カザフスタンの首都ヌルスルタン(旧アスタナ)で12月10日に開幕していたシリア政府と反体制武装集団の停戦を目的とするアスタナ14会議が2日間の議事を終えて閉幕した。
会議は、シリア政府代表、反体制派代表(シリア軍事革命諸勢力代表団)、保障国であるロシア、トルコ、イラン、そしてヨルダン、イラク、レバノンの代表による個別会談、ないしは三者会談を通じて行われ、シリア政府代表と反体制派代表の直接交渉はなされなかった。
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会議の保障国であるロシア、イラン、トルコは閉幕声明で、「自治に向けたイニシアチブ」(米国が支援する北・東シリア自治局による自治)などシリア領内で新たな現状を創り出そうとするあらゆる試みが、「テロとの戦い」を口実とした違法な行為だと断じ、シリアの主権、領土の一体性に反する分離主義的なアジェンダに異議を表明、1998年にシリアとトルコが交わしたアダナ合意の重要性を強調した。
三カ国はまた、シリア領内の(米国による)油田地帯の支配についても違法だと非難、シリア政府に返還しなければならないと強調した。
和平プロセスについては、国連安保理決議第2254号に基づく政治プロセスを推し進める意志を改めて示したうえで、制憲委員会(憲法委員会)設置の重要性を強調した。
人道支援については、その政治化に異議を唱え、前提条件なしの支援を国際社会に呼びかけた。
また、難民、国内避難民(IDPs)の帰還の必要についてもこれを確認し、国際社会に支援を呼びかけた。
一方、三カ国は、最近のイスラエル軍による越境攻撃についても、国際法違反、主権侵害と非難した。
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ロシアの代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は会議閉幕に合わせて開かれた記者会見で、米国の駐留を含むあらゆる問題について協議したことを明らかにしたうえで、この駐留が違法で、シリア領内の天然資源を搾取しようとしていると非難、撤退する必要があると強調した。
また、復興プロセスや人道支援については政治化すべきでないと述べ、西側諸国による制裁が解除されるべきだと付言した。
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イランの代表を率いるアリー・アスガル・ハージー外務大臣補は、テロとの戦いを貫徹する必要があると述べるとともに、シリアの主権を維持、領土を保全すべきだと強調、制憲委員会(憲法委員会)に改めて指示を表明した。
ハーッジー大臣補はイドリブ県のほとんどがテロ組織によって掌握されていると指摘、また米国によるシリア北東部の油田地帯支配は拒否されるべきだと指弾した。
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シリアの代表を率いるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、「テロとの戦い」を貫徹するとの意志を改めて示すとともに、トルコがアスタナ会議での制約に違反して、テロ組織への支援を続け、シリアの領土を占領していると非難した。
AFP, December 11, 2019、ANHA, December 11, 2019、AP, December 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 11, 2019、Reuters, December 11, 2019、SANA, December 11, 2019、SOHR, December 11, 2019、UPI, December 11, 2019などをもとに作成。
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