欧州地中海人権モニターは、YPG主体のシリア民主軍がシリア東部で市民の処刑など、数々の人権侵害を行っていると非難(2019年7月30日)

スイスのジュネーブで活動するNGOの欧州地中海人権モニターは、米主導の有志連合の支援を受ける人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、シリア東部で市民の処刑など、数々の人権侵害を行っているとする報告書を発表した。

「宙に浮いた犯罪:シリア民主軍は有志連合の傘下でシリア人に対する恐るべき罪を犯している」(Crimes in limbo: SDF commits horrific crimes against Syrians under the cover of the international coalition)と題された報告書のなかで、同組織は、シリア民主軍が「アラブ人、クルド人、シリア正教徒などすべてのシリア人からなる」組織だと謳っているにもかかわらず、実際にはクルド人が70%を占めているとしたうえで、ラッカ市、ダイル・ザウル市といった都市で苦難に苛まれてきた数千人のシリア人は、ダーイシュが殲滅され、シリア民主軍がシリア東部の自治を担うようになってからむしろ倍増したと指摘した。

具体的には、シリア民主軍は18歳未満の児童を含む市民を徴兵し、戦闘に参加させているほか、市民に対する拷問、殺害を繰り返していると非難した。

欧州地中海人権モニターは、こうした犯罪は、米国が主導する有志連合の支援、連携のもとに現在も行われ続けていると指弾、国連に介入するよう呼びかけている。

また、シリア民主軍は、ダーイシュに従っていたとして市民多数を処刑しているという。

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なお、27日には、シリア民主軍の隊員がアレッポ県東部で女性1人と若者2人に殴る蹴るなどの暴行を加えている映像がSNSにアップされ、活動家らによって拡散されていた。

 

AFP, July 30, 2019、ANHA, July 30, 2019、AP, July 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2019、Reuters, July 30, 2019、SANA, July 30, 2019、SOHR, July 30, 2019、UPI, July 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装集団はアスタナ13会議への参加を表明(2019年7月30日)

アスタナ会議に代表を派遣してきた反体制武装集団(シリア軍事革命諸勢力代表団)は声明を出し、8月1~2日に予定されているアスタナ13会議に参加すると表明した。

声明は、ヤースィル・アブドゥッラヒーム氏がトルコ占領下のアレッポ県アフリーン郡での記者会見で「アスタナ使節団軍事報道官」の名で発表した。

アブドゥッラヒーム氏は「使節団は、北部各所への爆撃停止、逮捕者釈放といった多くの要求を用語するために(アスタナに)向かう」と表明した。

AFP, July 30, 2019、ANHA, July 30, 2019、AP, July 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2019、Reuters, July 30, 2019、SANA, July 30, 2019、SOHR, July 30, 2019、UPI, July 30, 2019などをもとに作成。

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ロシア日刊紙は6月のヒムス県でのダーイシュの攻撃でロシア軍兵士3人が死亡していたと伝える(2019年7月30日)

ロシア日刊紙の『ノヴァヤー・ガゼタ』(7月30日付)は、ヒムス県東部で6月に発生した戦闘で、ロシア軍兵士3人が死亡していたと伝えた。

同紙によると、戦闘はタドムル市へのダーイシュ(イスラーム国)の奇襲によるもので、3人はいずれも6月15日に戦死したという。

AFP, July 30, 2019、ANHA, July 30, 2019、AP, July 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2019、Novaya Gazeta, July 30, 2019、Reuters, July 30, 2019、SANA, July 30, 2019、SOHR, July 30, 2019、UPI, July 30, 2019などをもとに作成。

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「人民自由人」を名のるグループがトルコ占領地での「テロ」への報復として、ラッカ県県でYPG主体のシリア民主軍のパトロール部隊を襲撃(2019年7月30日)

「人民自由人」を名のるグループがツイッターのアカウント(https://twitter.com/ahrar_alshaab/)を通じてビデオ声明を出し、ラッカ県で、「クルディスタン労働者党(PKK)の犬ども」(人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍)のパトロール部隊を襲撃したと発表した。

襲撃は、トルコの占領下にある「ユーフラテスの盾」地域各所でのシリア民主軍による「テロ攻撃」への報復で、直接の被害を与えたという。

https://twitter.com/ahrar_alshaab/status/1155213992048189440

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アレッポ県では、ANHA(7月30日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村(アフリーン郡シャッラーン町近郊)を砲撃した。

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YPG主体のシリア民主軍はダイル・ザウル県でダーイシュのアジト21カ所を急襲、メンバー30人逮捕(2019年7月30日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(7月30日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するダイル・ザウル軍事評議会のテロ撲滅チームがズィーバーン町、シュハイル村、ブサイラ市にあるダーイシュ(イスラーム国)のアジト21カ所を急襲し、メンバー30人を逮捕、武器弾薬を押収した。

AFP, July 30, 2019、ANHA, July 30, 2019、AP, July 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2019、Reuters, July 30, 2019、SANA, July 30, 2019、SOHR, July 30, 2019、UPI, July 30, 2019などをもとに作成。

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イドリブ県、ハマー県、ラタキア県でシリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の戦闘続く(2019年7月30日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから90日目となる7月30日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より50人(民間人1人(うち女性0人、子供0人)、シリア軍兵士27人、反体制武装集団戦闘員22人)増えて2,850人となった。

うち、853人が民間人(女性158人、子供209人を含む)、1,003人がシリア軍兵士、1,034人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は66回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」48発を投下、ロシア軍も38回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は約300発におよんだ。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でICARDA、アターリブ市に対して爆撃を実施、アターリブ市で男性1人が死亡した。

またシリア軍は地上部隊がアレッポ市西部郊外を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ザカート村、ラターミナ町、ムーリク市、アルバイーン村、ラトミーン村、アブー・ライーダ村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルズィーター市、ムーリク市、ザカート村、ラターミナ町に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県北部および北西部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もムーリク市、ラターミナ町、カフルズィーター市、ザカート村を爆撃した。

なお、反体制武装集団も、シリア政府支配下のブライディージュ村、タッル・ミルフ村、シャルユート村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でジャバーラー村、アーミリーヤ村、サラーキブ市に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハーン・シャイフーン市に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もジャバーラー村、ハーン・シャイフーン市を爆撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカッバーナ村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターで同地に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が同地を砲撃した。

ロシア軍もカッバーナ村一帯を爆撃した。

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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月30日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、武装集団がサナマイン市にあるシリア軍検問所を襲撃、シリア軍と交戦した。

武装集団は市内の刑事治安局に手榴弾が投げ込むなどし、戦闘で双方に死傷者が出た。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(アレッポ県1件、ラタキア県7件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を9件(ハマー県8件、イドリブ県1件)確認した。

AFP, July 30, 2019、ANHA, July 30, 2019、AP, July 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 30, 2019、Reuters, July 30, 2019、SANA, July 30, 2019、SOHR, July 30, 2019、UPI, July 30, 2019などをもとに作成。

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