シリア人権監視団によると、ロシア軍がラッカ県ラサーファ砂漠とハマー県のイスリヤー村の砂漠地帯でダーイシュ(イスラーム国)に対して16回の爆撃を実施した。
AFP, January 30, 2022、ANHA, January 30, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 30, 2022、Reuters, January 30, 2022、SANA, January 30, 2022、SOHR, January 30, 2022などをもとに作成。
Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
スプートニク通信(アラビア語版、2022年1月29日付)は、複数の消息筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)の司令官多数が、ハサカ県ハサカ市のグワイラーン刑務所からダイル・ザウル県の砂漠地帯に移送されたと伝えた。
移送された司令官は、アラブ諸国、ベルギー、オランダの出身者約750人で、そのなかには多数の幹部司令官も含まれているという。
移送は、米軍がグワイラーン刑務所襲撃・脱獄事件に伴う混乱に乗じて行ったもの。
同消息筋によると、ダーイシュのスリーパーセルが刑務所を掌握し、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍との間で戦闘が始まった最初の数時間で、シリアとイラクの国境に近いダイル・ザウル県ユーフラテス川西岸のブーカマール市一帯の砂漠地帯、ビシュリー山東部への逃走経路が確保され、米国が主導する有志連合の偵察機複数機が脱獄したダーイシュの司令官らを監視、迂回路へと誘導したという。
逃走先のダイル・ザウル県の砂漠地帯は、米国が違法に駐留を続けるヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)へと通じている。
司令官らの移送は数回に分けて行われた。
この間、シリア民主軍は、注意を逸らすため、刑務所やその周辺地域を混乱させるような行動をとる一方で、刑務所周辺の拠点3カ所から撤退し、有志連合によって設定された逃走ルートに向かう抜け道を確保したという。
また、これと並行して、シリア民主軍は、収監者が投降したとして、彼らを計画的に刑務所の外から、刑務所に近い2カ所へと移動させ、司令官らはここから四輪駆動車やバスに分乗して、ダイル・ザウル県の砂漠地帯に向かったという。
司令官らを載せた四輪駆動車やバスは、シリア民主軍の特殊部隊が護衛するとともに、有志連合の偵察機複数機がこれを監視・誘導した。
同消息筋は、ダーイシュ司令官らの脱獄幇助の狙いについて、ダーイシュをシリア東部で再生し、同地が混乱することは、シリア東部への米軍や有志連合の違法駐留継続の根拠を与えると指摘している。
AFP, January 29, 2022、ANHA, January 29, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2022、Reuters, January 29, 2022、SANA, January 29, 2022、SOHR, January 29, 2022などをもとに作成。
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ハサカ県では、ANHA(1月29日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ市内のグワイラーン地区(北・東シリア自治局支配下)ファーティマ・ザフラー高校近くで、内務治安部隊(アサーイシュ)と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、グワイラーン刑務所(工業高校)を襲撃・脱走事件に関与したダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルと交戦した。
スリーパーセルは5人からなり、戦闘で1人が死亡した。

アサーイシュとシリア民主軍はまた、グワイラーン刑務所の近く(パン製造所近く)でダーイシュのメンバー3人を拘束した。

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一方、シリア人権監視団によると、グワイラーン刑務所ではシリア民主軍テロ撲滅部隊(YAT)が米軍の監督のもとに、施設内に立て籠もるダーイシュのメンバー5人に人質としていた刑務所職員らの救出作戦を敢行した。
人質をとっていたダーイシュ・メンバー5人のうち3人はシリア民主軍によって殺害され、2人は着用していた自爆ベルトを爆発して死亡した。
人質の消息はいまだ不明だという。
なお、1月20日以降の戦闘での死者は270人、内訳はダーイシュのメンバーが189人、シリア民主軍、アサーイシュ、刑務所守衛が74人、住民7人。
また、刑務所内に立て籠もり、抵抗を続けてきたアブー・ウバイダを名乗るアミール(司令官)と彼に忠誠(バイア)を誓った20人のメンバーが投降し、シリア民主軍テロ撲滅部隊(YAT)がこれを拘束され、所持していた武器を押収した。
これに対して、グワイラーン地区では、自爆戦闘員少なくとも4人からなるダーイシュのスリーパーセルが、アガワート通りのコミューン(北・東シリア自治局における最小の自治政体)長と住民3人を要撃し、拘束した。
AFP, January 29, 2022、ANHA, January 29, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2022、Reuters, January 29, 2022、SANA, January 29, 2022、SOHR, January 29, 2022などをもとに作成。
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ダマスカス郊外県では、SANA(1月29日付)によると、キスワ市に和解センターが新たに設置され、指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが始められた。
また、ザーキヤ町では、和解センターの開設を祝う式典が催され、ムウタッズ・アブー・ナスル・ジャムラーン・ダマスカス郊外県知事、ラドワーン・ムスタファー・バアス党ダマスカス郊外支部指導部書記長、アブドゥッラフマーン・ハティーブ人民議会議員らが祝辞を述べた。


