『ニューヨーク・タイムズ』:米軍は2010年代後半に爆撃対象外の施設に指定されていたシリア国内のダムを爆撃し、数万人の住民の命を脅かしていた(2022年1月20日)

『ニューヨーク・タイムズ』(1月22日付)は、米軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」を行っていた2010年代後半に爆撃対象外の施設に指定されていたシリア領内のダムを爆撃し、数万人の住民の命を脅かしていたと伝えた。

「A Dam in Syria Was on a ‘Non-Strike’ List. The U.S. Bombed It Anyway」と題された記事で、同紙は、当時ダーイシュの支配下にあったラッカ県タブカ市近郊のあるタブカ・ダムに対して、要塞の破壊などに使用されるBLU-109爆弾3発で爆撃を行ったとしたうえで、米中央軍司令部が、近隣地域で暮らす住民数万人の生活に被害を脅威に晒すとの警告を無視して、ダム本体ではなく、ダムに架かる橋複数基を爆撃することを承認していたと伝えた。

爆撃に使用されたBLU-109爆弾3発のうち1発は、5回建てのビルに着弾し、大規模火災が発生し、ダムの水位上昇を招き、地元当局が住民に対して拡声器を通じて退避を呼び掛ける事態に発展したという。

AFP, January 21, 2022、ANHA, January 21, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 21, 2022、The New York Times, January 20, 2022、Reuters, January 21, 2022、SANA, January 21, 2022、SOHR, January 21, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍ドローンがハサカ県タッル・タムル町の発電所を爆撃し、シリア民主軍の兵士1人死亡(2022年1月20日)

ハサカ県では、ANHA(1月20日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・タムル町近郊のタッル・ジュムア村で爆発が発生し、複数の住民が負傷した。

シリア人権監視団によると、爆発は、トルコ軍の無人航空機(ドローン)によるもので、発電所が狙われ、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士1人が死亡、多数が負傷した。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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トルコのアフリーン郡侵攻(オリーブの枝)作戦開始から4年:トルコ軍がアレッポ県、ハサカ県各所を砲撃する一方、シリア軍とシリア民主軍も占領地を砲撃(2022年1月20日)

アレッポ県では、ANHA(1月20日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・リフアト市一帯、同市近郊のダイル・ジャマール村をトルコ軍とシリア国民軍が砲撃した。

ダイル・ジャマール村では、トルコ軍によるアレッポ県アフリーン郡への侵攻作戦(「オリーブの枝」作戦)が開始された2018年1月20日から4年が経ったのに合わせて、トルコの占領に抗議するデモが行われ、住民らが参加していた。

ANHAによると、砲撃はデモ参加者を狙うかたちで行われたという。

トルコ軍とシリア国民軍はまたまた、タッル・リフアト市近郊のスーガーニカ村、ズィヤーラ村、カフル・アントゥーン村、マーリキーヤ村、シャワーリガ村、シャワーリガ砦、マルアナーズ村、アルカミーヤ村、アイン・ダクナ村、バイルーニーヤ村、アキーバ村、イルシャーディーヤ村、タナブ村、カフル・ナーヤー村を砲撃した。

シリア人権監視団によると、トルコ軍の砲撃により、アキーバ村で子供1人が負傷、民家複数棟が被害を受けた。

一方、トルコの占領下にあるアフリーン市も砲撃を受けた。

シリア人権監視団によると、6発の砲弾が着弾し、子供2人を含む住民6人が死亡、30人あまりが負傷した。

https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/posts/3178105792513807

https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/videos/to-this-day-crimes-against-innocent-civilians-continue-as-long-as-these-criminal/681292849949964/

https://www.facebook.com/SYRMMC/posts/1297154047417883

砲撃は、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にある地域から行われたもの。

また、トルコの占領下にあるジンディールス町郊外のガザーウィーヤ村近郊にあるシリア国民軍所属のシャーム軍団の本部がシリア軍拠点からの砲撃を受けた。

さらに、シリア民主軍もトルコ占領下のアフリーン市近郊のマリーミーン村で車をミサイルで攻撃し、乗っていた女性1人が死亡、複数が負傷した。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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トルコのアフリーン郡侵攻(オリーブの枝)作戦開始から4年に合わせて北・東シリア自治局支配地各所で占領に抗議するデモ(2022年1月20日)

北・東シリア自治局の支配地、およびシリア政府と同自治局の支配地では、同地の実効支配を主導する民主統一党(PYD)およびその傘下組織などのイニシアチブのもと、アレッポ県アフリーン郡への侵攻作戦(「オリーブの枝」作戦)が開始された2018年1月20日から4年が経ったのに合わせて、トルコの占領に抗議するデモが行われ、住民らが参加していた。

ANHA(1月20日付)によると、アレッポ県では、アイン・アラブ(コバネ)市ではPYDに近い革命青年運動主催による抗議デモが行われた。

また、アレッポ市とアフリーン市を結ぶM5高速道路では、アフリーン郡からの国内避難民(IDPs)とシャフバー地区(タッル・リフアト市一帯地域)の住民数万人が「我々は抵抗の強度を高め、占領を打ち負かす」と銘打ってデモ行進を行った。

このほか、アレッポ県のマンビジュ市、ラッカ県のラッカ市、タブカ市、ハサカ県のハサカ市カッラーサ地区、カーミシュリー市、マーリキーヤ(ダイリーク)市、タッル・タムル町、ダルバースィーヤ市、タッル・ブラーク町、フール町、シャッダーディー市、ワーシューカーニー国内避難民(IDPs)キャンプで同様の抗議デモが行われ、多数の住民が参加した。

