アレッポ市の地元活動家はシリア軍が塩素ガスと思われる有毒ガスを装填した「樽爆弾」で爆撃を行ったと主張(2016年8月10日)

アレッポ県では、ロイター通信(8月11日付)によると、アレッポ市内で10日、「樽爆弾」に装填されたと塩素と思われる有毒ガスにより、複数人が死亡、数十人がクドス病院に搬送された。

クドス病院を経営するハムザ・ハティーブを名のる人物がロイター通信のカメラマンに述べたところによると、死者は4人、負傷者が55人で、7人が現在も治療を受けているという。

一方、民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット)によると、3人が死亡、22人が負傷したという。

クドス病院のハティーブ氏によると、患者の衣服に付着していた「樽爆弾」の破片を証拠として保管しているという。

また、アフマド・ハーリディーを名のる地元の活動家は、ARA News(8月11日付)に対して、ヘリコプターがアレッポ市ズブディーヤ地区に多数の「樽爆弾」を投下、「清掃用の塩素物質に非常によく似た臭いが拡がり、複数の民間人がこの有毒ガスを吸引し気絶、救急チームが死傷社を診察所に搬送した」と述べた。

Reuters, August 11, 2016
Reuters, August 11, 2016

AFP, August 11, 2016、AP, August 11, 2016、ARA News, August 11, 2016、Champress, August 11, 2016、al-Hayat, August 12, 2016、Iraqi News, August 11, 2016、Kull-na Shuraka’, August 11, 2016、al-Mada Press, August 11, 2016、Naharnet, August 11, 2016、NNA, August 11, 2016、Reuters, August 11, 2016、SANA, August 11, 2016、UPI, August 11, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ファトフ軍を統括する「サウジアラビア人」ムハイスィニー氏がアレッポ市東部に入って行ったとされる映像が公開(2016年8月10日)

アレッポ市南西部で「アレッポ大血戦」を展開するファトフ軍の事実上の統括者のサウジアラビア人説教師のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏が、アレッポ市内とされる場で演説する様子がYoutube(https://youtu.be/OuKGYEVarG4)を通じて公開された。

公開に先立って、ムハイスィニー氏は、特攻自爆戦闘員(インギマースィー)1,000人とともにアレッポに到着した映像を配信すると述べていた。

Youtube, August 10, 2016
Youtube, August 10, 2016

ARA News(8月10日付)によると、ムハイスィニー氏が演説したとされる場所はアレッポ市マアーディー地区。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍・ロシア軍はダマスカス郊外県、イドリブ県で爆撃を続ける(2016年8月10日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハラスター市を砲撃する一方、戦闘機(所属明示せず)がハザルマー丘一帯を空爆した。

また、フーシュ・ナスリー村一帯では、シリア軍、ヒズブッラー戦闘員がイスラーム軍などからなる反体制武装集団と交戦を続けた。

一方、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がダイル・ハビーヤ村農場地帯、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯、バイト・ジン村農場地帯でシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

**

イドリブ県では、SANA(8月10日付)によると、シリア軍・ロシア軍の戦闘機がマアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市、ジスル・シュグール市、アルバイーン山一帯、サラーキブ市、タフタナーズ市でファトフ軍、イスラーム戦線、ナスル軍、イッザ連合の拠点に対する空爆を集中的に行った。

これに関して、クッルナー・シュラカー(8月10日付)は、ロシア軍による空爆で子供と女性を含む10人が死亡したと伝えた。

**

ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)によると、ダルアー市内でのシリア軍と反体制武装集団の砲撃戦で住民4人が死亡した。

一方、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がダルアー市郵便局東部一帯、ジャムリーン村で反体制武装集団と交戦した。

**

ラタキア県では、ARA News(8月10日付)によると、反体制武装集団がクルド山一帯を砲撃した。

**

ヒムス県では、ARA News(8月10日付)によると、シリア軍がラスタン市を空爆した。

一方、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がリーハーニーヤ村に侵入しようとした反体制武装集団(タルビーサ自由人旅団など)と交戦した。

**

ハマー県では、SANA(8月10日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともにカッバースィーン村でシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)の拠点を攻撃した。

**

クナイトラ県では、SANA(8月10日付)によると、シリア軍が、フッリーヤ村・ハミーディーヤ村間、ハーン・アルナバ市、ジャッバー村で反体制武装集団と交戦した。

2016年政令第15条に従い、地元和解プロセスの一環で反体制武装集団メンバー135人が当局に投降、放免となった。

**

ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月8日に6件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県、ラタキア県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市一帯で爆撃と戦闘が続くなか、シリア軍による事実上の包囲が続くアレッポ市東部に野菜などの食糧品を積んだトラック複数台が約1ヶ月ぶりに入る(2016年8月10日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)によると、シリア軍による事実上の包囲が続くアレッポ市東部に野菜などの食糧品を積んだトラック複数台が入った。

