在シリア米国大使館:バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使がシリア民主軍のアブディー総司令官と会談(2025年7月19日)

在シリア米国大使館は、Xを通じて、トーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使がシリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官と会談し、現在のシリア情勢および平穏と安定を回復するための緊急措置の必要性について協議したと発表した。両者はまた、すべてのシリア国民にとって平和で繁栄し、包摂的かつ安定した未来を実現するために、統一されたシリアへの統合に向けた現実的な方策についても話し合った。彼らは、「いまこそ団結の時である」という点で一致した。

バッラク大使はまた、マズルーム総司令官の指導力と、シリアにおけるISISとの戦いにおけるSDFの継続的な協力関係に対して謝意を表した。

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アル・モニターが7月22日に伝えたところによると、会談は、ヨルダンの首都アンマンで行われ、前回の首都ダマスカスでの会談と比べて、その雰囲気はきわめて良好だったという。

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ロイター通信:シャルア移行期政権のスワイダー県進攻はバッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使の発言の読み違いが発端(2025年7月19日)

ロイター通信は、8人の関係筋(シリアの政治・軍事関係者、外交官、地域の治安当局者)の話として、アフマド・シャルア移行期政権が、「シリアは一つの国家であり続ける」、「シリアはひとつの軍、一つの政府を有する統一国家であるべきだ」などと述べたトーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使による7月12日の発言を誤って読み取り、スワイダー県で13日から続くドゥルーズ派武装勢力とベドウィン系武装勢力の衝突の初期段階で国防省・内務省の合同部隊を進攻させ、イスラエルの爆撃を受けたと伝えた。

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20台の大型貨物車輛からなる米軍の車列がイラクからシリア領内に入り、ハサカ県のカスラク村にある有志連合の基地に物資を輸送(2025年7月19日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・クルディスタン地域からワリード国境通行所(スワイディーヤ国境通行所)を経由して20台の大型貨物車輛からなる米軍の車列がシリア領内に入り、カスラク村にある有志連合の基地に物資を輸送した。

またCIA(米中央情報局)の代表団が、装甲車10台に分乗して同基地に到着した。

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ハサカ県でアサーイシュの隊員5人が麻薬密売犯との撃ち合いで死傷(2025年7月19日)

ハサカ県では、ANHAによると、北・東シリア地域民主自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)がカーミシュリー市南のタルタブ村で、麻薬密売人の自宅に対する強制捜査を実施したが、その打ち合いとなり、隊員1人が死亡、4人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア地域民主自治局の支配下にあるアブー・ハシャブ村近くの分岐点付近で、銃で殺害された男性が遺体で発見された。

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ハマー県、ダマスカス郊外県でアラウィー派が相次いで殺害される(2025年7月19日)

ハマー県で、シリア人権監視団によると、サラミーヤ市近郊のザグリーン村で、武装グループがアラウィー派の住民2人を銃で撃ち殺害した。

シリア人権監視団によると、ハマー市でもアラウィー派の男性が正体不明の武装グループに銃撃され、死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ディーマース町で、オートバイに乗った正体不明の武装グループがアラウィー派の若い男女の2人を至近距離から銃撃し、死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合所属と見られる無人航空機がブーカマール市近郊のスィヤール村を爆撃し、1人が重傷を負った。

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SANAによると、国防省第70旅団のパトロール部隊が、国境付近でヨルダンに密輸されようとしていたと見られる大麻樹脂28キロを押収した。

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人民議会選挙高等委員会は首都ダマスカスの人民議会議事堂でクナイトラ県代表団と会談(2025年7月19日)

SANAによると、人民議会選挙高等委員会は、首都ダマスカスの人民議会議事堂でクナイトラ県代表団と、議会での代表権を協議、県住民の議会における実質的な代表性の実現の方途をめぐって意見交換を行った。

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シャルア暫定大統領は首都ダマスカスの人民宮殿でサウジアラビアの実業家代表団と会談(2025年7月19日)

SANAによると、アフマド・シャルア暫定大統領は首都ダマスカスの人民宮殿でサウジアラビアの実業家代表団と会談し、両国間の経済および投資協力の強化、さまざまな分野におけるパートナーシップの拡大について協議した。

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スワイダー県各所でベドウィン系武装勢力とドゥルーズ派武装勢力の戦闘が続くなか、ドゥルーズ派武装力はスワイダー市からベドウィン系武装勢力を排除、シャルア移行期政権側は無人航空機で攻撃(2025年7月19日)

