イナブ・バラディーは、シリア南部で、イスラエルとイランのシリア上空での攻防で落下・墜落したミサイルや無人航空機を取材するメディア活動家らがイスラエル軍によって拘束される事件が発生したと伝えた。
同サイトによると、6月14日、+963メディアの特派員を務める活動家のナーディル・ダッブー記者(アブー・マアン・ハウラーニー)と、メディア活動家のヌール・ジャウラーン氏が、クナイトラ県でイラン製の無人航空機がシリア領内に墜落した様子を取材し、被害を受けた民間人を記録していたところをイスラエル軍に追跡され、尋問を受けた。
この事件に関して、シリア人ジャーナリスト協会は6月15日付の
声明で、「イスラエル軍によるシリア領内で記者への度重なる深刻な侵害が行われている」として厳しく非難、国際的な独立調査の実施と責任者の処罰を求めた。
同協会によれば、これらの侵害行為は国際人道法における犯罪に該当し、記者の安全を保障するジュネーブ条約第一追加議定書の第79条および第51条に違反しているという。
ダッブー記者はシリア人ジャーナリスト協会内の報道の自由センターへの証言で、「我々は、シリア領内の民間地域にいたにもかかわらず30分以上にわたって追跡され、軍事区域に侵入したとして尋問された」と語った。
また、この事件に関して、クナイトラ県に住む活動家アフマド・カイワーン氏は、イスラエル軍が記者2人を追跡中に、クードナ村で若者2人と子ども1人も逮捕したことを明らかにした。
子どもは直後に釈放されたが、拘束中にイスラエル軍から拷問を受けたという。
一方、2人の若者もダッブー氏らと関係ないことが確認され、同日夜に釈放された。
なお、シリア人ジャーナリスト協会によると、アサド政権が崩壊して以降、銃撃、逮捕、暴行、機材の押収、報道妨害といったイスラエル軍による記者への侵害行為は4件を記録しているという。
2024年12月25日には、クナイトラ県のスワイサ村で抗議行動取材中に、メディア活動家のアリー・ナッジャール氏がイスラエル兵に撃たれて足を負傷した。
また、2025年1月8日には、フランス人カメラマンのシルヴァン・メルカディエ氏と、シリア人記者ムハンマド・ファイヤード氏が、クナイトラ県ハミーディーヤ村で取材中に拘束された。
さらに、記者のユースフ・ガリービー氏が2人の同僚とともに取材を妨害され、暴行を受け、機材を押収された。
ガリービー氏は、住民の協力で逃げることができたが、後にイスラエル軍からノートパソコンのパスワードを電話で要求され、身の安全のためにやむなく提供したという。
(C)青山弘之 All rights reserved.
