アレッポ市東部包囲解除をめぐり、シリア人権監視団代表は「シリア軍の重大な敗北を喫し、シリア政府支配下のアレッポ市西部が逆に反体制派に包囲された」と評する一方、SANAは包囲解除を引き続き否定(2016年8月7日)

アレッポ市東部の包囲解除に関して、AFP(8月7日付)特派員は、トマト、ポテトを積載した車輌がラームーサ地区を経由して、アレッポ市東部に搬入されたと伝えた。

しかし、シリア人権監視団によると、食糧を搬入した車輌はたったの3台で、包囲解除を誇示するための「象徴的な動き」に過ぎず、ラームーサ地区の街道の安全は確保されておらず、住民の往来は不可能なままだという。

SANA(8月7日付)もまた、軍消息筋の話として「テロ組織はアレッポ市東部に対する包囲を解除できていない」と伝え、アレッポ市包囲解除に関する報道を否定し続けるとともに、SANAのアレッポ特派員は、アレッポ市ハムダーニーヤ地区第4街区に反体制武装集団が進攻したとの一部報道を事実無根だと伝えた。

なお、シリア人権監視団のアブドゥッラフマーン代表によると、シリア軍は「ロシア軍の600回におよぶ空爆にもかかわらず重大な敗北を喫し」、またファトフ軍は「アレッポ市東部の包囲を解除できただけでなく、(シリア政府が支配する)アレッポ市西部に通じるシリア軍側の最後の兵站路も遮断し、アレッポ市西部を逆に包囲した」という。

『ハヤート』(8月8日付)によると、アレッポ市東部の反体制武装集団支配地域には25万人の住民が、アレッポ市西部のシリア政府支配地域には20万人の住民が暮らしているという。

AFP, August 7, 2016、AP, August 7, 2016、ARA News, August 7, 2016、Champress, August 7, 2016、al-Hayat, August 8, 2016、Iraqi News, August 7, 2016、Kull-na Shuraka’, August 7, 2016、al-Mada Press, August 7, 2016、Naharnet, August 7, 2016、NNA, August 7, 2016、Reuters, August 7, 2016、SANA, August 7, 2016、UPI, August 7, 2016などをもとに作成。

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