SANAによると、スワイダー市内では、ベドウィン系武装勢力とドゥルーズ派武装勢力の衝突が続いた。

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イナブ・バラディーは、ダルアー県に避難したベドウィン系住民らの話として、ドゥルーズ派武装勢力が、スワイダー県内のモスクにベドウィン系住民を集めて、人間の盾としていると伝えた。

シリア人権監視団によると、ベドウィン系武装勢力に加勢するために各地から参集した部族系武装勢力の参戦を受けて、サファー丘陵地帯などで新たに戦闘が発生した。

また、ダマスカス郊外県のジャルマーナ市でも断続的な交戦が発生した。

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シリア人権監視団によると、ベドウィン系武装勢力、国防省・内務省の合同部隊がマジャイミル村を砲撃、ムトゥーナ村、ラーヒサ村を攻撃した。

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シリア人権監視団によると、ベドウィン系武装勢力、国防省・内務省の合同部隊がカフル・ラフフ村、スワイムリー村を襲撃、ウンム・ザイトゥーン村を砲撃し、住民らが死傷、略奪が行われた。

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シリア人権監視団によると、ベドウィン系武装勢力、国防省・内務省の合同部隊がウルガー村方面からスワイダー市内に進攻、ドゥルーズ派武装勢力と各所(サウラ地区、住宅地区、西部および北部など)で激しい市街戦を繰り広げた。

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シリア人権監視団によると、スワイダー市でドゥルーズ派武装勢力が大規模な犯行を行い、イムラーン交差点などで激しい戦闘が発生、ベドウィン系武装勢力は19日夜までに市内から撤退した。

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シリア人権監視団によると、アリーカ村にベドウィン系武装勢力と国防省・内務省の合同部隊が進攻し、ドゥルーズ派武装勢力と激しい戦闘になった。

また、戦闘では、シャルア移行期政権所属の無人航空機による村への攻撃が行われた。

一方、シャフバー町で両者が交戦した。

シリア人権監視団によると、7月13日以降、衝突、処刑、イスラエルの爆撃などによる死者は、合計940人に達した。

死者の内訳は以下の通り:
●スワイダー県住民:406人(うち民間人80人、子ども4人、女性4人を含む)
●国防省部隊および内務省総合治安機関:330人(うち部族系ベドウィン出身者18人)
●国防省および内務省の要員:15人(イスラエルの爆撃により死亡)
●国防省庁舎へのイスラエル爆撃による死亡:3人(女性1人、身元不明者2人)
●スワイダー県での戦闘中に死亡した報道関係者:1人
●国防省および内務省の要員による処刑:182人(女性26人、子ども6人、高齢男性1人を含む)
●ドゥルーズ派武装勢力による処刑:3人(ベドウィン、うち女性1人と子ども1人)













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ムスタファー情報大臣は停戦合意における了解事項を発表:バーバー内務省報道官はスワイダー県に治安部隊が展開を開始したと発表(2025年7月19日)

SANAによると、ヌールッディーン・バーバー内務省報道官は、大統領府の直接の指示を受け、内務治安部隊が民間人の保護と無秩序を抑制することを目的として、スワイダー県への展開を開始したことを明らかにした。

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SANAによると、ハムザ・ムスタファー情報大臣は記者会見を開き、スワイダー県をめぐる停戦合意について説明した。

ムスタファー情報大臣は会見のなかで、停戦合意には、交戦状態の解消と戦闘再発の防止、国家の枠組みの下で問題の政治解決を目的とし、国家と仲介国との間で合意された了解事項が含まれていると述べた。

了解事項は以下の3段階からなるという。

第1段階:スワイダー県の西部および北部地域の多く、そして都市部周辺の主要幹線道路に内務治安部隊を展開し、偶発的な衝突の防止を図る。

第2段階:ダルアー県とスワイダー県の間に人道回廊を開設し、民間人や負傷者、希望者の安全な退避を確保するとともに、政府各省庁と関連機関による緊急対応委員会を設置、医療・人道支援の搬入、基本サービスの提供、インフラ復旧などを担う。

第3段階:治安の定着後に国家機関の機能を回復させ、合意に基づき治安部隊の漸進的な再展開を行う。

ムスタファー情報大臣はまた、ベドウィン系住民がドゥルーズ派武装勢力の支配地域に拘束されていることを受け、彼らの解放と捕虜交換を優先事項として取り組むと述べた。

一方、ムワッヒド・ドゥルーズ・ムスリム精神指導部の声明について、「残されたベドウィンに安全な退去を認める」との文言があったことを指摘し、これはベドウィンとその家族(女性や子ども)を人質とみなすものであり、犯罪であると非難した。

