ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから408人、ヨルダンから559人の難民が帰国、避難民4人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年5月19日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月19日付)を公開し、5月19日に難民967人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは408人(うち女性123人、子供208人)、ヨルダンから帰国したのは559人(うち女性168人、子供285人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は227,734人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者79,595人(うち女性24,026人、子ども40,511人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者148,139人(うち女性32,467人、子ども55,139人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 457,014人(うち女性120,047人、子供203,908人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

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一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは4人(うち女性2人、子供2人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は29,544人(うち女性3,866人、子供4,771人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,298,140人(うち女性387,096人、子供649,430人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 19, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダルアー県サナマイン市へのシリア軍の封鎖が続くなか、何者かが治安機関本部を砲撃(2019年5月19日)

ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月20日付)によると、サナマイン市にある治安機関の本部に対して何者かがRPG弾を発射した。

事件は、シリア軍がサナマイン市で15日に拘束した3人(反体制武装集団の司令官だったワリード・ザフラ氏の兄弟マジュディー・ザフラ氏とアギード・ザフラ氏、そしてアブー・サーリフを名のる人物)のうちの1人(アギード氏)が拷問で死亡したとの情報が流れたことを受けたもの。

3人の拘束に対して住民が反発し、シリア軍兵士2人が死亡する騒ぎとなるなど、サナマイン市は緊張状態が続いており、シリア軍が同地を封鎖している。

AFP, May 20, 2019、ANHA, May 20, 2019、AP, May 20, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2019、al-Hayat, May 21, 2019、Reuters, May 20, 2019、SANA, May 20, 2019、SOHR, May 21, 2019、UPI, May 20, 2019などをもとに作成。

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シリアのアル=カーイダに近いイバー通信がラタキア県でシリア軍が塩素ガス攻撃を行ったと主張、シリア軍はこれを否定(2019年5月19日)

ラタキア県では、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構に近いイバー・ネット(5月19日付)は、シリア軍が早朝、県北部のクルド山地方カッバーナ村近郊のクバイナ丘を塩素ガスを装填した砲弾で攻撃したと伝えた。

イバー・ネットは「ラタキア県北部クルド山のクバイナ丘に対する犯罪者政権と占領者ロシアの民兵による数十回にわたる攻撃の試みが失敗し、同地で戦うジハード戦士が伝説とも言える不屈の抵抗を続けるなか、ヌサイリー軍は塩素ガスで同地を砲撃している」としたうえで、「シリア軍は19日早朝、クバイナ丘への進軍に失敗したことを受け、同地の戦士たちの拠点複数カ所に対して有毒塩素を装填したロケット弾3発で攻撃を行った」と伝えた。

同サイトの特派員によると、この砲撃で反体制派側に死傷者は出なかったが、シリア軍は同地への攻撃を続けているという。

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イバー・ネットの報道は、反体制派系のイナブ・バラディー、ザマーン・ワスル、SNN、ドゥラル・シャーミーヤなどによって拡散された。

また、ベルギーで活動する反体制派系NGOの「シリア化学兵器違反記録センター」(CVDCS)も声明を出し、クナイバ丘が有毒ガスを装填したロケット弾3発の攻撃を受けたとしたうえで、複数の目撃者の証言として、砲弾が爆発すると、黄色の煙が上がり、塩素のような刺激臭がしたと発表した。

また、同センターの声明によると、この攻撃後に負傷者4人の治療にあたった医師も、目の充血や呼吸困難といった症状を発症していたと証言しているという。

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これに対して、シリア軍武装部隊総司令部は、ラタキア県カッバーナ村でシリア軍が化学兵器を使用したとの情報が「捏造された虚偽の報道であり、事実無根」だと否定した。

シリア軍筋は、SANA(5月19日付)に対して、「敗北を喫した後にしてきたように、テロ集団とその配下にある一部メディアは、シリア・アラブ軍がカッバーナ村で化学兵器を使用したとする捏造されたウソのニュースを拡散した…。こうした報道の一切を否定するとともに…、テロとの戦いに邁進すると強調したい」と述べた。

ロシア外務省高官筋もこの情報を否定した。

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なお、シリア人権監視団によると、ラタキア県では、シリア軍がカッバーナ村およびクルド山一帯を砲撃した。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(5月19日付)、イバー・ネット(5月19日付)によると、ラタキア県では、シリア軍がクバイナ丘を砲撃し同地に進攻し、シャーム解放機構が応戦した。

AFP, May 19, 2019、ANHA, May 19, 2019、AP, May 19, 2019、CVDCS, May 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2019、al-Hayat, May 20, 2019、‘Inab Baladi, May 19, 2019、Reuters, May 19, 2019、SANA, May 19, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, May 19, 2019、SOHR, May 19, 2019、UPI, May 19, 2019、Zaman al-Wasl, May 19, 2019などをもとに作成。

