 2019、SOHR, September 20, 2019、UPI, September 20, 2019などをもとに作成。

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