質疑応答では、国家の権威が不在だったことが、問題の深刻化を招いたとしたうで、政治的な和解とスワイダー県の諸派を治安機関に統合するための努力を一部の非合法武装勢力が阻止し、外国勢力の介入を誘い、県内に事実上の自治区を作ろうとしたと指摘した。

そのうえで、旧体制が分断支配を国家存続の戦略として利用していたことが、移行プロセスの障害となっていると述べ、統一軍の再建には時間が必要であり、困難を伴うものの、「一つの国、一つの政府、一つの軍隊」という原則がシリアの柱であり、それは現在も未来も譲れないと強調した。

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SANAによると、アラブ・シリア赤新月社は、南部における人道的対応および最近の出来事に伴う緊急支援として、ダルアー県に向けて人道支援物資を積んだ貨物車輛17台を派遣した。

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SANAによると、ラーイド・サーリフ緊急事態災害大臣は、スワイダー県からの被害を余儀なくされたベドウィン系住民のために、ダルアー県の21ヵ所の避難所を設置し、1,747人を保護、加えて約20ヵ所で避難所の整備を進めていると発表した。

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民間防衛機構(ホワイト・ヘルメット)は、フェイスブックを通じて声明を出し、緊急対応委員会による取り組みの一環として、スワイダー県のシャフバー町に向けて避難民を輸送するための車列の第一陣が編成されたものの、午後9時時点でいまだに車列が出発できていないと発表した

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ムワッヒド・ドゥルーズ・ムスリム精神指導部は停戦合意の内容を明らかにする一方、停戦違反が行われていると非難、尊厳の男たち運動も停戦違反を非難(2025年7月19日)

ムワッヒド・ドゥルーズ・ムスリム精神指導部は、フェイスブックを通じて声明を出し、トーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使が発表したスワイダー県をめぐる停戦合意について、以下の通り表明した。

保証国の仲介によって行われた交渉に基づき、以下の点について合意が成立した。
1. 治安部隊の展開:スワイダー県の行政境界外に(内務省)総合治安局の検問所を設置し、衝突の制御および武装集団の侵入防止を図る。
2. 県境の村々の管理:合意成立から48時間の間、いかなる勢力も県境の村々への進入も禁止される。これは先方の治安部隊の展開を円滑に行い、不意の攻撃を防ぐためである。
3. ベドウィンの部族の対応:県内に残る部族出身住民については、現地の武装勢力の保護のもと、安全かつ確実に退避することが認められる。他のいかなる勢力による妨害や攻撃も認められない。
4. 人道的退避ルートの確保:緊急および人道的ケースのための安全な退避ルートとして、以下の二つの通過地点を設ける。
・ブスル・ハリール市
・ブスラー・シャーム市
5. 地元グループの動きの制限:スワイダー県内の地元グループに対しては、県境外への移動を控え、いかなる挑発行為や戦闘的行動も回避するよう求める。
6. 合意違反への責任:本合意の枠組みを逸脱した行動については、それを行った当事者が単独で完全な責任を負う。
7. 若者への呼びかけ:我々は、土地と名誉を守る若者たちに対し、最大限の責任と高い調整能力をもって、平和な市民生活を脅かすこの苦境を終わらせるよう呼びかける。

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しかし、ムワッヒド・ドゥルーズ・ムスリム精神指導部は、その約10時間後に発表した別の声明で、以下の通り停戦違反を非難した。

我々は先の声明に付け加え、以下のことを強く確認する。我々マアルーフィーヤ派(ドゥルーズ派のこと)は、これまで常に誓約と契約を守る者であり、この数日間は純粋に自衛の立場をとってきた。そして我々は和解への第一歩を踏み出した。しかし、遺憾なことに、相手側は停戦の合意を守らず、悪党は攻撃を続け、人類すべてが恥じるような非道な犯罪と違反行為を継続している。このため我々は、停戦合意を保証した国々に対して、その責任を果たし、義務を全うし、スワイダーにおけるドゥルーズ派住民に対するこのテロ攻撃と集団虐殺を即時に止めるよう、また、シリア国内のドゥルーズ派に対して直接的な国際保護を課すよう強く求める。我らにとって十分なのは、アッラーであり、最良の助け手である。

 

