米中央軍(CENTCOM)は、10月28日にイラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して13回の空爆を行ったと発表した。
シリア領内での空爆は行われなかった。
CENTCOM, October 29, 2015などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、チャンネル24(10月28日付)に対して、シリアのクルド人が自治に固執する場合、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に対して武力を行使する、と述べた。
エルドアン大統領は「トルコは必要だと考えることを行うだろう。そのなかにはシリアのクルド人過激派が、米国と同盟して、ラッカ県のタッル・アブヤド市に自治政体樹立を宣言することを阻止するための軍事作戦の強化も含まれる…これは警告だ。トルコは誰の許可も必要とはしていない。我々は必要なことをするだけだ」と述べた。
エルドアン大統領はまた、「シリアのクルド人を西側が支援すれば、テロを支援することになる」と主張し、人民防衛隊を間接支援する米国を暗に批判した。
さらに、西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党が「タッル・アブヤド市一帯での民族浄化」を行っていると主張、「クルド人が立ち去れば…問題はない」と付言した。
AFP, October 29, 2015、AP, October 29, 2015、ARA News, October 29, 2015、Champress, October 29, 2015、al-Hayat, October 30, 2015、Iraqi News, October 29, 2015、Kull-na Shuraka’, October 29, 2015、al-Mada Press, October 29, 2015、Naharnet, October 29, 2015、NNA, October 29, 2015、Reuters, October 29, 2015、SANA, October 29, 2015、UPI, October 29, 2015などをもとに作成。
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青山弘之「ロシア軍事介入で液状化するシリア:錯綜する反体制派の相関図(特集Ⅰ・シリアに橋頭堡を築くロシア)」
Janet e-World、2015年10月28日
9月30日、ロシア軍がシリア領内での空爆を開始した。バッシャール・アサド大統領は10月21日に電撃訪問したモスクワでのプーチン大統領との会談で、この空爆がシリア政府の正式な要請に基づく国際法上合法的な軍事支援であり、「ダーイシュ」(「イスラム国」の中東での通称)やアルカイダ系「ヌスラ戦線」といった組織に対する「テロとの戦い」の成果が上がっていると述べ、安定回復への手応えを表明した。しかし、こうした主張とは裏腹に、ロシアの軍事介入は、「内戦」と呼ばれて久しい紛争が、シリア人自身には制御できない問題に変質してしまっているという事実を再認識させるものだった。・・・
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『ハヤート』(10月29日付)は、29日にオーストリアのウィーンで再開されるた米・ロシア・サウジアラビア・トルコの外相会談に、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣の出席が確定したと伝えた。
ロシア消息筋によると、イランのほかにも、エジプト、イラク、そしてレバノンの外務大臣も出席を予定しているという。
新規に参加する4カ国はいずれも、シリア政府寄りの立場をとる国。
イランは、アサド大統領の進退などシリアの紛争後のありようが、諸外国ではなくシリア国民に決せられるべきとの立場から、2012年6月のジュネーブ合意を起点とするシリア政府と反体制派の和解に向けたプロセス(いわゆる「ジュネーブ・プロセス」)に参加していなかったが、ウィーンでの外相会談に出席すれば、シリアの紛争和解に関する諸外国の会合に初めて参加することになる。
一方、レバノンは、政府としては、シリア紛争発生当初より「不関与政策」をとっているが、周知の通り、ヒズブッラ-、シリア民族社会党、バアス党レバノン地域指導部といった勢力が、シリア政府を全面支援しており、総じてシリア政府に近い立場をとっている。
また、エジプトも、アブドゥルファッターフ・スィースィー政権発足以降、シリア国内での「テロとの戦い」と紛争解決の重要性を強調し、アサド政権との対話による紛争解決と体制転換をめざしている反体制派の意見集約などに務めるようになっている。
さらに、イラクは、ダーイシュ(イスラーム国)掃討でシリア政府との連携を強めており、9月に入ると、ロシア、イラン、シリアとの戦略的な連携を強化している。
この会談に先立ち、フランス、ドイツ、英国、米国、サウジアラビア、トルコ、湾岸諸国、ヨルダンの外相がパリで会合を持ち、アサド大統領の退陣要求などについて意見を交わしているが、イラン、エジプト、イラク、レバノンの参加により、大統領の処遇をめぐる内政問題をシリア国民(移行期)に委ねるべきだとの声が高まるものと見られる。
AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がスルターン・マルジュ村一帯でジハード主義武装集団と交戦した。
一方、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がドゥーマー市、タッル・クルディー町農場地帯、ザマルカー町、マルジュ・スルターン村でシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム軍などからなるジハード主義武装集団を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムーリク市郊外、マアルカバ村で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、外国人戦闘員がジハード主義武装集団と交戦し、ジハード主義武装集団戦闘員10人が死亡した。
シリア軍はまた、タッル・ワースィト村、マンスーラ村、カーヒラ村、ハミーディーヤ村、ズィヤーラ町一帯が砲撃を行った。
一方、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がラターミナ町、マアルカバ村でシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がタルビーサ市を砲撃する一方、ジャッブーリーン村一帯、ダール・カビーラ村で反体制武装集団と交戦した。
一方、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がダイル・フール村一帯、ジャワーリク村で反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またシリアの警察当局はヒムス市内各所で爆弾テロを行っていた6人を逮捕した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がサルマー町一帯を砲撃した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯を砲撃した。
また、ARA News(10月28日付)によると、旧市街のバーブ・トゥーマ地区に迫撃砲弾3発が着弾し、住民7人が負傷した。
