国連・OPCW合同査察機構報告書はシリア軍による塩素ガス使用とダーイシュによるマスタード・ガス使用を指摘(2016年8月25日)

サマンサ・パワー米国連代表大使は、報告書受領後に声明を出し、シリア政府による塩素ガスを含む「化学兵器の使用が国連安保理決議第2118号と化学兵器禁止条約に違反」していると指摘、「違反は化学兵器禁止条約の正統性への挑戦」と非難した。

そのうえで、「シリアでの違反者が国家であれ、非国家勢力であれ…、安保理諸国はともに、そして迅速に対処する必要がある」と強調した。

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フランスのジャン=マルク・エロー外務大臣は、国連・OPCW合同査察機構の報告書に関して、シリア軍による化学兵器使用を「残虐行為」と非難、国連安保理で責任追及すべきだと述べた。

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なお、国連の潘基文事務総長は24日、シリア国内での化学兵器(塩素ガスを含む)の使用実態に関する国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構が作成した報告書を受け取った。

90ページに及ぶ報告書の内容は、国連安保理で審議されたのちに、公開されるという。

報告書を提出した合同査察機構は2014年5月のイドリブ県、ハマー県各所でのシリア軍による塩素ガス使用疑惑を受けて、2015年8月に採択された国連安保理決議第2235号に基づき設置され、サリン・ガスなどの化学兵器や塩素ガスの使用への責任追求をめざしている。

ロイター通信(8月25日付)などが入手した報告書コピーによると、合同査察機構は、2014年から2015年にかけてシリア国内で発生した化学兵器・有毒ガス使用疑惑事件9件に関して調査、うち2件(2014年4月21日のイドリブ県タッル・マナス村と2015年3月16日のサルミーン市での事件)に関して、シリア軍ヘリコプターから塩素ガスと思われる有毒化学物質を収めた「機器」の投下によって、住民が中毒症状を訴えたと指摘しているという。

また1件(2015年8月のアレッポ県マーリア市での事件)に関しては、ダーイシュがマスタード・ガスを使用した可能性があるとしているという。

のこりの6県(2014年4月と2015年8月のハマー県カフルズィーター市での事件など)に関して、化学兵器・有毒ガスが誰によって使用されたかは特定できていないという。

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ムアッリム外務在外居住者大臣がイラクを訪問しアバーディー首相、ジャアファリー外務大臣と会談(2016年8月25日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)は、イラクのイブラーヒーム・ジャアファリー外務大臣の招待を受け、イラクの首都バクダードを空路で訪問、ハイダル・アバーディー首相、ジャアファリー外務大臣と会談した。

SANA(8月25日付)によると、会談において、ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア国内での「テロとの戦い」の現状について説明、シリアとイラクが共通の敵に対して一丸となって対峙していると強調した。

また、二国間関係、とりわけ「テロとの戦い」における連携、二国間交易の促進、両国民の移動の簡易化などについて意見を交わしたという。

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アレッポ市でファトフ軍が「穏健な反体制派」と目される第16歩兵師団の本部・拠点を急襲、メンバーを拘束(2016年8月25日)

アレッポ県では、ARA News(8月25日付)によると、反体制武装集団の支配下にあるアレッポ市東部で、シャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団などファトフ軍に所属するジハード主義武装集団が「穏健な反体制派」と目されている第16歩兵師団の本部・拠点複数カ所を急襲し、同師団に所属する殉教者バドル旅団のアブドゥルハーリク・ハヤーニー司令官らメンバー多数を拘束した。

粛清はブアイディーン地区、ハラク地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・ハドル地区、シャイフ・ファーリス地区、ハイダリーヤ地区で敢行された。

ARA Newsによると、7月末のシリア軍によるアレッポ市東部地区包囲に際して、第16歩兵師団のアブー・アリー・サッカなる司令官が、アレッポ市バニー・ザイド地区での戦闘で、シリア軍から多額の資金を受け取り、トルコに逃亡、同地区をシリア軍に明け渡したとの嫌疑が、粛清の背景にあるという。

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進歩国民戦線加盟政党のアラブ社会主義者運動のアフマド書記長が死去(2016年8月25日)

クッルナー・シュラカー(8月25日付)によると、進歩国民戦線加盟政党の一つアラブ社会主義者運動のアフマド・アフマド書記長がダマスカス県内のザーリー病院で死亡した。

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ダーイシュはYPGが撤退したとされるマンビジュ市南部郊外のシリア民主軍拠点を攻撃(2016年8月25日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月25日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がマンビジュ市南部のカスラ村にある西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の拠点を攻撃した。

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ヒムス県では、SANA(8月25日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がヒムス市東部のウンム・スィルジュ村を砲撃し、住民2人が死亡した。

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トルコ国境に面するジャラーブルス市(アレッポ県)南部で反体制武装集団とYPGが交戦、トルコ軍もYPGを攻撃(2016年8月25日)

アレッポ県では、複数の反体制消息筋とシリア人権監視団によると、トルコ軍と有志連合の支援を受けてジャラーブルス市一帯を制圧した反体制武装集団が、同市南部10キロの地点まで進軍した。

だが、同監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍はこれに先立ち、ジャラーブルス市南部約8キロの地点まで進軍、同地を掌握、複数の反体制消息筋によると、25日晩、同市南部のアマールナ村一帯(ユーフラテス川以西)で、反体制武装集団(クルド革命家大隊も加勢)とシリア民主軍が交戦したという。

アマールナ村は25日、反体制武装集団によって制圧されていたという。

また、ARA News(8月25日付)は、トルコ軍の複数の消息筋の話として、ジャラーブルス市南部一帯にある西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点を砲撃したと伝えた。

