カタール航空は1機あたり150米ドルのシリア上空通過料をアサド政権に支払う(2019年7月7日)

シリア民間航空公社のイヤード・ザイダーン総裁は、『ワタン』(7月7日付)に対して、シリア領空を通過する諸外国の民間航空機から徴収している上空通過料の額を明らかにした。

ザイダーン総裁によると、上空通過料は総重量75トン以下の航空機1機に対して150米ドルで、75トン以上の航空機の場合は、76から200トンまでは1トンにつき2.10ドル、201トン以上は1トンにつき2.4ドルの追加料金が上乗せされているという。

上空通過料を支払っている航空会社には、イラク航空、イラン航空、レバノンのミドル・イースト航空、そしてシリア政府と断交状態にあるカタール航空が含まれており、徴収された通過料の総計は2019年上半期だけで総額300万米ドルに達しているという。

カタール航空は、シリア領内での有志連合やロシア軍の爆撃に伴う危険を回避するとして、シリア領空を迂回するかたちでドーハ・ベイルート便を運航してきたが、2019年4月にシリア上空への通過を再開していた。

なお、ズィヤード総裁によると、シリア国内の民間空港の施設改善費用を得るため、各航空会社が支払ってきた空港使用料を50%引き上げたことも明らかにした。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019、al-Watan, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ジェフリー米国務省シリア問題担当特使「米国はシリア北東部に駐留を続ける米軍部隊の一部の代わりに地上部隊を派遣するようドイツに要請している」(2019年7月7日)

ジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使はドイツの『ヴェルト・アム・ゾンターク』(7月7日付)のインタビューに応じ、「米国はドイツがダーイシュ(イスラーム国)との戦いを支援するためにシリアに部隊を派遣することを待っている」と述べたとしたうえで、ドナルド・トランプ米政権がドイツに対して、シリア北東部に駐留を続ける米軍部隊の一部の代わりに地上部隊を派遣するよう要請していることを明らかにした。

ジェフリー特使は「ドイツはダーイシュとの戦い、さらにはシリア北部での政治プロセスにおいて有効な役割を演じている。だが、我々は地上部隊においてもさらなる支援を欲している」と強調した。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019、Welt im Sonntag, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍事情報局高官が私産を投じてダイル・ザウル市とユーフラテス川東岸のハトラ村を結ぶ連絡船を運行(2019年7月7日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月7日付)によると、軍事情報局ダイル・ザウル支部長のヤースィーン・ダーヒー准将が私産を投じて、ダイル・ザウル市とユーフラテス川東岸のハトラ村を結ぶ連絡船3隻を運航させていると伝えた。

複数の情報筋によると、連絡船の運航を行っているのはフサイニーヤ町出身のファーディー・アフィースを名のる軍事情報局員で、運賃は米ドルとシリア・ポンドの為替の変動に対応して上下するかたちで設定されているという。

また、ダイル・ザウル市内から波止場に行くには、総合情報部、政治治安部、バアス党、国防隊の検問所を通過しなければならず、各検問所では1,000~1,200ポンドの通行料が求められるという。

なお、ダーヒー准将のほかにも、イラン・イスラーム革命防衛隊が4隻の連絡船を運航させている。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県、ハマー県に対するシリア・ロシア軍の爆撃で民間人12人死亡(2019年7月7日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから67日目となる7月7日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より16人(民間人12人、シリア軍兵士4人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて2,193人となった。

うち、582人が民間人(女性116人、子供148人を含む)、752人がシリア軍兵士、859人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は88回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」16発を投下、ロシア軍も21回以上の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は440発におよんだ。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でマアッルズィーター村、ヒーシュ村、トゥラムラー村、マアッラト・ハルマ村、ウンム・スィール村、カフルサジュナ村、ウライニバ村、ナキール村、シャイフ・ムスタファー村、ハーン・シャイフーン市、ジャルジャナーズ町、アブー・フッバ村、ファルジャ村、タッル・マンス村、ダイル・シャルキー村、マアッルシューリーン村とその一帯、スカイク村、ブライサ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がダイル・サンバル村、バドリーヤ村を砲撃した。

ロシア軍もシャイフ・ムスタファー村、ハーン・シャイフーン市を爆撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でアルバイーン村、ラターミナ町、カフルズィーター市、サルマーニーヤ村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ハッダーダ村、サルマーニーヤ村に「樽爆弾」を投下した。