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シリア軍側による停戦発表にもかかわらず、ロシア軍はイドリブ県、ハマー県への爆撃を再開(2019年5月19日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯第1ゾーンに対するシリア・ロシア軍の激しい爆撃・砲撃は20日目を迎えた。

18日のシリア軍側による停戦発表で、中断していた爆撃・砲撃は再開され、ロシア軍がイドリブ県、ハマー県への爆撃を加え、イドリブ県、ハマー県でシリア軍と反体制武装集団が交戦した

シリア人権監視団によると、これにより、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より11人(民間人10人、兵士・戦闘員1人)増えて492人となった。

うち、173人が民間人(女性39人、子供34人を含む)、312人がシリア軍兵士および反体制武装集団戦闘員。

ノールス研究センターによると、シリア軍側の犠牲者は170人(うち士官40人)にのぼり、そのほとんどが、スハイル・ハサン准将の指揮下にある民兵(いわゆる第5軍弾)、パレスチナ人民兵のクドス旅団、そしてマーヒル・アサド少将が実質司令官を務める第4師団の将兵だという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がカフルナブル市およびその一帯を8回爆撃した。

この爆撃で、女性1人と子供1人を含む3人が死亡、市内のサイイダ・ミリヤム病院が狙われ、同病院が物的被害を受け、利用不能となった。

またシリア軍がハーン・シャイフーン市、カフルナブル市、フバイト村など県南部および西部一帯を砲撃し、女性1人と子供人を含む7人が死亡した。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月19日付)によると、ロシア軍の爆撃により、カフルナブル市で女性と子供を含む8人が死亡、多数が負傷、ハーン・シャイフーン市で3人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がザイズーン村を2回爆撃した。

シリア軍がカストゥーン村、アンカーウィー村、マイダーン・ガザール村、ハウラター村、ザイズーン村、ジャドラーヤー村、サフン村を砲撃し、女性1人と女児1人を含む3人が死亡した。

これに対して、シャーム解放機構は、カルカート村灌木地帯のシリア軍拠点を砲撃した。

一方、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構に近いイバー・シャーミーヤ(5月19日付)によると、シャーム解放機構がカルカート村灌木地帯、マイダーン・ガザール村に進軍しようとしたシリア軍を要撃した。

これに対して、SANA(5月19日付)は、反体制武装集団がシリア軍によって制圧されたハマーミーヤート村一帯を砲撃、これに対してシリア軍が反撃したと伝えた。

シリア軍はまた、フワイズ村、カルカート村一帯で活動するシャーム解放機構の拠点を砲撃したという。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を14件(ラタキア県11件、ハマー県2件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を9件(アレッポ県1件、ラタキア県3件、ハマー県5件)確認した。

AFP, May 19, 2019、ANHA, May 19, 2019、AP, May 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2019、al-Hayat, May 20, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 19, 2019、Nors for Studies, May 19, 2019、Reuters, May 19, 2019、SANA, May 19, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, May 19, 2019、SOHR, May 20, 2019、UPI, May 19, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が北・東シリア自治局とシリア政府が共同統治するタッル・リフアト市郊外を砲撃(2019年5月19日)

アレッポ県では、ANHA(5月19日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府が共同統治するタッル・リフアト市郊外のマルアナーズ村、マーリキーヤ市(シャッラー村近郊)を砲撃した。

また、トルコの支援を受ける反体制武装集団は同地近郊のクワンディー・マーズィン村の農場を焼き討ちにした。

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一方、北・東シリア自治局の支配下にある県東部のマンビジュ市中心街の商店前に仕掛けられた地雷2発が相次いで爆発した。

死傷者はなかった。

AFP, May 19, 2019、ANHA, May 19, 2019、AP, May 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2019、al-Hayat, May 20, 2019、Reuters, May 19, 2019、SANA, May 19, 2019、SOHR, May 20, 2019、UPI, May 19, 2019などをもとに作成。

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米国の影響下にあるヨルダン国境地帯のルクバーン・キャンプから難民数十世帯が新たに帰還(2019年5月19日)

SANA(5月19日付)によると、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに身を寄せていたシリア難民数十世帯が、新たにスフナ市南部のジュライギーム通行所を通過し、シリアに帰国した。

AFP, May 19, 2019、ANHA, May 19, 2019、AP, May 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2019、al-Hayat, May 20, 2019、Reuters, May 19, 2019、SANA, May 19, 2019、SNN, May 19, 2019、SOHR, May 20, 2019、UPI, May 19, 2019などをもとに作成。

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