一方、ロイター通信(8月25日付)は、複数の目撃者の話として、戦車9輌からなるトルコ軍増援部隊がシリア領内に侵入した。

トルコ軍は24日に戦車・装甲車20輌以上をシリア領内に展開させている。

なお、トルコの複数メディアによると、24日に開始された「ユーフラテスの盾」作戦に参加しているトルコ軍兵士は300~500人におよぶ。

また、トルコ軍兵士に加えて、反体制武装集団戦闘員1,200人あまりが作戦に参加している。

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YPGが撤退したマンビジュ市の民政を統括するマンビジュ民政評議会議長に元国会議員の兄弟が就任(2016年8月25日)

アレッポ県では、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がマンビジュ市の民政を統括するマンビジュ民政評議会の議長にファールーク・マーシー氏を任命した。

マーシー氏は人民議会元議員だったムハンマド・ハイル・マーシー氏の兄弟。

ARA News(8月25日付)が伝えた。

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YPGは声明でマンビジュ市からの撤退を宣言するも、撤退先には触れず(2016年8月25日)

西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の総司令部は声明を出し、8月15日付でアレッポ県マンビジュ市を自らが主導するシリア民主軍所属のマンビジュ軍事評議会に引き渡し済みであると発表した。

人民防衛隊総司令部は声明で「我々は総司令部は、我が部隊がアレッポ県マンビジュ市での解放作戦の任務を成功裏に終え、すべての司令部およびすべての軍事拠点をマンビジュ軍事評議会に移譲し、基地に撤退した。またマンビジュ市の民政評議会に8月16日付で市政を移譲済みである」と発表した。

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声明では撤退した「基地」がどこかは明示されておらず、トルコ政府やジョー・バイデン米副大統領の求めに応じてユーフラテス川以西に撤退したかは不明。

なお、米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道官はツイッターのアカウントで、シリア民主軍の主力部隊がユーフラテス川以東に撤退した、とつぶやいる。

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YPG主体のシリア民主軍の後援を受けるジャラーブルス軍事評議会は「自身と人民の防衛」のため、トルコ軍、反体制武装集団に応戦する意思を表明(2016年8月25日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の後援を受けるジャラーブルス軍事評議会総司令部のアリー・ハッジュー報道官は声明を出し、トルコ軍および反体制武装集団によるアレッポ県ジャラーブルス市への進攻に関して、「ダーイシュ(イスラーム国)は、交戦前に撤退し、その結果、シャーム自由人イスラーム運動やヌールッディーン・ザンキー運動など、アレッポでの破壊行為で知られるジハード主義組織が進入した」と指摘、「トルコとダーイシュの事前合意のもとで…ジャラーブルス占領が行われた」と批判した。

ハッジュー報道官は「我々の戦争は、ジャラーブルス市に入った諸派やトルコ軍に対して行われるのではなく、ダーイシュに対して行われているが…、我々は自分たち自身そして人民を防衛することをためらわない」と付言、反体制武装集団やトルコ軍と戦う意思を表明した。

最後に、ダーイシュの支配下にあった村々の解放に対する人民防衛隊の支援に謝意を示し、連帯を強調した。

ARA News, August 25, 2016
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アレッポ市内ではシリア軍の爆撃で15人が、ファトフ軍の砲撃で6人が死亡(2016年8月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市バーブ・ナイラブ地区を「樽爆弾」で空爆し、子供11人を含む15人が死亡した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がアレッポ市南西部郊外でウンム・カルア丘を襲撃しようとした反体制武装集団(ファトフ軍)と交戦、これを撃退した。

シリア軍はまた、士官学校一帯、マアッラータ村、バーズー丘で反体制武装集団の拠点を空爆した。

ファトフ軍がアレッポ市サラーフッディーン地区を砲撃し、女性1人を含6人が死亡、34人が負傷した。

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ヒムス県では、ARA News(8月25日付)によると、シリア軍が包囲するヒムス市ワアル地区に国連とシリア赤新月社の支援チームが貨物トラック13台分の支援物資を搬入した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がアクラブ町、ウンム・シャルシューフ村、アンズ村でシャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)などからなる反対し江武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がダルアー市ダルアー・バラド地区、マハッタ地区、旧税関地区南部、避難民キャンプ一帯で反体制武装集団の拠点に対する特殊作戦を行った。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月24日に9件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、ラタキア県、ハマー県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は1054件。

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西グータ地方(ダマスカス郊外県)の反体制武装集団の拠点都市ダーライヤー市で停戦が成立、戦闘員700人はイドリブ県に退去(2016年8月25日)

ダマスカス郊外県では、SANA(8月25日付)によると、西グータ地方における反体制武装集団(イスラーム軍など)の拠点都市であるダーライヤー市で停戦合意が成立した。

ダーライヤー市長のマルワーン・ウバイド氏がSANA特派員に明らかにしたところによると、停戦合意は、①ダーライヤー市の正常化、②同市内の住民約4,000人のダマスカス県およびダマスカス郊外県に設置された仮設居住施設への移送、③同市内で籠城を続けてきた戦闘員700人の中火器および重火器のシリア軍への引き渡しとイドリブ市への退去、を骨子とするという。

ARA News, August 25, 2016
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SANA, August 25, 2016
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これに関して、シリア人権監視団も、シリア政府当局とダーライヤー市で活動する諸派との間で交渉が行われ、同市での停戦が発効したと発表した。

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クッルナー・シュラカー(8月25日付)によると、ダーライヤー市内には約8,300人の民間人が反体制武装集団とともに籠城を続けてきた。

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