YPGシリア民主軍所属の一個中隊が除隊を認められないことに抗議し反乱、一部が脱走(2019年5月26日)

ハーブール(5月26日付)は、ハサカ県のタッル・タムル町近郊にある兵舎で、徴兵された若者からなるシリア民主軍所属の一個中隊が反乱を起こし、一部が脱走したと伝えた。

これを受け、シリア民主軍を主導する人民防衛隊(YPG)が、脱走兵を追ってカーミシュリー市近郊のアラブ人の町・村で強制捜査を行った。

脱走兵の数は300人に上り、徴兵期間終了後も除隊を認められてないことに抗議、25日に離反を宣言していたという。

離反宣言を受けて、シリア民主軍が兵舎を包囲し、戦闘によって双方に多数の死者が出る一方、30人あまりが兵舎を脱走した。

YPGが逃亡先と思われるカーミシュリー市近郊に車輌15輌からなる追跡部隊を派遣、タッル・ブラーク町、カフターニーヤ市、ヤアルビーヤ町、ルマイラーン町で強制捜査を行い、20人以上を拘束した。

AFP, May 27, 2019、ANHA, May 27, 2019、AP, May 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 27, 2019、al-Hayat, May 27, 2019、al-Khabur, May 26, 2019、Reuters, May 27, 2019、SANA, May 27, 2019、SOHR, May 27, 2019、UPI, May 27, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアのアル=カーイダとトルコの支援を受ける反体制派が一同に会し、シリア・ロシア軍の攻撃に対する軍事面での連携強化、合同作戦司令室設置の是非について協議(2019年5月26日)

ドゥラル・シャーミーヤ(5月26日付)は、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者、トルコが支援する国民解放戦線に参加するアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動のジャービル・アリー・バーシャー総司令官、バラク・オバマ前米政権の支援を受けてきた「穏健な反体制派」のイッザ軍、シャームの鷹旅団のアブー・イーサー・シャイフ司令官が一同に会して会合を開き、シリア・ロシア軍の攻撃によって悪化したイドリブ県、ハマー県の戦況への対応について協議したと伝えた。

会合が開かれた場所は不明。

国民解放戦線のハサン・スーファーン氏(シャーム自由人イスラーム運動前総司令官)、シャリーア学者のアナス・アルヌート氏のほか、「革命諸派」の司令官や法学者も同席したという。

会合では、シリア・ロシア軍に対する軍事面での連携、合同作戦司令室の設置の是非などについて話し合われたという。

AFP, May 26, 2019、ANHA, May 26, 2019、AP, May 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 26, 2019、al-Hayat, May 27, 2019、Reuters, May 26, 2019、SANA, May 26, 2019、SOHR, May 26, 2019、UPI, May 26, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・ロシア軍はイドリブ県などに対して286回の爆撃を実施、「樽爆弾」175発を投下、砲弾1,285発を撃ち込み、ハマー県北部のカフルヌブーダ町を再制圧(2019年5月26日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯第1ゾーンでは、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから27日目となる5月26日も、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が激しく交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より94人(民間人12人、シリア軍兵士37人、反体制武装集団戦闘員45人)増えて814人となった。

うち、236人が民間人(女性46人、子供47人を含む)、578人がシリア軍兵士(269人)および反体制武装集団戦闘員(309人)。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は220回、投下した「樽爆弾」の数は175発を記録、ロシア軍も46回の爆撃を実施した。

また、シリア軍地上部隊が発射した砲弾は1,285発以上にのぼった。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でフバイト村に42回、ハーン・シャイフーン市およびその一帯に28回、アービディーン村に10回、ナキール村に7回、ヒーシュ村に7回、カッサービーヤ村に5回、スフーフン村に5回、カフルサジュナ村、シャイフ・ムスタファー村、ウンム・ザイトゥーナ村、マアッラト・ヌウマーン市、フライフィル村、タッルアース村にそれぞれ3回の爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでフバイト村に「樽爆弾」42発を、ハーン・シャイフーン市およびその一帯に10発、ファッティーラ村に8発、カッサービーヤに8発、シャイフ・ムスタファー村に7発、ナキール村に3発、マルダム村、マアッラト・スィーンにそれぞれ2発投下した。

