アレッポ市北部のバニー・ザイド地区をシリア軍とYPG主体のシリア民主軍が挟撃し、ヌスラ戦線、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室などからなる反体制武装集団は同地の建物群多数を喪失(2016年7月27日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室などからなる反体制武装集団が籠城するアレッポ市東部街区(サーフール地区、アンサーリー地区)に対して、シリア軍が空爆、砲撃を行い、民間人16人が死亡した。

ARA News(7月27日付)によると、アレッポ市サーフール地区に対する空爆はロシア軍によるものだという。

またシリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が反体制武装集団支配下のアレッポ市ブスターン・カスル地区、ハイダリーヤ地区、サーフール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、スッカリー地区、フィルドゥース地区を空爆し、住民6人が死亡した。

さらにアレッポ市都区部のバニー・ザイド地区、ライラムーン地区、カースティールー街道一帯での戦闘で、ジハード主義武装集団戦闘員1人とシリア軍兵士1人が死亡した。

一方、ARA News(7月28日付)によると、シリア軍はアレッポ市北部のバニー・ザイド地区を激しく空爆、また同地に展開する第16師団やアレッポ・ファトフ軍作戦司令室を放逐し、多数の建物群を掌握、同地を制圧した。

また、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は、同民政局の支配下にあるアレッポ市北部のシャイフ・マクスード地区の北西部に隣接するサカン・シャバービー地区(ライラムーン地区の東部)で反体制武装集団と交戦し、同地区内の建物群多数を制圧した。

サカン・シャバービー地区は、シリア軍が攻略をめざしているアレッポ市バニー・ザイド地区、ハーリディーヤ地区を見下ろす高台に位置している。

他方、SANA(7月27日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市郊外の変電所を砲撃し、アレッポ市への電力供給が途絶えた。

電力省消息筋によると、電力公社復旧チームが現地で復旧作業にあたっているという。

また、シャームの民のヌスラ戦線がアレッポ市ラームーサ地区で住民を狙撃、女性1人が死亡、5人が負傷した。

このほか、リヤド最高交渉委員会は国連事務総長に宛てて書簡を送り、そのなかで、シャームの民のヌスラ戦線やアレッポ・ファトフ軍作戦司令室などからなる反体制武装集団の支配が続くアレッポ市東部街区に対するシリア軍の完全包囲を受けて、同市の事態打開に向けた安保理緊急会合を招集するよう要請、包囲解除を主唱した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月27日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団、予備部隊とともにフーシュ・ファーラ村一帯でジハード主義武装集団と交戦し、同村南部の農場地帯を制圧した。

一方、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がシャイフーニーヤ村、リーハーン農場、タッル・クルディー町、フーシュ・ナスリー村、マイダアーニー村、バイト・サワー村を空爆、またフーシュ・ファーラ村、ムハンマディーヤ町一帯ではシリア軍、ヒズブッラー戦闘員がジハード主義武装集団と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がジャーヌーディーヤ町を空爆し、男性1人が死亡した。

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ヒムス県では、ARA News(7月27日付)によると、シリア軍がブルジュ・カーイー村を空爆し、子供を含む民間人10人以上が死傷した。

AFP, July 27, 2016、AP, July 27, 2016、ARA News, July 27, 2016、July 28, 2016、Champress, July 27, 2016、al-Hayat, July 28, 2016、Iraqi News, July 27, 2016、Kull-na Shuraka’, July 27, 2016、al-Mada Press, July 27, 2016、Naharnet, July 27, 2016、NNA, July 27, 2016、Reuters, July 27, 2016、SANA, July 27, 2016、UPI, July 27, 2016などをもとに作成。

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