同地に食糧物資が搬入されるのは約1ヶ月ぶりだという。

Kull-na Shuraka', August 10, 2016
Kull-na Shuraka’, August 10, 2016

また、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(8月10日付)によると、アレッポ市南部で反体制武装集団がアレッポ市南西部のシャイフ・サイード地区(セメント工場一帯)でシリア軍と交戦する一方、戦闘機(所属明示せず)が同地を含むアレッポ市南西部一帯(ラーシディーン地区、ラームーサ地区など)、カルム・カーティルジー地区、ダマスカス・アレッポ街道一帯、アウラム・クブラー町、カフルナーハー村を空爆し、住民少なくとも5人が死亡した。

ドゥラル・シャーミーヤによると、空爆を行ったのはロシア軍で、白リン弾などが使用されたという。

反体制武装集団はまた、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市シャイフ・マクスード地区を砲撃した。

一方、SANA(8月10日付)によると、アレッポ市南部郊外でシリア・ロシア両軍の戦闘機が反体制武装集団(ファトフ軍)の拠点に対する空爆を集中的に行った。

これに対して反体制武装集団はアレッポ市ハムダーニーヤ地区を砲撃し、14人が死亡、44人が負傷した。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Durar al-Shamiya, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省は毎日3時間(午前10時から午後1時まで)アレッポ市での人道支援物資搬入のための停戦を行うと発表(2016年8月10日)

ロシア国防省は、毎日午前10時から午後1時までの3時間、すべての軍事作戦、空爆、砲撃を停止するとしたうえで、シリア当局とともにすべての関係機関によるアレッポ市への人道物資搬入を支援する用意がある、と発表した。

**

国連安保理では、アレッポ市住民に対して同地への残留か退去を選択する自由を保障することを求める決議案を英国が提出した。

同決議案は、アレッポ市など包囲下にあるすべての地域に対する人道支援物資搬入を保証するための人道停戦の宣言も盛り込まれていた。

しかし『ハヤート』(8月11日付)によると、アレッポ市からの住民退去を求めるロシアと、支援物資搬入を優先させようとする欧米諸国が対立し、決議は廃案となった。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

YPG主体のシリア民主軍はダーイシュとの戦闘の末マンビジュ市内の治安厳戒地区を完全制圧(2016年8月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンビジュ市の北部、南部、そして西部郊外でダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が交戦した。

また、シリア民主軍に参加するマンビジュ軍事評議会は、マンビジュ市中心街の治安厳戒地区を完全制圧したと発表した。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がジャフラ村、ダイル・ザウル航空基地一帯、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区などでダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

**

スワイダー県では、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がバーラク村東部でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が前日に引き続き会談し、シリア情勢への対応を協議(2016年8月10日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は前日に引き続き、ロシアのサンクトペテルブルクでヴラジミール・プーチン大統領と会談し、シリア情勢への対応などについて協議した。

『トルコ』(8月11日付)によると、会談において、トルコ側は、ロシアとの間でアサド大統領の進退や紛争解決に向けた政治プロセスの進め方をめぐって意見の相違があることを認める一方、米国にとってアサド大統領の退陣がもはや副次的な問題になっているとの認識を示した。

AFP, August 10, 2016、AP, August 10, 2016、ARA News, August 10, 2016、Champress, August 10, 2016、al-Hayat, August 11, 2016、Iraqi News, August 10, 2016、Kull-na Shuraka’, August 10, 2016、al-Mada Press, August 10, 2016、Naharnet, August 10, 2016、NNA, August 10, 2016、Reuters, August 10, 2016、SANA, August 10, 2016、UPI, August 10, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

『ハヤート』:ヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)などのイスラーム過激派と「穏健な反体制派」が初めて大規模な連携を行ったことがアレッポ市東部解囲成功の理由の一つ(2016年8月10日)

『ハヤート』(8月10日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動などのジハード主義武装集団からなるファトフ軍と、ヌールッディーン・ザンキー運動などの「穏健な反体制派」とシャームの民のヌスラ戦線などのジハード主義武装集団の混成組織であるアレッポ・ファトフ軍によるアレッポ市東部の解囲に関して、10の理由をあげることができると伝えた。

10の理由とは以下の通り:

