イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官らダマスカス郊外県東グータ地方で活動するジハード主義武装集団の幹部多数がシリア軍(ないしはロシア軍)の空爆で死亡、反体制派はロシアをこぞって非難(2015年12月25日)

軍武装部隊総司令部は声明を出し、シリア軍がダマスカス郊外県東グータ地方にある「テロリスト」拠点複数カ所に対して特殊作戦を行い、イスラーム軍の最高指導者ザフラーン・アッルーシュ氏およびイスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動、ラフマーン軍団のメンバー多数を殲滅したと発表した。

特殊作戦は、軍の諜報活動や住民の協力によって得られた情報をもとに実施されたという。

SANA(12月25日付)が発表した。

SANA, December 25, 2015

SANA, December 25, 2015

 

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アッルーシュ司令官死亡に関して、シリア人権監視団は、戦闘機(所属は明示せず)がマルジュ・スルターン村近郊のウーターヤー町への空爆によって、アッルーシュ氏、イスラーム軍の治安部門責任者を含む幹部5人が死亡した」と発表した(その後、シリア人権監視団は26日、アッルーシュ司令官とイスラーム軍の司令官5人を含む13人が死亡したと改めて発表した)。

Naharnet, December 25, 2015

Naharnet, December 25, 2015

空爆は、イスラーム軍、ラフマーン軍などジハード主義武装集団の会合を狙って行われたという。

また、複数の消息筋によると、この攻撃により、ラフマーン軍団の司令官アブドゥンナースィル・シュマイル氏を含む同軍団メンバー16人も死亡したという。

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アッルーシュ氏は、1971年、ダマスカス郊外県ドゥーマー市生まれ。父はドゥーマー市の著名なシャイフの一人、アブドゥッラー・アッルーシュ氏。ダマスカス大学イスラーム法学部卒。

1987年以降、その活動を危険視した治安当局によってたびたび逮捕・拘束された経験があり、2009年以降はサイドナーヤー刑務所に収監されていた。

2011年3月の恩赦により釈放(2011年6月22日)されると、武力による政権打倒をめざし、「イスラーム連隊」の名で武装集団を結成。

同集団はその後、「イスラーム旅団」に改称し、最終的に2013年12月、ダマスカス郊外県などで活動する43の武装集団を統合し、「イスラーム軍」を結成した。

オリエント・ネット(12月25日付)によると、イスラーム軍は、64の大隊(を名乗る武装集団)と26の事務局から構成されているという。

なお、シリア軍の標的となったイスラーム軍、ラフマーン軍団、シャーム自由人イスラーム運動は12月15日、シャームの民のヌスラ戦線、アジュナード・シャーム・イスラーム連合とともにマルジュ・スルターン村奪還に向けた合同作戦司令室を設置するなど、連携を強化していた。

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クッルナー・シュラカー(12月25日付)は、複数の現地筋の話として、アッルーシュ司令官死亡を受け、イスラーム軍はイサーム・ブワイダーニー氏(アブー・ハマーム)を新司令官に任命した、と伝えた。

『ハヤート』(12月27日付)によると、ブワイダーニー氏は、アッルーシュ氏と同じくドゥーマー市出身で、商店を営んでいたという。

Kull-na Shuraka', December 26, 2015

Kull-na Shuraka’, December 26, 2015

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リヤドでの反体制派合同会合で新設された反体制派統一代表団人選を担当する最高交渉委員会の委員長を務めるリヤード・ヒジャーブ元首相は、イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官死亡に関して、ロシア軍の空爆によるものだと非難したうえで、「シリア政府との交渉に適切でない…困難な状況」だと指摘、国際社会に対してシリア政府の「虐殺」を停止させるべく行動するよう呼びかけた。

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リヤドでのシリア反体制派合同会議のリヤード・ナアサーン・アーガー報道官はイスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官の死亡に関してフェイスブックを通じて声明を出し、ロシア軍の空爆によるものだと非難した。

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これ以外にも、シャーム自由人イスラーム運動、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、ヤルムーク軍、南部戦線、フルカーン旅団、シャーム軍、海岸第10師団、シャーム革命家大隊、アンサール・シャーム、シャーム戦線、東部の獅子軍、ラフマーン軍団、北部師団、自由シリア軍所属16組織(ムジャーヒディーン軍、ヌールッディーン・ザンキー運動、第111師団など)、シャームの民中隊が声明を出し、アッルーシュ司令官殺害を非難した。

AFP, December 25, 2015、AP, December 25, 2015、ARA News, December 25, 2015、Champress, December 25, 2015、al-Hayat, December 26, 2015、December 27, 2015、Iraqi News, December 25, 2015、Kull-na Shuraka’, December 25, 2015、al-Mada Press, December 25, 2015、Naharnet, December 25, 2015、NNA, December 25, 2015、Orient Net, December 25, 2015、Reuters, December 25, 2015、SANA, December 25, 2015、UPI, December 25, 2015などをもとに作成。

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