シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構のジャウラーニー指導者がビデオ映像を通じてトルコの支援を受ける反体制派にアレッポ県で戦端を開き、共闘するよう呼びかける(2019年5月17日)

シリアのアル=カーイダと目され、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)の軍事・治安権限を掌握するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の最新の映像がテレグラムを通じて公開された。

「シャイフ・アビー・ムハンマド・ジャウラーニーのシリア革命メディア関係者との会談の一コマ」と題された13分強の映像のなかで、ジャウラーニー指導者は「例えば、アレッポ県での作戦を開始すれば、我々を助けることはできる」と述べ、トルコの支援を受ける反体制派に対して共闘を呼びかけた。

また「我々の利益のため、敵を分散させ、新たな戦端を開こう」、「イドリブ県を守るため武器をとろう」と唱導した。

アレッポ県北部では、シリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団、アル=カーイダの系譜を汲むシャーム自由人イスラーム運動、そして「ユーフラテスの盾」作戦司令室、「オリーブの枝」作戦司令室として糾合していた諸々の武装集団が、トルコの支援を受けて国民軍の名で再編され、同地におけるトルコの実質占領を支えている。

一方、緊張緩和地帯において、トルコ軍の支援を受けてきた国民解放戦線は、シャーム解放機構との抗争に敗れ、2019年1月に主力がアレッポ県北部に退去したものの、多くの部隊が残留しており、4月30日にシリア・ロシア軍の攻撃が激化して以降は、シャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党、イッザ軍、さらには興のアル=カーイダ系組織フッラース・ディーン機構、アンサール・ディーン戦線、アンサール・タウヒード、アンサール・イスラーム集団からなる「信者を煽れ」作戦司令室と事実上共闘し、シリア軍に対峙している。

https://www.youtube.com/watch?v=XzCe3fVJqJw

 

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ジャアファリー・シリア国連代表「トルコが合意を遵守していないことに乗じて、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構がイドリブ県を掌握し、シリア国内にテロの温床が創り出された」(2019年5月17日)

国連安保理では、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンの事態悪化への対応を協議する会合が開かれた。

会合に出席したバッシャール・ジャアファリーシリア国連代表は、「トルコが緊張緩和地帯や非武装地帯の設置にかかる一連の合意を遵守していないことに乗じて、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構がイドリブ県を掌握し、シリア国内にテロの温床が創り出された」と批判した。

ジャアファリー国連代表はまた「緊張緩和地帯にかかる合意が暫定的なもので、これを維持したいのであれば、トルコがシリア領内での占領とイドリブ県でのテロ組織への支援を止める必要があることをみなが理解すべきだ」と強調した。

これに対して、トルコのフェリドゥン・スィニルリオール国連大使は、「シリア軍の攻撃により数十万の避難民が発生しており、こうした事態はトルコ、欧州などにとって人道危機、安全保障上の危機である」と発言し、その数が24万3000人に上っていると主張した。

スィニルリオール国連大使はまた、シリア軍が「民間人、学校、病院を意図的に狙っている…。シリア政府は数々の人道に対する罪を犯し、何度もレッド・ラインを踏み越えてきた。我々は同じ過ちを繰り返すことはできない」と批判、「イドリブ県に対する大規模軍事攻撃は人道危機をもたらす」と警鐘を鳴らした。

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YPG主体のシリア民主軍はダイル・ザウル県とハサカ県の県境でダーイシュ・メンバー42人を拘束(2019年5月17日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のダジュワール・ハルブ司令官とアーラーン・カーミシュロー司令官はハサカ県シャッダーディー市での記者会見で、シリア民主軍がダイル・ザウル県とハサカ県の県境地帯で隊員5,000人を投入し、ダーイシュ(イスラーム国)のスリーパー・セル摘発作戦を15日付で開始したと発表した。

スリーパー・セル摘発作戦は、ダイル・ザウル県シュハイル村からハサカ県フール町にいたる全長180キロ、幅80キロの地帯で、これまでにダーイシュ・メンバー42人を拘束したという。

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イスラエル軍がシリア領内をミサイル攻撃、防空部隊がこれを迎撃(2019年5月17日)

SANA(5月17日付)は軍消息筋の話として、シリア軍防空部隊がクナイトラ県方面から飛来した複数の敵の標的を迎撃、これを撃破したと伝え、その映像を公開した。

シリア人権監視団によると、シリア軍が迎撃したのはイスラエル軍のミサイルで、ダマスカス郊外県キスワ市近郊で少なくとも3回の爆発が発生した。

同地には、シリア軍防空部隊基地のほか、ヒズブッラーやイランの武器庫があるという。

一方、スプートニク・ニュース(5月17日付)は、シリア軍筋の話として、シリア軍防空部隊は4発の地対空ミサイルを発射し、クナイトラ県上空でミサイル複数発を撃破したと伝えた。