1. ファトフ軍とアレッポ・ファトフ軍の双方合わせて8,000人から10,000人とされる兵力。
2. 戦闘地域の拡大。
3. ファトフ軍とアレッポ・ファトフ軍側がアレッポ市東部を喪失することを「死活問題」とみなしたこと。
4. ファトフ軍がアレッポ市北部のカースティール街道一帯の奪還ではなく、アレッポ市南西部で奇襲攻撃を行ったこと。
5. 「穏健な反体制派」とジハード主義武装集団による初の大規模な連携。
6. 域内諸国、欧米諸国から独立したファトフ軍、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室の意思決定。
7. トルコによると思われるファトフ軍側への高性能兵器(無人偵察機など)の供与。これはアレッポ市南西部でのファトフ軍の作戦計画が、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とロシアのヴラジミール・プーチン大統領の会談(8月9日)日程決定前に策定されたため。
8. アレッポ市東部の包囲をめぐるロシアとの意見の相違を背景とする米国の黙認。
9. シリア軍および人民防衛諸集団と、ヒズブッラー、パレスチナ人のクドス旅団、イラク人、アフガン人、イラン人民兵の連携不足。
10. ロシア軍戦闘機が参加していたかどうかの確証が得られておらず、同軍の参加が限定的だった可能性があること。

AFP, August 9, 2016、AP, August 9, 2016、ARA News, August 9, 2016、Champress, August 9, 2016、al-Hayat, August 10, 2016、Iraqi News, August 9, 2016、Kull-na Shuraka’, August 9, 2016、al-Mada Press, August 9, 2016、Naharnet, August 9, 2016、NNA, August 9, 2016、Reuters, August 9, 2016、SANA, August 9, 2016、UPI, August 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シャーム自由人イスラーム運動のナッハース報道官「シャーム・ファトフ戦線(ヌスラ戦線)を含むすべての革命諸勢力の接近が肝要」(2016年8月10日)

シャーム自由人イスラーム運動のラビーブ・ナッハース報道官は『ハヤート』(8月10日付)とのインタビューに応じ、そのなかで同運動が所属するファトフ軍およびアレッポ・ファトフ軍作戦司令室によるアレッポ市一帯での戦闘の最終目的が「アレッポ市の包囲解除と…全土解放」にあるとしたうえで、同地での勝利が「ゲームのルールを変え…国際社会は政治プロセス、そしてそのなかでのアサドの役割を再検討することを余儀なくされるだろう」と強調した。

また、シャームの民のヌスラ戦線がアル=カーイダとの関係解消を宣言し、シャーム・ファトフ戦線に改称ついては、「遅きに失したが正しい方向に向けた前向きなステップであり、「シリア革命を軍事、政治の両面からかたち作ってきた様々な勢力が長らく求めてきたこと」だと高く評価した。

そのうえで「シャーム・ファトフ戦線は偉大な(シリア)国民の一部をなしており、アサド政権とその同盟者に対してもっとも激しい戦闘を行っている当事者だ。それゆで、彼らを愛国的な革命プロジェクトのなかに包摂することが、みなにとっての最優先事項にならねばならない」と付言し、シャーム・ファトフ戦線との共闘を主唱した。

なお、ヌスラ戦線最高指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏は以前、ジャズィーラ・チャンネルのインタビューで、ヌスラ戦線の主導的戦闘員は外国人で、その数はメンバーの3割程度を占めていると述べており、実際に幹部の多くはシリア人以外の外国人からなっている。

また、シャーム・ファトフ戦線は、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍に所属するとともに、同運動が参加するアレッポ・ファトフ軍作戦司令室と共闘関係にある。

一方、シャーム自由人イスラーム運動とシャーム・ファトフ戦線の違いに関して、ナッハース氏は、外国のアジェンダとの関係の有無、サラフィー・ジハード主義以外のイスラーム主義の潮流との関係の有無をあげたうえで、後者がアル=カーイダとの関係解消を組織面に限定すべきでないと主張し、「シリア革命のプロジェクト」に歩み寄るべきだとしつつ、「シャーム・シャーム戦線を含む多様な革命諸勢力どうしが接近し、革命に資する共通のヴィジョンに至ることが肝要」と述べ、シャーム・ファトフ戦線(ヌスラ戦線)を「革命勢力」とみなした。

AFP, August 9, 2016、AP, August 9, 2016、ARA News, August 9, 2016、Champress, August 9, 2016、al-Hayat, August 10, 2016、Iraqi News, August 9, 2016、Kull-na Shuraka’, August 9, 2016、al-Mada Press, August 9, 2016、Naharnet, August 9, 2016、NNA, August 9, 2016、Reuters, August 9, 2016、SANA, August 9, 2016、UPI, August 9, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.