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尊厳の男たち運動は、フェイスブックを通じて声明を出し、アフマド・シャルア移行期政権の支援を受けた「テロ組織」が村や町を攻撃し、平和な市民を襲い、彼らの財産を焼き払い、世界の目の前で人権侵害を犯し続けていると非難した。

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イスラエルのサール外務大臣「シャルアのシリアにおいて、少数派であることは極めて危険であるということだ」(2025年7月19日)

イスラエルのギデオン・サール外務大臣は、Xを通じて、アフマド・シャルア暫定大統領の演説について以下の通り評価を加えた。

シリアのアフマド・シャルア暫定大統領の演説は、ジハード主義攻撃者たちへの支持の表明であり(シャルアの言葉を借りれば、「ベドウィンの部族は高潔な価値と原則の象徴」)、被害者(攻撃されたドゥルーズ派少数民族)への非難でもあった。
シャルアはこれに加えて、イスラエルに対する陰謀論と根拠のない非難を展開した。
結論として言えるのは、シャルアのシリアにおいて、少数派(クルド人、ドゥルーズ派、アラウィー派、キリスト教徒)であることは極めて危険であるということだ。過去6ヵ月間、このことは何度も証明されてきた。
国際社会は、シリアにおける少数派の安全と権利を保障する義務がある。また、シリアが国際社会に再び受け入れられる条件として、少数派の保護を明確にすべきである。

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南部部族連合はスワイダー県で包囲・拘束されているベドウィンに対して尊厳と公正をもって接するよう、すべての関係者に呼びかける(2025年7月19日)

南部部族連合はフェイスブックを通じて声明を出し、スワイダー県の全域にわたって包囲・拘束されているベドウィンの人々、とりわけに女性、子ども、高齢者に対して、尊厳と公正をもって接するよう、すべての関係者に呼びかけた。

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シャイバーニー外務在外居住者大臣はヨルダンのサファディー外務大臣、バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使と三者会談し、停戦合意の履行に向けた取り組みについて協議(2025年7月19日)

SANAによると、アスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣は、ヨルダンの首都アンマンを訪れ、アイマン・サファディー外務大臣、トーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使と三者会談を行った。

会談では、シリア国内の情勢と、バッラク在トルコ米大使が未明に発表した停戦合意の履行に向けた取り組みについての協議が行われ、同合意の履行、スワイダー県におけるシリアの治安部隊の展開、すべての当事者による拘束者の解放、地域社会の和解に向けた努力、社会平和の促進、人道支援の搬入、安全の確保、市民の保護、国家主権と法の支配の確立を支援するための実務的な措置について合意した。

サファディー外務大臣とバッラク大使は、スワイダー県において市民に対する違反行為を行った責任者を追及するという移行期政権の姿勢を歓迎し、暴力、宗派主義、分断や扇動、憎悪をあおる行為を排除するための努力を支持した。

これに対して、シャイバーニー暫定外務在外居住者大臣は、停戦合意の成立とその実施、ならびにシリアの安全と国民の安定確保に向けたヨルダンおよび米国の役割と努力を高く評価した。

SANAによると、

サファディー外務大臣とバッラク大使は、これに先立ちスワイダー県における停戦合意などシリア情勢について協議した。

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外務省の北村俊博報道官は、スワイダー県をめぐる停戦合意が発表されたことについて、報道談話を発表した。

報道談話の内容は以下の通り。

シリア南部地域での暴力の発生及びその後のイスラエルによる攻撃を含む戦闘によるシリア情勢の悪化を、我が国として深く懸念しています。

1. 関係者間で合意された停戦合意の着実な履行を求めるとともに、全ての当事者に対し、最大限の自制を強く求めます。また、事態の収束に向けた米国を始めとする関係国による努力を評価します。
2. 同時に、我が国として、全ての当事者に対し、シリアの領土一体性と国家としての統一性を維持し、シリアの独立と主権を尊重するよう求めます。
3. 我が国は、シリア政府が包摂的な政治的解決と国民和解に向けた対話に取り組んできたことを評価しており、引き続きシリアにおいて平和的で安定した移行が実現するよう、全ての当事者が建設的な役割を果たすことを求めます。

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SANAによると、トルコのハカン・フィダン外務大臣は、マルコ・ルビオ国務長官と電話会談を行い、イスラエルによるシリア領土への繰り返される攻撃について、その深刻な結果をもたらすと警鐘を鳴らした。

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米国のジョー・ウィルソン下院議員(中東問題小委員会委員長、共和党)アナ・スノー英国シリア担当特使欧州連合(EU)のアヌワル・アラウニー報道官デビッド・ラミー英外務大臣フランス外務省は、スワイダー県をめぐる停戦合意に歓迎の意を示した。