また、アレッポ市シャイフ・マクスード地区とアイン・アラブ市では、革命青年運動と青年女性連合がアフリーン郡占領時のトルコによる犯罪や殉教者らの写真展を開催した。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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スィーマルカー国境通行所前でイラク・クルディスタン民主党の部隊に殺害されたカリーラー部隊の若者の遺体の引き渡しを求める座り込みデモにジュワーディーヤ村住民が参加(2021年1月20日)

ハサカ県では、ANHA(1月20日付)によると、イラク・クルディスタン民主党の部隊によって殺害されたクルディスタン労働者党(PKK)の民兵組織である人民防衛部隊(HPG)所属のカリーラー(カレラ)部隊のメンバー5人の遺体引き渡しを求めて、北・東シリア自治局ジャズィーラ地域の殉教者遺族機構がスィーマルカー国境通行所前の広場にテントを設置して続けている座り込みデモに、ジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村住民が参加、テント前で抗議行動を行った。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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ロシアのラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使がシリアを訪問し、アサド大統領と会談(2022年1月20日)

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使が、シリアを訪問し、首都ダマスカスでアサド大統領と会談した。

SANA(1月20日付)によると、会談では、最新の中東地域・国際情勢について意見が交わされ、アサド大統領は、西側諸国のロシアに対するさまざまな圧力について、ロシアが国際社会において重要な役割を果たし、国際法の保護に務めることに対して、非道徳的な政策をもって対抗し、一部諸外国に混乱をもたらし、これらの国とその国民を支配しようしているとの見方を示した。

会談ではまた、両国協力関係や、この関係がシリア国内での「テロとの戦い」への勝利、治安・安定の回復にもたらした影響について意見が交わされた。

ラヴレンチエフ特使は、シリアとの関係発展を重視し、復興に向けてシリア国民への支援を続けたいとするヴラジーミル・プーチン大統領のメッセージを伝えるとともに、シリアがアラブ地域において重要な役割を回復しつつあることに安堵の意を示した。

これを受けて、アサド大統領は、プーチン大統領以下ロシアの首脳の両国関係強化に向けた取り組みを高く評価した。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/posts/299626278870359

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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ダーイシュ・メンバーが収監されているグワイラーン刑務所前で爆発が発生、収監者が脱獄を試みる(2022年1月20日)

ハサカ県では、ANHA(1月20日付)、SANA(1月20日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市の北・東シリア自治局の支配地域内にあるグワイラーン刑務所(グワイラーン地区の工業高校)の入口で、爆弾が仕掛けられた車2台が相次いで爆発、これと前後して軽火器による銃撃戦が発生し、同高校に収監されているダーイシュ(イスラーム国)メンバーが脱獄を試みた。

ANHAによると、刑務所の警備にあたる北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が、収監者を脱獄させようとして、ズフール地区、フーシュ・バアル地区から潜入したダーイシュ・メンバーらを撃退し、彼らの刑務所への侵入を阻止した。

またシリア民主軍のテロ撲滅部隊(YAT)が、刑務所内で発生した収監者らによる暴動を制圧するために介入した。

SANA、シリア人権監視団によると、グワイラーン地区上空、では、米軍戦闘機複数機が低空で旋回し、照明弾を発射するなどして、脱走した収監者を追跡した。

https://www.facebook.com/QSDMEDIA/posts/1813897852136208

ANHA(1月20日付)によると、米主導の有志連合の戦闘機1機が刑務所を襲撃したグループの拠点に対して機銃掃射を行ったという。

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ANHA(1月20日付)によると、ハサカ市ではまた、るSADCOP社(シリア石油資源備蓄配給社)があるグワイラーン地区のバースィル交差点近くに停車していた燃料輸送表のトレーラー3台が相次いで爆発した。

爆発はダーイシュのメンバーによるものだという。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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ダイル・ザウル市スポーツ・サロンとサブハ町で指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続(2022年1月20日)

ダイル・ザウル県では、SANA(1月20日付)によると、1月19日にダイル・ザウル市スポーツ・サロンで開設された和解センターで、指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続けられた。

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ラッカ県では、SANA(1月20日付)によると、1月12日にサブハ町に設置された和解センターで指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続けられた。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ハジーン市では「人民諸派」がシリア民主軍の車輌を襲撃し、兵士1人を殺害、ラッカ県ラッカ市では何者かがシリア民主軍の検問所を襲撃し、兵士1人を殺害(2022年1月20日)

ダイル・ザウル県では、SANA(1月20日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるハジーン市で「人民諸派」が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の車輌を襲撃し、兵士1人が死亡、2人が負傷した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるラッカ市のダッラ交差点近くに設置されているシリア民主軍の検問所が正体不明の武装集団の襲撃を受け、兵士1人が死亡、3人が負傷した。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県内に設置されているトルコ軍拠点一帯を砲撃、拠点の警備にあたっていた3人が負傷(2022年1月20日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村に設置されているトルコ軍の拠点一帯を砲撃、拠点の警備にあたっていた3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまた、クークフィーン村のトルコ軍拠点一帯に対しても砲撃を加えたほか、ファッティーラ村、バーラ村、スフーフン村、フライフィル村、バイニーン村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のクライディーン村一帯を砲撃したほか、灌漑計画地区で双方による戦闘が発生した。

AFP, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で41人(2022年1月20日)

保健省は政府支配地域で新たに41人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者230人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、1月20日現在のシリア国内での感染者数は計50,862人、うち死亡したのは2,959人、回復したのは35,468人となった。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/posts/233755485599102

AFP, January 20, 2022、ACU, January 20, 2022、ANHA, January 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 20, 2022、Reuters, January 20, 2022、SANA, January 20, 2022、SOHR, January 20, 2022などをもとに作成。

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