ロシア・シリア両軍はシリアのアル=カーイダ支配地域に220回の爆撃を実施する一方、トルコが支援する反体制派がシリア軍拠点を攻撃(2019年5月7日)

シリア人権監視団によると、6日夜以降、ロシア・シリア両軍がハマー県、イドリブ県、アレッポ県の反対派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)に対して220回もの爆撃を実施した。

ANHA(5月6日付)によると、両軍はラマダーン月2日となる6日夜の日没直後から、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構の拠点に対して爆撃・砲撃を開始した。

また、シリア人権監視団によると、反体制派支配地域でシリア軍と、シャーム解放機構やトルキスタン・イスラーム党などからなる反体制武装集団が交戦、シリア軍兵士22人、シャーム解放機構やトルキスタン・イスラーム党のメンバーを含む反体制武装集団戦闘員21人が死亡した。

**

イドリブ県では、ロシア軍戦闘機が、シャーム解放機構の支配下にあるフバイト村、カフルナブル市、カフルサジュナ村、ナキール村、ハーン・スブル村一帯、トゥラムラー村、カフルヌブーダ町に複数回、カルサア村およびその一帯、ウンム・ニール村に3回、カッサービーヤ村灌木地帯、アービディーン村、マガッル・ハマーム村、カフル・ウワイド村一帯、ハーン・シャイフーン市北、マアッラト・ハルマ村、マウザラ村、ガッサーニーヤ村、ナール丘に2回のの爆撃を行った。

ロシア軍戦闘機はまた、マアッラト・ヌウマーン市、ハーッス村、カフルナブル市、カルサア村、マアッラト・ハルマ村、フバイト村、カンスフラ村に機銃掃射を行った。

シリア軍戦闘機も、フバイト村、カフルサジュナ村、トゥラムラー村、カッサービーヤ村灌木地帯に複数回、アービディーン村、マルイヤーン村一帯、バサーミス村、カフル・ウワイド村に3回、マアッラト・ハルマ村、マアッラト・ヌウマーン市、カンスフラ村、放棄された大隊基地に2回の爆撃を行った。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月7日付)によると、一連の爆撃で民間人8人が死亡、数十人が死亡した。

このうち、4人はラアス・アイン村の商店街や住宅街に対するシリア軍の爆撃で犠牲になったという。

一方、ANHA(5月6日付)によると、シリア軍は、マアッラト・ヌウマーン市、イブリーン村、バイルーン村一帯、カフルサジュナ村、カンスフラ村一帯、イフスィム町、ガッサーニーヤ村、カフルナブル市、放棄された大隊基地、ナキール村一帯、アルナバ村を砲撃した。

このほか、ANHA(5月6日付)によると、イドリブ市のサアド・モスク近くで大きな爆発があった。

爆発は、シャーム解放機構の車輌を狙ったものだという。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がサルマーニーヤ村に複数回、トゥワイナ村、シャフルナーズ村、サフリーヤ村に3回、ウスマーン丘に2回、クライディーン村に1回の爆撃を行った。

ロシア軍戦闘機はまた、カフルズィーター市一帯に機銃掃射を行った。

シリア軍戦闘機も、カフルズィーター市に3回、サイヤード村、サルマーニーヤ村、カフルヌブーダ町に2回の爆撃を行った。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月7日付)によると、ザカート村に対する爆撃で民間人3人が死亡、複数が負傷した。

ANHA(5月6日付)によると、シリア軍はさらに地上部隊がサルマーニーヤ村を砲撃するとともに、県北部でシャーム解放機構との戦闘の末、戦略的要衝のウスマーン丘を一時制圧した。

ただし、ウスマーン丘では、シャーム解放機構が反撃を強め、数時間後にこれを奪還した。

なお、この戦闘で双方に数十人の死傷者が出た。

一方、SANA(5月7日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市、アルバイーン村、シャフルナーズ村、カフルヌブーダ町のシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がカッバーナ村に3回の爆撃を行った。

また、ANHA(5月6日付)によると、シリア軍地上部隊がクバイナ丘を砲撃した。

これに対して、トルコの支援を受ける国民解放戦線が、トルコマン山に近いアブー・アスアド丘にあるシリア軍拠点を襲撃し、兵士8人を殺害、25人以上を負傷させたと発表し、その映像を公開した。

**

アレッポ県では、ロシア軍戦闘機がズィルバ村、ハミーラ村に3回、シャンナーン村に1回の爆撃を行った。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ラタキア県6件、アレッポ県1件、イドリブ県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を16件(アレッポ県5件、ハマー県6件、イドリブ県3件、ラタキア県2件)確認した。