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シャルア暫定大統領がテレビ演説で部族に戦闘停止を呼びかけるとともに、ドゥルーズ派全体を裁くことは許されないと発言(2025年7月19日)

大統領府は、Xを通じて、アフマド・シャルア暫定大統領のテレビ演説を配信した。

声明の内容は以下の通り。

偉大なるシリア国民よ、スワイダー県で最近発生した出来事は、シリアにおける治安・政治状況において極めて重大な転換点をもたらした。そこでは、法に反する集団とベドウィンとの間での衝突に発展、情勢はかつてないほどに悪化した。
この一連の出来事は、これらの集団間での激しい衝突が激化したことから始まり、事態を鎮静化できたシリア国家の介入がなければ、ほぼ制御不能になっていた。しかし、イスラエルの介入が事態の緊張を再び高め、南部およびダマスカスの政府機関への激しい爆撃によって、国の安定を脅かす危険な段階へと押しやった。
これらの出来事を受けて、米国とアラブ諸国による仲介が行われ、複雑な情勢下での事態の沈静化に向けた試みがなされた。しかし、シリア国家の不在がこれらの地域に無秩序をもたらし、より広範な衝突を再燃させるとの我々の警告にもかかわらず、実際に起きたのは最悪の事態であった。
国家が一部地域から撤退したことに伴い、スワイダーの武装集団がベドウィンとその家族に対して激しい報復攻撃を開始し、住民の集団的強制避難が生じ、恐怖と混乱状態がもたらされた。人権侵害行為も伴うこれらの報復攻撃により、他のアラブ部族がスワイダー県内でベドウィンを解囲するため駆けつけた。このことが、さらなる緊張の高まりと、シリアに治安情勢に大きな変化をもたらした。
この悲劇的な情勢の中で、シリア政府には、国際社会から、現下の事態の食い止め、国内に治安と安定をもたらすための再介入を求める多数の呼びかけがなされた。この文脈において、以下の点が指摘されねばならない。
第1:スワイダーの一部個人の狭量な利害が、進むべき方向を見失わせる要因となった。そこでは、外部勢力に頼るという分離主義的な野心が一部の者たちのなかで現れ、彼らは武装集団を率いて、すかさず殺害や虐待行為を行った。シリア国家は、シリア解放後もスワイダーに寄り添い、同地への支援と基本的な公共サービスの提供に努めてきたにもかかわらず、これらの者たちと混乱分子は、スワイダー市と国の安定における同市の役割を傷つけた。外部勢力に依存し、スワイダー内の一部当事者を国際紛争のツールとして利用することは、シリア国民全体の利益にならず、むしろ危機を深刻化させ、国の統一を脅かす。
第2:シリアのアラブ部族は高潔な価値と原則の象徴であり、それが彼らを奮い立たせ、抑圧された者を助ける原動力となっている。部族はその歴史を通じて、シリア国家の側に立ち、支援と犠牲を惜しまず、国が経験してきた幾多の試練に立ち向かううえで名誉ある立場を示してきた。また、部族は幾度となく、内外の脅威に対する防波堤となり、国の統一と安定を守るための有効な手段だった。
部族の名誉ある立場にもかかわらず、一部の集団は、部族が直面する脅威や困難に対して、個別に自衛を試みた。こうした試みの背後にある人道的な動機について理解しているものの、重要なのは、こうした行動が、国家を統治し、治安を確保するという国家の役割にとって代わるものではないという点で強調されることだ。シリア国家のみが、全土においてその威信と主権を維持できる存在なのだ。
我々は、部族の英雄的な立場に感謝するが、全面的な停戦の遵守と国家の命令への厳格な従順を要請する。すべての者が理解すべきは、我々みなが経験している状況を乗り越え、我々の国と土地を外部干渉や内乱から守るために、この瞬間が、一致団結と全面協力を必要としているということである。
第3:この困難な状況において、シリアとともにあることを明言し、国の安定と復興を重視しようとする米国の重要な役割に感謝し、高く評価する。また、この段階で実効的な支援を提供してくれたアラブ諸国の役割も見過ごすことはできない。さらに、トルコも安定と沈静化を支援する地域的取り組みの一部を担ってくれた。同様に、欧州連合(EU)、ロシア、中国も、イスラエルの爆撃とシリア主権に対して繰り返される侵害に強い拒否の姿勢を示してくれた。これらのパートナーが示した国際的なコンセンサスは、シリアの安定と主権に対する共通の関心を反映したもので、国の統一を脅かすいかなる干渉継続も許さないという揺るぎない再確認するものである。