また地上部隊がクーラ村、ジャドラーヤー村、サフン村、ジュッブ・スライマーン村、フワイジャ村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村、ハスラーヤー村、アルバイーン村、ジャイサート村、サフル村、ラターミナ町、カフルズィーター市、カストゥーン村、サイヤード村を砲撃した。

ロシア軍もラターミナ町、アルバイーン村、サフル村を爆撃した。

これに対して、反体制武装集団は、ブライディージュ村のシリア軍基地、シャイフ・ハディード村、カルナーズ町、ヒヤーリーン町、ハマーミーヤート村、ジャルニーヤ村一帯のシリア軍砲台を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカッバーナ村一帯、Syriatel丘に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(ラタキア県2件、アレッポ県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を15件(アレッポ県1件、ハマー県9件、イドリブ県3件、ラタキア県2件)確認した。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 7, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2013年にシリア軍とヒズブッラーが解放したクサイル市(ヒムス県)の住民1,000人が6年ぶりの帰還を果たす(2019年7月7日)

ヒムス県では、SANA(7月7日付)によると、シリア軍とヒズブッラーがシャームの民のヌスラ戦線(現在のシャーム解放機構)などからなる反体制武装集団との死闘の末に2013年半ばに解放したレバノン国境に近いクサイル市に、避難生活を送ってきた住民約1,000人が帰還した。

6年ぶりの帰還を果たした住民は、シリア国旗、バアス党旗やアサド大統領の写真を掲げて市内を行進した。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

オマーンのユースフ・ビン・アラウィー外務大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談(2019年7月7日)

オマーンのユースフ・ビン・アラウィー・ビン・アブドゥッラー外務大臣がシリアを訪問、アサド大統領と会談した。

SANA(7月7日付)によると、会談では、地域・国際情勢、とりわけ中東地域が直面する危機や困難のなかでのアラブの歴史的権利を侵害しようとする動きへの対応について意見が交わされた。

会談にはワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相が同席した。

ユースフ・ビン・アラウィー外務大臣はまた、ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相とも個別に会談、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、ミーラード・アティーヤ外務在外居住者省アラブ地域局長、ムハンマド・ウムラーニー外務在外居住者省特別局長、在ダマスカス・オマーン臨時代理大使らが同席した。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アフリーン解放軍団はアレッポ県北西部でシャーム自由人イスラーム運動を襲撃し、戦闘員4人を殺害(2019年7月7日)

アレッポ県では、アフリーン解放軍団が声明を出し、5日にトルコ占領下のシーラーワー町近郊のバースータ村とガザーウィーヤ村を結ぶ街道でシャーム自由人イスラーム運動を襲撃し、戦闘員4人を殺害、4人を負傷させたと発表した。

ANHA(7月7日付)が伝えた。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局の支配下にあるダイル・ザウル県東部でオートバイに仕掛けられた爆弾が爆発し、子供2人死亡(2019年7月7日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(7月7日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にある県東部のアブー・ハマーム市内の羊市場でオートバイに仕掛けられた爆弾が爆発し、子供2人が死亡、住民数十人が負傷した。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アブー・アマーラ特殊任務中隊はアレキサンドレッタ地方解放人民戦線のカヤーリー代表の暗殺未遂に関与したと発表(2019年7月7日)

アブー・アマーラ特殊任務中隊は声明を出し、シリアのアサド政権を支持し反体制派との戦闘に参加してきた人民防衛諸集団の一つで反トルコ闘争を続けるアレキサンドレッタ地方解放人民戦線のアリー・カヤーリー代表(別名ミフラチュ・ウラル)の車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、同氏が重傷を負った事件(6日)に関して、ラタキア市とスランファ町を結ぶ街道で、犯行に及んだことを認めた。

AFP, July 7, 2019、ANHA, July 7, 2019、AP, July 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2019、al-Hayat, July 8, 2019、Reuters, July 7, 2019、SANA, July 7, 2019、SOHR, July 7, 2019、UPI, July 7, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから243人、ヨルダンから1,056人の難民が帰国、避難民5人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年7月9日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月9日付)を公開し、7月8日に難民1,299人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは243人(うち女性89人、子供152人)、ヨルダンから帰国したのは1,056人(うち女性304人、子供516人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は297,835人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者98,652人(うち女性29,314人、子ども49,492人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者199,183人(うち女性30,681人、子ども52,105人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 527,115人(うち女性139,861人、子供237,569人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,647,187人(うち女性1,994,156人、子供3,390,065人)。
**
一方、国内避難民5人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは5人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は33,229人(うち女性10,395人、子供15,332人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,301,825人(うち女性392,954人、子供659,098人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した5人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 9, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.