トルコ諜報機関は「これ以上事態が悪化すれば、ロシア・トルコによる停戦合意は崩壊する」とのエルドアン大統領のメッセージを伝える一方、国民解放戦線に最新鋭武器を供与(2019年5月15日)

ロイター通信(5月15日付)は、「反体制派の大物」筋の話として、ハマー県北部でのシリア軍との戦闘に関して、トルコの諜報機関が反体制派にメッセージを伝えたとし、その内容を明らかにした。

同消息筋はロイター通信に対して「(トルコのレジェップ・タイイップ・)エルドアン大統領は(ロシアのヴラジミール・)プーチン大統領に対して、これ以上問題が悪化すれば、(停戦にかかる)合意は崩壊する」と述べたと伝えられた」と語った。

同消息筋によると、トルコの諜報機関はまた、過去1年間にわたり反体制武装集団が激しい爆撃に耐えたことで、トルコの立場は強化され、モスクワに対して攻撃を弱めるよう圧力がかけられるようになった」とも伝えたという。

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イナブ・バラディー(5月15日付)は、「自由シリア軍」司令官の話として、トルコが国民解放戦線に、コルネット・ミサイル、TOW対戦車ミサイル、コンコルス・ミサイルなどの高性能兵器を新たに供与したと伝えた。

AFP, May 15, 2019、ANHA, May 15, 2019、AP, May 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2019、al-Hayat, May 16, 2019、Reuters, May 15, 2019、SANA, May 15, 2019、SOHR, May 15, 2019、UPI, May 15, 2019などをもとに作成。

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トルコのチャヴシュオール外務大臣は「シリア軍はイドリブ県内のトルコ軍監視所を攻撃していない」と述べ、アサド政権を「擁護」(2019年5月15日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンの境界地帯に設置されているトルコ軍の監視所がシリア軍の攻撃に曝されていないと述べ、アサド政権に対する「異例の弁護」を行った。

チャヴシュオール外務大臣は、記者会見で「イドリブ県内の監視所に対する攻撃は行われてない。この件は問題とはなっていないが、懸念はある」と述べた。

なお、シリア軍は5月4日、シール・マガール村にあるトルコ軍監視所を砲撃、兵士2人が死亡、8人が負傷している。

AFP, May 15, 2019、ANHA, May 15, 2019、AP, May 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2019、al-Hayat, May 16, 2019、‘Inab Baladi, May 15, 2019、Reuters, May 15, 2019、SANA, May 15, 2019、SOHR, May 15, 2019、UPI, May 15, 2019などをもとに作成。

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シリア大統領府はアサド大統領がトルコ諜報機関関係者と非公式会合を行ったとの報道を否定(2019年5月15日)

シリア大統領府は声明を出し、アサド大統領がトルコ諜報機関関係者との非公式会合で、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と直接会談する意思を示したとの報道に関して、事実無根だと否定した。

https://twitter.com/Presidency_Sy/status/1128380300340363265

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YPG主体のシリア民主軍は、自らに対する抗議デモが続くシュハイル村(ダイル・ザウル県)で「ダーイシュ・メンバー20人を拘束した」と発表(2019年5月15日)

ダイル・ザウル県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターが北・東シリア自治局の支配下のシュハイル村でダーイシュ(イスラーム国)のメンバー20人を拘束、武器弾薬を押収したと発表した

シュハイル村は5月9日、シリア民主軍が住宅地区(カトフ地区)を2時間以上にわたり封鎖し、米主導の有志連合ヘリコプター1機を同地を低空で旋回するなか、住民に発砲、6人を殺害、4人を負傷させた場所。

同地では、これに抗議するかたちで、シリア民主軍と有志連合の退去を求める抗議デモが再燃していた。

また、ANHA(5月15日付)によると、シリア民主軍はまた、東ジャルズィー村でも、ダーイシュのメンバー4人を拘束、武器弾薬を押収した。

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アレッポ県では、ANHA(5月15日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマンビジュ市でオートバイに仕掛けられた爆弾が爆発した。

死傷者はなかった。

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ダイル・ザウル県アリーシャ避難民キャンプで発生した抗議デモに向けてYPG主体のシリア民主軍が実弾を発砲(2019年5月15日)

ダイル・ザウル県では、SANA(5月15日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるアリーシャ町の避難民キャンプで、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の素行や犯罪行為に抗議し、生活状況改善を求めるデモが発生した。

これに対して、シリア民主軍は実弾を発砲し、強制解除を試み、参加者複数が負傷した。

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アレッポ市ナイラブ・キャンプ地区に対する14日の砲撃での死者数が14人にのぼるなか、ノールス研究センターは砲撃は反体制派ではなく「イランの民兵」によると主張(2019年5月15日)

シリア人権監視団は、14日のシリア政府支配下のアレッポ市ナイラブ・キャンプ地区に対する反体制武装集団の砲撃による犠牲者の数が12人に増加したと発表した。

犠牲者のうち子供は3人、女性は2人で、そのほかにも多数が負傷したという。

反体制武装集団は14日、アレッポ市東部のナイラブ・キャンプ地区のほか、ジュマイリーヤ地区、新スィルヤーン地区、ティシュリーン通り、マサーキン・サビール地区、ザフラー地区、ナイル通り地区、ムーカンブー地区などに数十発の迫撃砲弾を撃ち込んでいた。

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この砲撃に関して、ノールス研究センター(5月15日付)は、アレッポ市内の複数の消息筋の話として、砲撃が反体制武装集団ではなく、「イランの民兵」の支配下にある地域から行われたと発表し、ダイル・ザウル県南東部で最近になって表面化しているシリア軍と「イランの民兵」の対立の深刻さを示すものだとの見方を示した。

