国連安保理決議第2254号採択を受けた各国首脳・外相の反応:欧米諸国、トルコはアサド政権の正統性を改めて否定する一方、ロシア、中国、イランは政権退陣はシリア国民が決するべきと主張(2015年12月18日)

バラク・オバマ米大統領は、国連安保理決議第2254号の採択に関して、「シリアでの流血を止め、すべての当事者が前進できるようにするため、アサドが去らねばならないと考えている…。アサドは正統性を完全に失っており…、彼が権力の座にとどまることは…不可能だ…。我々は、この国の大多数が正統だと承認する政府が樹立されない限り、シリアに和平をもたらし、内戦を終わらせることはできないと見ている」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、国連安保理決議第2254号の採択に関して、「バッシャール・アサドを退任させる保証が必要だ…。彼が(大統領)選挙に再出馬することは、我々には受け入れられない」と述べた。

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英国のフィリップ・ハモンド外務大臣は、国連安保理決議第2254号の採択に関して、聞き解決に向けた「偉大なる前進」としつつ、「シリアの当事者どうしの対話への道が開かれ、シリアから殺人者アサドの体制を遠ざける移行期に至ろうしている」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール首相は、国連安保理決議第2254号の採択に関して「アサドが権力の座にとどまることは聞き解決をもたらさない。彼がとどまればさらなる蛮行が行われ、安定が損なわれる…。我々はアサド抜きで真摯にシリアの聞きを解決しようとするすべての国連決議を支持する」と述べた。

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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、国連安保理決議第2254号の採択に関して「シリア危機に関して、我々は、アサド大統領と米国が容易に協力し合えると考えている。このことについて、最近、オバマ大統領や、サウジアラビアなどのアラブ諸国の友人たちと話した」と述べた。

RT(12月19日付)などロシアの複数のメディアが伝えた。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣(アラブ・アフリカ担当)は、国連安保理決議第2254号に関して、「我々はシリアへの支援を継続する」としたうえで、「政治プロセス終了後にバッシャール・アサドの(大統領選挙への)出馬するかどうかは彼個人にかかわる問題だ。最終的にはそれはシリア人が決めることだ」と述べた。

IRNA(12月19日付)が伝えた。

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中国の王毅外交部長は、国連安保理決議第2254号の採択に関して、「シリア人が国連憲章に従って政治プロセスを主導しなければならない。またシリア国民がシリア人の指導者を選ばねばならない」と述べた。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表大使は、国連安保理決議第2254号の採択に関して「シリアでの政治プロセスが成功するには、シリア政府がそれに主要な当事者として関与することが求められており、我々が成功を望むのなら、このプロセスにかかわるさまざまな側面でシリア政府と連携・協力がなされるべきだ」と述べた。

AFP, December 19, 2015、AP, December 19, 2015、ARA News, December 19, 2015、Champress, December 19, 2015、al-Hayat, December 20, 2015、Iraqi News, December 19, 2015、IRNA, December 19, 2015、Kull-na Shuraka’, December 19, 2015、al-Mada Press, December 19, 2015、Naharnet, December 19, 2015、NNA, December 19, 2015、Reuters, December 19, 2015、RT, December 19, 2015、SANA, December 19, 2015、UPI, December 19, 2015などをもとに作成。

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