また、シリアの治安筋によると、シリア軍防空部隊はイスラエル軍の無人航空機1機も撃破したという。

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ロシアはシリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構によって、ロシア軍がイドリブ県で化学兵器を使用したと見せ掛ける準備が行われていると発表(2019年5月17日)

ロシア当事者和解調整センターは声明を出し、イドリブ県サラーキブ市の住民からの情報として、ロシア軍戦闘機がイドリブ県の市民に対して化学兵器を使用したと見せ掛ける準備が、シリアのアル=カーイダと目されるシャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)によって行われていると発表した。

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シリア軍の爆撃が続くなか、アレッポ県でシリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構とシリア軍が捕虜交換(2019年5月17日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯第1ゾーンに対するシリア・ロシア軍の激しい爆撃・砲撃は18日目を迎えた。

シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターが各所に投下した「樽爆弾」は35発、戦闘機による爆撃は65回に達した。

なお、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より12人(民間人3人、兵士・戦闘員9人)増えて474人となった。

うち、156人が民間人(女性33人、子供29人を含む)、308人がシリア軍兵士および反体制武装集団戦闘員。

なお、ノールス研究センター(5月17日付)によると、4月30日に激化した戦闘でのシリア軍の死者数が142人(うち士官は30人以上)にのぼっているという。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がカッバーナ村一帯を17回爆撃、ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」14発を投下した。

また地上では、シリア軍がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がハーン・シャイフーン市およびその一帯を3回、バアルブー村を2回、ウライニバ村を2回、マアッラト・ヌウマーン市を2回、カフルサジュナ村を2回、ナキール村を2回、トゥラムラー村を2回、マダーヤー村を2回、ヒーシュ村を2回、フバイト村を2回、カフル・アイン村を2回、フィキーア村およびその一帯を2回、カルサア村を2回爆撃し、ヘリコプターがトゥラムラー村に「樽爆弾」2発、ウライニバ村に2発、アービディーン村に2発を投下した。

一方、SANA(5月17日付)によると、シリア軍がヒーシュ村、ハーン・シャイフーン市、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、フバイト村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がガーブ平原およびシャフシャブー山(イドリブ県)各所を11回、カフルズィーター市を5回、アンカーウィー村を3発爆撃し、ヘリコプターがガーブ平原およびシャフシャブー山各所に「樽爆弾」12発、ラターミナ町およびその一帯に3発を投下した。

また地上では、ガーブ平原およびシャフシャブー山各所でシリア軍が反体制武装集団と激しく交戦した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月17日付)によると、反体制武装集団がカルカート村灌木地帯でシリア軍を要撃し、15人を殺害したという。

一方、SANA(5月17日付)によると、シリア軍がマサースィナ村一帯に進攻しようとしたシャーム解放機構を撃退した。

シリア軍はまた、サフリーヤ村、アミーカ村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

このほか、ガーブ平原地元諸評議会を名のる集団が声明を出し、ロシア・シリア両軍によるガーブ平原の村々の占領を拒否すると表明、革命家たちによる同地の解放を呼びかけた。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月17日付)によると、県南部のアイス通行所で、シリア軍とシャーム解放機構が捕虜交換を行い、シリア軍は女性22人を含む逮捕者27人の身柄を、シャーム解放機構はシリア軍捕虜9人の身柄をそれぞれに引き渡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(アレッポ県1件、ラタキア県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を18件(ハマー県12件、アレッポ県5件、イドリブ県1件)確認した。

AFP, May 17, 2019、ANHA, May 17, 2019、AP, May 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 17, 2019、al-Hayat, May 18, 2019、Nors for Studies, May 17, 2019、Reuters, May 17, 2019、SANA, May 17, 2019、SOHR, May 17, 2019、UPI, May 17, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから398人、ヨルダンから557人の難民が帰国、避難民11人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年5月17日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月17日付)を公開し、5月16日に難民955人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは398人(うち女性120人、子供203人)、ヨルダンから帰国したのは557人(うち女性167人、子供284人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は225,804人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者78,866人(うち女性23,203人、子ども38,762人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者146,938人(うち女性44,110人、子ども74,972人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 455,084人(うち女性135,688人、子供230,481人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

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一方、国内避難民11人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは11人(うち女性7人、子供2人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は29,529人(うち女性9,117人、子供13,368人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,298,125人(うち女性391,676人、子供657,134人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 17, 2019をもとに作成。

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