ハサカ県では、シリア人権監視団によると、25日ハサカ市南西部に侵攻したダーイシュ(イスラーム国)が、市内南部の変電所交差点一帯で、シリア軍、国防隊と交戦、シリア軍が同地を空爆・砲撃した。
この戦闘で、ダーイシュはハサカ市南部のペトロール検問所を制圧し、市内と第123連隊基地を結ぶシリア軍の兵站路を遮断、また市内南西部のヴィーラート・フムル地区、アズィーズィーヤ地区マアルーフ学校、そして東部のグワイラーン地区の西側一帯へと制圧地域を徐々に拡大しているという。
また国連シリア事務所によると、ハサカ市(人口約30万)に対するダーイシュの侵攻により、5万人が自宅から市内の別の場所に避難、1万人がトルコ国境に近いアームーダー市方面に避難し、約20万人がアームーダー市やカーミシュリー市方面に避難しようとしているという。
一方、SANA(6月26日付)によると、シリア軍がハサカ市南部郊外のサフル村、サラヤー村、サブア村、ダーウディーヤ村、ハサカ市ヴィーラート・フムル地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またウムラーン・ズウビー情報大臣は、シリア・アラブ・テレビ(6月26日付)で「武器をとって、ハサカ市の防衛にあたることができる住民はダーイシュに対峙している」と述べた。
他方、クッルナー・シュラカー(6月27日付)によると、グワイラーン地区に侵攻したダーイシュは、同地区にあるハサカ中央刑務所の収監者を解放し、ハサカ県内のダーイシュの主要拠点であるシャッダーディー市に移送したという。
**
クッルナー・シュラカー(6月26日付)は、チェチェン人など外国人戦闘員からなるダーイシュの精鋭部隊「カリフ軍」が、これまでハサカ市一帯で戦闘を行ってきた「ウィラーヤ軍」に代わって戦闘を指揮し、約100人の自爆戦闘員などからなる増援部隊を派遣し、ハサカ市の完全制圧に向けて準備を進めていると伝えた。
**
ヒムス県では、SANA(6月26日付)によると、タドムル市一帯、ワーディー・マースィク村、ジャズル・ガス採掘所一帯、ダール・カビーラ村などをシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
**
米中央軍(CENTCOM)は、6月26日午前8時から27日午前8時までの24時間にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して21回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は14回におよび、ハサカ市近郊(2回)、アレッポ市近郊(1回)、ラッカ市近郊(5回)、アイン・アラブ市近郊(4回)、タッル・アブヤド市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。
AFP, June 26, 2015、AP, June 26, 2015、ARA News, June 26, 2015、Champress, June 26, 2015、al-Hayat, June 27, 2015、Iraqi News, June 26, 2015、Kull-na Shuraka’, June 26, 2015、June 27, 2015、al-Mada Press, June 26, 2015、Naharnet, June 26, 2015、NNA, June 26, 2015、Reuters, June 26, 2015、SANA, June 26, 2015、UPI, June 26, 2015などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.