レバノン日刊紙『アフバール』:北・東シリア自治局の支配下にあるユーフラテス川東岸で生産される石油の販売にイスラエルが関与(2019年7月15日)

シリア政府寄りのレバノン日刊紙『アフバール』(7月15日、16日付)は、北・東シリア自治局の支配下にあるユーフラテス川東岸で生産される石油の販売にイスラエルが関与していると伝えた。

同紙が独自に入手した極秘文書によると、北・東シリア自治局の防衛を担う人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は、北・東シリア自治局支配地域で生産される石油の販売をモティ・カハナなるイスラエル人ビジネスマンに委託したという。

シリア民主軍とイスラエルの連携は米国の支援を受けたもので、シリア民主軍はイスラエルとの関係を強めることなく、「米国の傘」の下に身を起き続けることができないと判断したという。

一方、イスラエルのi24News(7月16日付)によると、カハナ氏は自身が北・東シリア自治局支配地域で生産される石油の販売を委託されることになることを認めた。

同氏はまた「今日石油は、アサドとイランがシリアを掌握するのを阻止する方法の一つだ。なぜならダマスカスに燃料がなければ、バッシャール・アサドとその仲間たちは、自転車で移動することになる」と述べた。

AFP, July 16, 2019、al-Akhbar, July 15, 16, 2019、ANHA, July 16, 2019、AP, July 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 16, 2019、i24 News, July 16, 2019、Reuters, July 16, 2019、SANA, July 16, 2019、SOHR, July 16, 2019、UPI, July 16, 2019などをもとに作成。

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イラン・イスラーム革命防衛隊はダイル・ザウル市の有力部族代表と会談し、反米抵抗闘争の活性化について協議(2019年7月15日)

ジュルフ・ニュース(7月16日付)は、イラン・イスラーム革命防衛隊が15日、ダイル・ザウル市の県庁舎で現地の有力部族の代表らと会談し、同地での反米抵抗闘争の活性化について協議したと伝えた。

会合では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、そして米国が主導する有志連合への抵抗を強化する方途が検討されたという。

AFP, July 16, 2019、ANHA, July 16, 2019、AP, July 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 16, 2019、Jurf News, July 15, 2019、Reuters, July 16, 2019、SANA, July 16, 2019、SOHR, July 16, 2019、UPI, July 16, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍がラッカ県タッル・アブヤド市に面する国境地帯に設置していたコンクリート製の防護壁を撤去、北・東シリア自治局支配地区への攻撃準備か?(2019年7月15日)

反体制派系サイトのドゥラル・シャーミーヤ(7月15日付)は、トルコ軍がラッカ県タッル・アブヤド市に面する国境地帯に設置していたコンクリート製の防護壁を撤去し、北・東シリア自治局支配地区への攻撃準備を進めていると伝えた。

同サイトによると、防護壁撤去と時を同じくして、米軍の偵察機が同地上空での偵察活動を強化し、トルコ軍の進軍を阻止しようと牽制しているという。

また、アナトリア通信(7月15日付)は、トルコ軍の増援部隊がシリア国境地帯に配備されたと伝えた。

増援部隊は車輌15台から編成されているという。

なお、ユーフラテス・ポスト(7月15日付)は、14日版に人民防衛隊(YPG)の増援部隊がハサカ県ラアス・アイン市一帯に派遣されたと伝えていた。

AFP, July 15, 2019、Anadolu Ajansı, July 15, 2019、ANHA, July 15, 2019、AP, July 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 15, 2019、Euphrates Post, July 15, 2019、Reuters, July 15, 2019、SANA, July 15, 2019、SOHR, July 15, 2019、UPI, July 15, 2019などをもとに作成。

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駐ロシア・シリア大使「ロシアによるトルコへのS-400供与は懸念ではない」(2019年7月15日)

リヤード・ハッダード駐ロシア・シリア大使は、ロシアがトルコがS-400ミサイル防空システムの供与を開始したことに懸念を抱いていないと述べた。

ハッダード大使は、RT(7月15日付)に対して「トルコは現在、アスタナ・プロセスの枠組みにおいてロシアとともに保障国の役割を果たし、ロシア指導部と共にこのプロセスの調整を行っている。それゆえ、この問題(S-400の供与)は我々の関心の範囲内にはない」と述べた。

AFP, July 15, 2019、ANHA, July 15, 2019、AP, July 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 15, 2019、Reuters, July 15, 2019、RT, July 15, 2019、SANA, July 15, 2019、SOHR, July 15, 2019、UPI, July 15, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が前日に引き続き北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊の村々を砲撃(2019年7月15日)

アレッポ県では、ANHA(7月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が前日に引き続いて、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のタッル・マディーク村、バイルーニーヤ村、シャイフ・イーサー村、ウンム・フーシュ村、スムーカ村、シャワーリガ村、マーリキーヤ村を砲撃した。

AFP, July 15, 2019、ANHA, July 15, 2019、AP, July 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 15, 2019、Reuters, July 15, 2019、SANA, July 15, 2019、SOHR, July 15, 2019、UPI, July 15, 2019などをもとに作成。

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イドリブ県、ハマー県に対するシリア・ロシア軍の爆撃は続く(2019年7月15日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから75日目となる7月15日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より23人(民間人7人、シリア軍兵士6人、反体制武装集団戦闘員11人)増えて2,495人となった。

うち、645人が民間人(女性131人、子供168人を含む)、887人がシリア軍兵士、956人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は32回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」8発を投下、ロシア軍も29回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は310発におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市、マダーヤー村、ジャバーラー村に対して爆撃を実施した。

ロシア軍もハーン・シャイフーン市を爆撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でサイヤード村、ムーリク市、ザカート村、タッル・ミルフ村、ジャビーン村、カフルズィーター市に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでムーリク市およびその一帯に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がタッル・ミルフ村、アルバイーン村、ザカート村、ジャビーン村、ジャイサート村、アリーマ村、フワイジャ村、ハウワーシュ村、サフル村、カフルズィーター市を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市、タッル・ミルフ村、ジャビーン村、ザカート村およびその一帯、アルバイーン村、ムーリク市を爆撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がジャズラーヤー村、アレッポ市ラーシディーン地区、科学研究センター地区、フライターン市を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(アレッポ県1件、ラタキア県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を11件(ハマー県3件、アレッポ県7件、イドリブ県1件)確認した。

AFP, July 15, 2019、ANHA, July 15, 2019、AP, July 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 15, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 15, 2019、Reuters, July 15, 2019、SANA, July 15, 2019、SOHR, July 15, 2019、UPI, July 15, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから398人、ヨルダンから1,936人の難民が帰国、避難民1人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年7月15日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月15日付)を公開し、7月14日に難民1,936人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは398人(うち女性103人、子供175人)、ヨルダンから帰国したのは1,538人(うち女性305人、子供518人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は308,700人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者101,542人(うち女性18,602人、子ども31,303人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者207,158人(うち女性28,873人、子ども49,026人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 537,980人(うち女性130,449人、子供221,579人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,647,187人(うち女性1,994,156人、子供3,390,065人)。

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一方、国内避難民1人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは1人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は33,791人(うち女性8,674人、子供12,715人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,302,387人(うち女性391,233人、子供656,481人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した1人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 15, 2019をもとに作成。

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