トルコのエルドアン大統領はシリアへの越境砲撃継続の意思を表明する一方、アクドーアン副首相はアレッポ県北部での「安全保障地帯」設置の必要を強調(2016年2月17日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はテレビ演説を行い、アレッポ県北部への越境砲撃を継続する意思を示すとともに、米国に対して、トルコとクルド人勢力のいずれを支援するかを決断するよう求めた。

エルドアン大統領は、「我々は南部国境地帯にもう一つのキンディール山地が作り出されることを許さない」としたうえで、「有志連合は我々に対して民主統一党と人民防衛隊への砲撃停止を求めている。しかし残念ながら、我々はこれを停止することはない」述べ、アレッポ県北部にあるアル=カーイダ系組織と「穏健な反体制派」の中心都市であるアアザーズ市に向けて進軍を続ける西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に対する砲撃を継続する決意を表明した。

エルドアン大統領はまた「正しいテロリスト、悪いテロリストなどいない」と述べ、トルコ政府がテロ組織に認定するクルディスタン労働者党(PKK)とつながりがある民主統一党、そして同党が主導する西クルディスタン移行期民政局の人民防衛隊、さらには同部隊を中心とするシリア民主軍を後援する米国の政策を批判した。

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一方、ヤルチュン・アクドーアン副首相は、ハベル・チャンネル(2月17日付)のインタビューに応じ、そのなかで「我々は、アアザーズ市を含むシリア領内10キロの地点に安全地帯を設置したい」と述べ、シリア民主軍の進軍を阻止する意思を示した。

AFP, February 17, 2016、AP, February 17, 2016、ARA News, February 17, 2016、Champress, February 17, 2016、al-Hayat, February 18, 2016、Iraqi News, February 17, 2016、Kull-na Shuraka’, February 17, 2016、al-Mada Press, February 17, 2016、Naharnet, February 17, 2016、NNA, February 17, 2016、Reuters, February 17, 2016、SANA, February 17, 2016、UPI, February 17, 2016などをもとに作成。

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