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ダルアー県では、SANA(1月29日付)によると、昨年8月にダルアー市のフーリーヤート・センターで開始されていた指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続けられ、多くの県民が手続きを済ませた。
フーリーヤート・センターでの手続きは1月29日まで延長されることが27日に決定されていたが、関係当局は手続きの期間を1月30日まで再延長することを決定した。



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ダイル・ザウル県では、SANA(1月29日付)によると、1月19日にダイル・ザウル市スポーツ・サロンで開設された和解センターで、指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続けられた。

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ラッカ県では、SANA(1月29日付)によると、1月12日にサブハ町に設置された和解センターで指名手配者、脱走兵、兵役忌避者の大規模社会復帰手続きが続けられた。

AFP, January 29, 2022、ANHA, January 29, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2022、Reuters, January 29, 2022、SANA, January 29, 2022、SOHR, January 29, 2022などをもとに作成。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、新興のアル=カーイダ組織の一つアンサール・イスラームがシリア政府の支配下にあるガーブ平原のシール・サハーブ地区にあるシリア軍拠点複数カ所を砲撃、複数の兵士が死傷した。
一方、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるアンカーウィー村一帯を砲撃した。
「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、新興のアル=カーイダ組織の一つアンサール・イスラームがシリア政府の支配下にある県西部の第46中隊基地一帯を砲撃した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、フライフィル村、バーラ村、バイニーン村、ファッティーラ村を砲撃した。
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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。
一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反3件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。
https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3147608245481910
AFP, January 29, 2022、ANHA, January 29, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2022、Ministry of Defence of the Russian Federation, January 29, 2022、Reuters, January 29, 2022、SANA, January 29, 2022、SOHR, January 29, 2022などをもとに作成。
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保健省は政府支配地域で新たに54人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者296人が完治し、2人が死亡したと発表した。
これにより、1月29日現在のシリア国内での感染者数は計51,284人、うち死亡したのは2,984人、回復したのは38,008人となった。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/posts/239093781731939
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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で1月28日に新型コロナウイルス感染者752人が完治する一方、新規の感染者は確認されなかったと発表した。
これにより、同地での感染者数は計93,068人、うち死亡したのは2,363人、回復したのは71,831人となった。
https://www.facebook.com/ACUSyria/posts/1763496200521930
AFP, January 29, 2022、ACU, January 29, 2022、ANHA, January 29, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 29, 2022、Reuters, January 29, 2022、SANA, January 29, 2022、SOHR, January 29, 2022などをもとに作成。
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ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、1月28日に難民331人が新たに帰国したと発表した。
このうちレバノンから帰国したのは難民324人(うち女性97人、子供165人)、ヨルダンから帰国したのは7人(うち女性2人、子供4人)。
これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は746,504人となった。
内訳は、レバノンからの帰還者349,093人(うち女性104,909人、子ども177,742人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者397,411人(うち女性119,275人、子ども202,690人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。
43カ国で難民登録したシリア人の数は6,824,972人。
なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は975,784人(うち女性292,842人、子供497,354人)となった。
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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。
2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は105,804人(うち女性41,464人、子供34,092人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,374,400人(うち女性424,023人、子供677,858人)。
https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3147605512148850
Ministry of Defence of the Russian Federation, January 29, 2022をもとに作成。
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