AFP, May 7, 2019、ANHA, May 7, 2019、AP, May 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2019、al-Hayat, May 8, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 7, 2019、Reuters, May 7, 2019、SANA, May 7, 2019、UPI, May 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国連のグテーレス事務総長は悪化するイドリブ県情勢に警鐘を鳴らし、すべての当事者に停戦遵守を呼びかける(2019年5月7日)

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明を出し、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構の支配下にあるシリア北西部の反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)に対してロシア・シリア軍が攻撃を強めていることに関して、国際法を尊重して民間人を保護し、停戦を遵守するよう呼びかけた。

グテーレス事務総長は、爆撃によってインフラが破壊され、数百人が死傷し、15万人以上が避難を余儀なくされているとの情報に懸念を示すとともに、すべての当事者に国際法を尊重して民間人を保護するよう呼びかけるとともに、2018年9月17日にロシアとトルコが交わした緊張緩和地帯第1ゾーンでの非武装地帯設置にかかる停戦合意を遵守するよう求めた。

AFP, May 7, 2019、ANHA, May 7, 2019、AP, May 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2019、al-Hayat, May 8, 2019、Reuters, May 7, 2019、SANA, May 7, 2019、UPI, May 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

フランスのマクロン大統領は、アル=カーイダに対するロシア・シリア軍の攻撃を「いかなる軍事的選択肢も受け入れられない」と非難(2019年5月7日)

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構の支配下にあるシリア北西部の反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)に対してロシア・シリア軍が攻撃を強めていることに関して、「いかなる軍事的選択肢も受け入れられない」と非難した。

マクロン大統領は「爆撃により数百人が死傷し、15万人以上が避難を余儀なくされている…。シリアの人道状況は深刻で、いかなる軍事的選択肢も受け入れられない」と述べた。

ロイター通信(5月7日付)が伝えた。

AFP, May 7, 2019、ANHA, May 7, 2019、AP, May 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2019、al-Hayat, May 8, 2019、Reuters, May 7, 2019、SANA, May 7, 2019、UPI, May 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから323人、ヨルダンから768人の難民が帰国、避難民25人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年5月7日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月7日付)を公開し、5月6日に難民1,091人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは323人(うち女性97人、子供165人)、ヨルダンから帰国したのは768人(うち女性230人、子供392人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は215,341人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者75,437人(うち女性22,799人、子ども36,392人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者139,904人(うち女性42,000人、子ども71,339人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 444,621人(うち女性133,437人、子供226,653人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,659,752人(うち女性1,997,926人、子供3,396,474人)。

**

一方、国内避難民25人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは10人(うち女性4人、子供4人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは6人(うち女性1人、子供4人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは9人(うち女性3人、子供3人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は27,522人(うち女性8,674人、子供12,715人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,296,118人(うち女性391,233人、子供656,481人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した9人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 7, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍はフマイミーム航空基地(ラタキア県)に向けてシャーム解放機構がロケット弾を防空システムで撃破(2019年5月7日)

ロシア当事者和解調整センターは、イドリブ県の緊張緩和地帯(ザーウィヤ山一帯)で活動する反体制武装集団(シャーム解放機構)がシリア駐留ロシア軍司令部のあるラタキア県のフマイミーム航空基地に対して行ったロケット弾攻撃を、ロシア軍が96K6パーンツィリS1および9K331MトールM1防空システムで迎撃し、すべてのロケット弾を撃破したと発表した。

撃破したロケット弾は27発に及び、基地には被害はなかった。

AFP, May 7, 2019、ANHA, May 7, 2019、AP, May 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2019、al-Hayat, May 8, 2019、Reuters, May 7, 2019、SANA, May 7, 2019、UPI, May 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局の支配下にあるマンビジュ市でオートバイが爆発し子供1人が負傷(2019年5月7日)

アレッポ県では、ANHA(5月7日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマンビジュ市のサラースィーン通りでオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、子供1人が負傷した。

AFP, May 7, 2019、ANHA, May 7, 2019、AP, May 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2019、al-Hayat, May 8, 2019、Reuters, May 7, 2019、SANA, May 7, 2019、UPI, May 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米主導の有志連合は4月21日~5月4日までの14日間、シリアでの爆撃を実施せず(2019年5月7日)

米中央軍(CENTCOM)は、4月21日~5月4日の14日間でのシリア、イラク両国における有志連合の爆撃の戦果をHPで発表した。

それによると、両国領内でのダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対する爆撃回数は10回で、うちシリア領内での回数は0回、イラク領内での回数は10回だった。

各日の爆撃回数、標的(場所)の詳細は開示されなかった。

なお、この期間中、有志連合以外の部隊(ロシア・シリア軍)はユーフラテス川河畔で18回の爆撃を実施したという。

CENTCOM, May 7, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.