こうした前向きな立場は、シリアの国益を近隣諸国や世界全体の利益と結びつけられたことによる効果的かつ統一された外交に依らずしてはもたらされない。これは、シリアが周辺の地域的・国際的環境に対して依然として影響力を持っていることを示すものであり、シリアが今も世界情勢の中心におり、地域の安定実現において重要な役割を担っていることを立証している。
第4:ドゥルーズ派全体を、由緒ある同派の歴史を代表しない一部の少数集団の姿勢に陥った理由で裁くことは許されない。スワイダー県はこれまでも、そしてこれからも、シリア国家の不可分の一部であり続ける。また、ドゥルーズ派は、シリアの国民的秩序(ナスィージュ)を構成する基本的存在である。我々は、シリアの国民統合を解体したり、その構成集団のいずれかを排除しようとするいかなる試みも、シリアの安定に対する直接的な脅威とみなし得ると認識しなければならない。
過去数か月にわたる出来事は、スワイダーの住民がそのあらゆる階層においてシリア国家の側に立ち、分断の企てを拒否していることを証明してきた。ただし、この国民的立場から彼らを引き離そうとする少数のグループが存在することも否めない。
第5:シリア国家は国のあらゆる少数派と宗派の保護を遵守しており、いかなる当事者によるものであれ、すべての違反行為を制裁するために進んでいる。いかなる人物であっても制裁を免れることはない。我々は、スワイダーの内外を問わず、発生したすべての犯罪および違法行為を否認する。正義の実現と法の適用をすべての者に対して徹底することの重要性を強調する。
ドゥルーズ派およびベドウィンの兄弟たちへ、互いを大切にして欲しい。数世紀にわたって諸君ら結んできた隣人関係と深い絆は、共有の歴史、近親関係、一つの運命、一つの祖国は、一時的な対立や過ぎ去る出来事によって揺らぐ以上に崇高で強力だ。
このような緊迫した状況下で、理性と英知の声を優先させることが強く求められている。双方の賢者に余地を与え、亀裂を修復し、人々の心を鎮め、関係の修復に努める役割を担わせよう。また、亀裂を煽り、宗派対立の火種を撒き散らし、報復や復讐の言説を広めようとする者たちには、断固として立ち向かわねばならない。シリア国家は、その国民的責務に基づき、社会平和とその統合、そして安定を守るために、和解に資するあらゆる努力を全力で支援していく。
現実が示すように、シリアは分断、分離、宗派的扇動の企ての実験場ではない。一部の者たちは、対立と分離の道を選び、悲劇的な結末に直面したことで、この道の危険性を証明した。今こそ、正道に立ち返り、一致団結して共通の国民的基盤の上に立ち、シリアの未来を築くための真の演壇を築くことが必要となっている。
シリア国家の強さは、国民の結束、地域・国際的関係の堅固さ、そして国益の一体性から発するものであり、それによって、その安定が確立され、長期的な復興が強化される。国土の統一を守り、不正に立ち向かって命を落とした祖国の殉教者たちに哀悼の意を表す。アッラーが、彼らを楽園に迎え入れ、負傷者たちに癒しを与えてくださいますように。

 

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大統領府は全面的即時停戦を宣言、すべての当事者に遵守を呼びかけるとともに、停戦の履行を確実にするため、治安部隊を複数の地域に展開させると発表(2025年7月19日)

大統領府は、フェイスブックなどを通じて声明を出し、全面的即時停戦を宣言し、すべての当事者にこれを遵守するよう呼びかけるとともに、停戦の履行を確実にするため、治安部隊を複数の地域に展開させると発表した。

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バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使はスワイダー県をめぐって停戦合意が成立したと発表(2025年7月19日)

トーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使は、Xを通じて、スワイダー県をめぐって停戦合意が成立したと発表した。

発表の内容は以下の通り。

突破口——イスラエルのネタニヤフ首相(@Netanyahu)とシリアのアフマド・シャルア暫定大統領(@SyPresidency)は、米国(@SecRubio)の支援を受け、トルコ、ヨルダン、そしてその周辺諸国に支持された停戦に合意した。我々は、ドゥルーズ派、ベドウィン、スンナ派の人々に対し、武器を置き、他の少数派とともに、隣国との平和と繁栄のもとで新たに統一されたシリアのアイデンティティを構築するよう呼びかける。

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