ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル市およびその周辺に侵攻しブガイリーヤ村を一時占拠、シリア政府は住民300人が虐殺されたと主張(2016年1月16日)

Kull-na Shuraka', January 17, 2016

Kull-na Shuraka’, January 17, 2016

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ダイル・ザウル市内のシリア政府支配地域(ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区)および同市周辺一帯(ブガイリーヤ村、アイヤーシュ村、サーイカ軍事基地)などに侵攻し、ブガイリーヤ村を掌握、シリア軍兵士・国防隊隊員35人が死亡した。

クッルナー・シュラカー(1月16日付)によると、ダーイシュは、ブガイリーヤ村の他にも、ダイル・ザウル航空基地を見下ろすことができるカルーム丘、サルダ丘一帯を制圧したという。

シリア人権監視団によると、死亡した35人のうち、8人は銃殺処刑で、クッルナー・シュラカー(1月16日付)によると、処刑されたのは国防隊の隊員で、処刑された隊員以外にも多くの隊員が捕捉されたという。

これに関して、SANA(1月16日付)は、複数の地元住民筋の話として、ダーイシュがブガイリーヤ村で住民約300人を「背教」、ダーイシュに対する戦闘行為の罪で斬首するなどして、虐殺した、と伝えた。

なお、シリア人権監視団によると、ダーイシュの侵攻を受け、シリア軍はブガイリーヤ村に増援部隊を派遣し、ダーイシュが占拠した地域のほとんどを奪還したという。

また戦闘機(クッルナー・シュラカー(1月16日付)によるとロシア軍戦闘機)がシャクラー村、ジュナイナ村、ヒサーン村、アイヤーシュ村などダイル・ザウル市西部郊外一帯を空爆する一方、ダーイシュはダイル・ザウル市の県庁舎一帯、ジャウラ地区などを砲撃した。

一方、SANA(1月16日付)によると、シリア軍がアイヤーシュ村、ジュナイナ村、ブガイリーヤ村、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区、ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区でダーイシュと交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)は声明を出し、「ヌサイリーヤ体制」(シリア政府のこと)の「背教者」多数を殺傷、捕捉し、ブガイリーヤ村、サーイカ軍事基地(武器庫)、燃料庫、放送塔、ルーワード協会団地、ダイル・ザウル市ムワッザフィーン地区各所を制圧したと発表した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がクワイリス航空基地に近いフマイマ村のシリア軍拠点複数カ所を攻撃したが、シリア軍の反撃を受け、戦闘員16人が死亡した。

シリア軍とダーイシュはまた、ダーイシュの拠点都市の一つバーブ市南部郊外で交戦を続けるとともに、ロシア軍が同地一帯を空爆した。

なお、バーブ市は、2012年7月に反体制派が制圧した後、2013年にダーイシュの手に渡った。

一方、ARA News(1月16日付)によると、ロシア軍がアレッポ市スッカリー地区にある医療センターを空爆し、住民7人が死亡、数十人が負傷した。

ARA News, January 16, 2016

ARA News, January 16, 2016

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ラッカ県では、ARA News(1月16日付)によると、ロシア軍がダーイシュ(イスラーム国)の中心都市ラッカ市各所を空爆し、住民15人が死亡、20人が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(1月16日付)によると、シリア軍がタール山北東部でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(1月16日付)によると、シリア軍がアシュハイブ丘一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊によると、ハサカ市西部郊外でダーイシュ(イスラーム国)戦闘員2人を殺害した。

AFP, January 16, 2016、AP, January 16, 2016、ARA News, January 16, 2016、Champress, January 16, 2016、al-Hayat, January 17, 2016、Iraqi News, January 16, 2016、Kull-na Shuraka’, January 16, 2016、January 17, 2016、al-Mada Press, January 16, 2016、Naharnet, January 16, 2016、NNA, January 16, 2016、Reuters, January 16, 2016、SANA, January 16, 2016、UPI, January 16, 2016などをもとに作成。

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