なお、ダイル・ザウル県では、最近になって、「イランの民兵」による略奪などをめぐる対立から、イラク国境に面するブーカマール市でイラン・イスラーム革命防衛隊の士官がシリア軍によって射殺される事件が発生している。

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米国の影響下にあるヨルダン国境地帯のルクバーン・キャンプから難民数十世帯が新たに帰還(2019年5月15日)

SANA(5月15日付)によると、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに身を寄せていたシリア難民数十世帯が、新たにスフナ市南部のジュライギーム通行所を通過し、シリアに帰国した。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから307人、ヨルダンから692人の難民が帰国、避難民19人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年5月15日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月15日付)を公開し、5月14日に難民999人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは307人(うち女性92人、子供157人)、ヨルダンから帰国したのは692人(うち女性208人、子供353人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は223,847人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者78,150人(うち女性23,592人、子ども39,775人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者145,697人(うち女性43,738人、子ども74,294人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 453,127人(うち女性135,688人、子供230,481人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

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一方、国内避難民19人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは11人(うち女性3人、子供4人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは8人(うち女性1人、子供2人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は29,035人(うち女性8,674人、子供12,715人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,297,631人(うち女性391,233人、子供656,481人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した8人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 15, 2019をもとに作成。

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シリア・ロシア軍の爆撃・砲撃は500回以上に及ぶなか、地上ではシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党などからなる反体制派とシリア軍が一進一退の攻防を続ける(2019年5月15日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯第1ゾーンに対するシリア・ロシア軍の激しい爆撃・砲撃は16日目を迎えた。

シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターが各所に投下した「樽爆弾」は96発、戦闘機による爆撃は50回、地上部隊が発射した迫撃砲弾、ロケット弾は390発あまりに達した。

ロシア軍も4回にわたり爆撃を実施した。

一連の戦闘で、シリア軍兵士9人、反体制武装集団戦闘員12人が死亡した。

なお、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より38人増えて436人となった。

うち、148人が民間人(女性32人、子供25人を含む)。

なお、ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、反体制派との戦闘では、シリア軍側にも甚大な被害が出ており、200人以上が死亡、500人以上が負傷しているという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターが、フワイズ村に「樽爆弾」13発、カラ・ジュルン村に5発、フワイジャ村に5発、マイダーン・ガザール村に5発、ハウラーター村に2発を投下、戦闘機がフワイズ村を10回爆撃した。

また地上では、シリア軍がシャフシャブー山(イドリブ県)に面するガーブ平原地域(ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、マイダーン・ガザール村、フワイズ村、カルカート村など)で、シャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党などと交戦し、同地を激しく砲撃、ハムラー村、ムハージリーン村一帯に進軍、フワイズ村を制圧した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、フワイズ村を制圧したのはシリア軍とパレスチナ人民兵組織のクドス旅団。

だが、シリア軍は反体制武装集団の反撃を受けて、数時間後に同地から撤退したという。

なお、トルコの支援を受ける国民解放戦線は、シリア軍撤退に先立ち、フワイズ村でシリア軍の車輌を23ミリ砲で撃破したと発表していた。

国民解放戦線はまた、シリア軍が進軍したハムラー村でT-72戦車1輌を破壊したと発表した。

一方、SANA(5月15日付)によると、シリア軍はジスル・バイト・ラース村、フワイズ村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターが、カッバーナ村一帯に「樽爆弾」49発を投下、戦闘機がカッバーナ村一帯を25回爆撃した。

一方、イバー・ネット(5月15日付)によると、クバイナ丘一帯に進攻を試みたシリア軍部隊をシャーム解放機構が撃退し、兵士4人を殺害、7人を負傷させた。

シャーム解放機構はまた、同地のシリア軍拠点を砲撃し、兵士1人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターが、フバイト村に「樽爆弾」7発、ウンム・ニール村に5発、ウンム・スィール村に5発を投下、戦闘機がハーン・シャイフーン市およびその一帯を7回、カフルサジュナ村を2回、サラーキブ市を2回、スフーフン村を2回爆撃した。

ロシア軍もヒーシュ村を2回、トゥラムラー村を2回爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、ジスル・シュグール市に対するシリア軍の爆撃で6人が死亡した。

一方、SANA(5月15日付)によると、シリア軍はジスル・シュグール市、シャフシャブー山、ヒーシュ村、ハーン・シャイフーン市、フバイト村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がICARDAを3回爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、シリア軍はカフルダーイル村、カフルハムラ村、フライターン市、ハイヤーン町を砲撃、カフルダーイル村では3人が死亡した。

一方、ANHA(5月15日付)によると、シャーム解放機構が、トルコ占領下のアフリーン郡シーラーワー町近郊のイスカーン(イースカー)村に潜入し、民家を襲撃、なかで眠っていた子供2人を殺害した。

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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、サナマイン市でシリア軍と武装集団が軽火器で交戦、シリア軍兵士1人が死亡、3人が負傷した。

戦闘は、軍事情報局のパトロール部隊がシャーム自由人イスラーム運動の元司令官の兄弟のアギード・ザフラ氏、息子のマジュディー・ザフラ氏、アビー・サーリフの名で知られる3人を拘束したのを受けたもの。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を8件(アレッポ県1件、ラタキア県6件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(アレッポ県5件、ハマー県3件)確認した。

AFP, May 15, 2019、ANHA, May 15, 2019、AP, May 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2019、al-Hayat, May 16, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 15, 2019、Reuters, May 15, 2019、SANA, May 15, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, May 15, 2019、SOHR, May 15, 2019、UPI, May 15, 2019などをもとに作成。

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