シリア軍地上部隊も県南部、シャフシャブー山一帯を砲撃した。

ロシア軍戦闘機もフバイト村、ハーン・シャイフーン市およびその一帯、マルダム村、ファッティーラ村、ミラージャ村、カフルムース村、バアルブー村、アルマナーヤー村、トゥラムラー村、カフルサジュナ村、シャイフ・ダーミス村に爆撃を実施した。

https://www.facebook.com/idleb.Network.News/videos/448089572425041/

ドゥラル・シャーミーヤ(5月26日付)によると、シリア軍はハーン・シャイフーン市、アービディーン村に対する爆撃で白リン弾を使用したという。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルヌブーダ町に79回、カフルズィーター市に3回の爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルヌブーダ町に「樽爆弾」91発、カフルズィーター市に2発を投下した。

シリア軍地上部隊も県北部のガーブ平原などを砲撃、カフルヌブーダ町だけで710発以上の砲弾を撃ち込んだ。

ロシア軍戦闘機もカフルズィーター市に爆撃を実施した。

この攻撃により、SANA(5月26日付)、ANHA(5月26日付)などによると、シリア軍はカフルヌブーダ町を完全制圧し、同地から反体制武装集団を一掃した。

シリア軍は5月8日にカフルヌブーダ町を制圧していたが、その後、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党、イッザ軍、そしてトルコの支援を受ける国民解放戦線による反撃を受け、10日に同地の70%を喪失し、一進一退の攻防を続けていた。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(5月26日付)、反体制武装集団はカフルヌブーダ町などでシリア軍の戦車、装甲車輌などを破壊、SANAによると、シリア政府支配下のスカイラビーヤ市、ムハルダ市を砲撃し、住民2人が負傷した。

このほか、SANAによると、カルアト・マディーク町で爆発物などの撤去を続けるシリア軍が、地下20メートル、全長50メートルの地下トンネルを発見した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカッバーナ村一帯に16回の爆撃を実施した。

また地上部隊が同地一帯を砲撃した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を14件(ハマー県3件、ラタキア県11件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を10件(ハマー県8件、アレッポ県1件、ラタキア県1件)確認した。

AFP, May 26, 2019、ANHA, May 26, 2019、AP, May 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 26, 2019、al-Hayat, May 27, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 26, 2019、Reuters, May 26, 2019、SANA, May 26, 2019、SOHR, May 26, 2019、UPI, May 26, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノン・ヒズブッラーのナスルッラー書記長「欧米諸国、アラブ湾岸諸国はシリアでの国会選挙に難民を参加させたくないので、その帰国を阻止している」(2019年5月26日)

レバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、2006年のレバノン紛争の戦勝記念日にあたる「解放記念日」(5月25日)に合わせて、マナール・チャンネル(5月25日付)を通じてテレビ演説を行った。

演説ではシリア情勢についても言及、「アサド大統領は電話会談で、すべてのシリア難民を帰還させたいとの意思を示し、帰還を促す用意があると述べた」と述べた。

ナスルッラー書記長はまた、「しかし、米国、西側諸国、そしてアラブ湾岸諸国は、(2020年に)シリアで(人民議会)選挙があるため、シリア難民が帰国することを頑なに拒否している…。政治的な理由で、シリア難民の帰国を阻止しようとしており、それはアメとムチを用いて行われている…。シリアが安全でないとの吹聴することが、シリア人に帰国への恐怖を抱かせようとする方法の一つだ」と述べ、西側諸国を非難した。

AFP, May 26, 2019、ANHA, May 26, 2019、AP, May 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 26, 2019、al-Hayat, May 27, 2019、Qanat al-Manar, May 26, 2019、Reuters, May 26, 2019、SANA, May 26, 2019、SOHR, May 26, 2019、UPI, May 26, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから342人、ヨルダンから699人の難民が帰国、避難民17人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年5月26日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月26日付)を公開し、5月25日に難民1,041人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは342人(うち女性27人、子供45人)、ヨルダンから帰国したのは699人(うち女性184人、子供213人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は234,687人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者82,129人(うち女性24,360人、子ども41,079人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者152,558人(うち女性27,542人、子ども46,762人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 463,967人(うち女性139,243人、子供236,519人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

**

一方、国内避難民17人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは11人(うち女性5人、子供4人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは6人(うち女性2人、子供2人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は30,216人(うち女性4,383人、子供5,478人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,298,812人(うち女性386,338人、子供648,448人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した6人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 26, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.