ダーイシュは音声声明でパレスチナのハマースのイラン寄り姿勢を非難するとともに、レバノンのヒズブッラーによるイスラエル北部への攻撃をイランのための「厚意」と断じる(2024年1月4日)

ダーイシュ(イスラーム国)は、アブー・フザイファ・アンサール報道官によるとされる音声声明を発表した。

コーランの一節を引用し、「彼らに会えば、どこであってもこれを殺せ」と題された声明において、アブー・フザイファ報道官を名乗る人物は、ダーイシュがパレスチナのイスラーム教徒を支援しているとしたうえで、ハマースに「宗教ではなく、愛国の原則」に基づいて戦うとする姿勢に異議を唱え、「西岸やガザが米国のパトロンに統治されていることと、イランのパトロンに統治されていることには違いはない」としたうえで、イスラエルとだけ戦うことでは、正しい道を進んでいることは示せないと主張、ハマースのメンバーに組織に所属することを再検討するよう呼びかけた。

とりわけ、イランとの関係については、パレスチナ諸派がイランの庇護下に身を置いていることを非難、彼らが抵抗枢軸を名乗ることで、イランがパレスチナ解放の主導権を握り、救世主、庇護者として立ち現れてしまっていると指摘した。

また、イランの歴史は、イラク、シリア、レバノンのいずれにおいても、特にパレスチナ人に対する「犯罪」に満ちていたと断じた。

一方、レバノンのヒズブッラーについては、パレスチナの諸派をイランのプロキシーに仕立て、「代理戦争」を行わせようとしているイランの計画を完遂するための「厚意」に過ぎないと非難した。

そのうえで、世界中の戦闘員に対して、イスラエルおよび同国を支援する国々に対する攻撃を実行し、活動を再開し、攻撃を欧米の首都に移すよう動員令を発した。

AFP, January 4, 2024、ANHA, January 4, 2024、‘Inab Baladi, January 4, 2024、Reuters, January 4, 2024、SANA, January 4, 2024、SOHR, January 4, 2024などをもとに作成。

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