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アレッポ県では、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がアレッポ市サラーフッディーン地区、ライラムーン地区、アアザミーヤ地区、バーシュカウィー村一帯、ハーン・アサル村、ナイラブ航空基地一帯、シャイフ・アフマド村郊外、ハイヤーン町、フライターン市、農業地区北部、アーミリーヤ村、ラームーサ村、ズィーターン村でシャームの民のヌスラ戦線、シリア自由旅団、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がフバイト村で、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がダルアー市内旧税関地区西部など、アトマーン村でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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アレッポ県では、SANA(10月28日付)によると、サフィール市一帯(ウンム・ジャナーイン村、サフィール市郊外農場地帯)に進攻(27日)したダーイシュ(イスラーム国)戦闘員数十人をシリア軍が殲滅した。
戦闘員のほとんどは外国人で、SNN(10月28日付)によると、シリア軍は、サフィール市に侵入したダーイシュ戦闘員を殲滅、撃退し、同市を再び完全制圧した。
シリア軍はまた、航空士官学校一帯、ハナースィル市・イスリヤー村街道一帯、ジュッブ・アフマル村、ウンム・アルキーラ村でダーイシュと交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(10月28日付)によると、シリア軍がハナースィル市・イスリヤー村街道沿いのティバーラト・サハーナ村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、ARA News(10月28日付)によると、フール町一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦した。
AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、SNN, October 28, 2105、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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ロイター通信(10月28日付)は、米政府匿名高官2人の情報として、バラク・オバマ米政権が、ダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦で、少数の特殊部隊のシリアへの投入や、イラクへの攻撃ヘリコプターの派遣を検討している、と伝えた。
AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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レバノン・ディベート(10月28日付)は、複数の外交筋の話として、米国の支援を受けているガーブの鷹などをはじめとする「穏健な反体制派」に対して、トルコ経由で米国製の第三世代型携帯式防空ミサイル・システム(POST型スティンガー)が支給されており、これによって戦闘が激化することが予想されると伝えた。
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ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、バラク・オバマ米大統領がサウジアラビアのサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王と電話会談し、ダーイシュ(イスラーム国)との戦いとシリアにおける政治的移行に向けて引き続き協力することを確認した、と発表した。
AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、Lebanon Debate, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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ロシア国防省は、ロシア軍が過去24時間で71回出撃し、イドリブ県、ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、ダマスカス郊外県、ラタキア県で、ダーイシュ(イスラーム国)など国際テロ組織の施設118カ所を破壊したと発表した。
空爆にはSu-24M戦闘爆撃機、Su-34戦闘機、Su-25戦闘機が参加し、ラタキア県サルマー町近郊、アレッポ県タッル・ムルガン(Tel-Mregan)、ダマスカス郊外県ミスラーバー市(イスラーム軍司令拠点)、イドリブ県ガーブ平原、ヒムス県タルビーサ市一帯の反体制武装集団拠点などへの攻撃が行われた。
シリア人権監視団によると、ヒムス県では、ロシア軍は、ジャワーリク村、スナイスィル村、サアン・アスワド村、ガントゥー市、ガルナータ村を空爆した。
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍と思われる戦闘機がハイヤーン町を空爆し、反体制メディア活動家1人が死亡した。
ロシア軍と思われる戦闘機はまた、カフルハムラ村、英国人墓地地区(フライターン市近郊)などを空爆した。
一方、シリア自由人旅団総司令部は声明を出し、ロシア軍によってアレッポ市北部郊外の本部を空爆され、メンバー7人が死亡したと発表した。

AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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アサド大統領は、シリアを訪問したキリスト教民主党のジャン・フレデリック・ポワソン党首を団長フランス議員使節団と会談し、シリア情勢、とりわけ「テロとの戦い」への対応などについて意見を交わした。
SANA(10月28日付)によると、アサド大統領は会談で、世界規模で拡がるテロ行為や過激思想に対して協力して対処する必要を強調した。
また、フランスを含む多くの欧米諸国、中東地域諸国が依然としてテロを支援し、シリア国内でのテロ組織の活動を政治的に隠蔽しようとしていると指摘、フランス議会を筆頭とするフランスの様々な機関・組織が、こうしたフランスの政策を是正し、中東地域の安定に向けて行動するべきだと述べたという。
シリア国民の惨状について、アサド大統領は、その主因がテロであると強調した。
これに対して、フランス議員団は、「テロとの戦い」においてすべての国がさらなる努力を重ねることが肝要だとしたうえで、欧米諸国の政策を是正する必要があると答えたという。

AFP, October 28, 2015、AP, October 28, 2015、ARA News, October 28, 2015、Champress, October 28, 2015、al-Hayat, October 29, 2015、Iraqi News, October 28, 2015、Kull-na Shuraka’, October 28, 2015、al-Mada Press, October 28, 2015、Naharnet, October 28, 2015、NNA, October 28, 2015、Reuters, October 28, 2015、SANA, October 28, 2015、UPI, October 28, 2015などをもとに作成。
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