2014年1月2日のシリア情勢

反体制勢力の動き

ヨルダンのジハード主義潮流の幹部(匿名)はUPI(1月2日付)に、シャームの民のヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、「レバノンに軍事的に介入することを正式に決定した」と語った。

決定はヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏、ダーイシュ指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏によって2日になされ、「レバノンに正式かつ公然と介入し、ヒズブッラーをシリア全土から放逐、彼らが拘束している捕虜を解放する」ことがめざされるという。

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『ハヤート』(1月4日付)によると、アレッポ県西部で活動する反体制武装集団が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対抗するために結集し、「ムジャーヒディーン軍」を結成した。

「ムジャーヒディーン軍」は、「命じられるままに実直であれ連合」、ヌールッディーン・ザンキー・イスラーム大隊、イスラーム・ヌール運動、第19師団、アンサール旅団、イスラーム自由旅団、アムジャード・イスラーム旅団、アンサール・ヒラーファ旅団、イスラーム・ヌール運動、ジュンド・ハラマイン旅団などからなり、ハーン・アサル村に作戦司令室を設置した。

ムジャーヒディーン軍はまた、自らがアレッポ市西部一帯(サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区、マシュハド地区、アンサーリー地区、ザバディーヤ地区)を「完全制圧」し、ダーイシュ戦闘員の活動を禁じたと発表した。

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ドゥーマー殉教者旅団は声明(第1号)を出し、「イスラーム戦線(イスラーム軍)」の声明(1日)における批判・嫌疑に反論、検問所制圧が、ドゥーマー市民へのイスラーム軍幹部らの悪行(拘留など)を背景としていると主張した。

Kull-na Shuraka', January 3, 2014

Kull-na Shuraka’, January 3, 2014

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シリア革命総合委員会は、アレッポ県ナッカーリーン村の前線司令官を務めていた空軍情報部特殊作戦司令官でスハイル・ハサン大佐に関して、SNSなどで、第80旅団基地近くで反体制武装集団の要撃を受け、死亡したとの情報が流れていると発表した。

ハサン大佐は「虎」の愛称で知られ、アレッポ市に転戦する前は、イドリブ県アリーハー市などでの反体制武装集団掃討作戦を指揮していた。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)ハーラト・フライク地区での自爆テロを「あらゆる基準において拒否されるべきテロ行為」と非難し、「世界のすべての国にとってテロとの戦いは義務だ」と述べた。

SANA(1月2日付)が伝えた。

国内の暴力

ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ、アブー・アイマン・イラーキーが率いる部隊)が「自由シリア軍」の殉教者ウサーマ・アブラク病院(野戦病院)を襲撃し、「義足の戦闘員」として知られていたジャミール・ララー氏(アブー・ハッドゥー)を拉致した。

またシリア人権監視団によると、ハウィーヤ村などにある軍の拠点数カ所を反体制武装集団が砲撃し、複数の兵士が死傷した。

一方、SANA(1月2日付)によると、サルマー町一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム・イスラーム自由人運動、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県、SANA(1月2日付)によると、イドリブ市・ビンニシュ市街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、アターリブ市・サッハーラ村間の街道で、ハムザ・サイイド・シュハダー旅団(「自由シリア軍」)の司令官の一人アリー・ウバイド氏が遺体で発見された。

ウバイド氏は、街道に設置されたダーイシュの検問所で拘束・拉致されていたという。

シリア人権監視団によると、アレッポ市カッラーサ地区、ブスターン・カスル地区、カーディー・アスカル地区、バーブ・ハディード地区、サーフール地区、シャッアール地区、ファイイド地区、カーティルジー地区、サーフール地区、ダフラ・アワード地区、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)で、軍が爆撃・砲撃を行い、複数の市民が死傷した。

軍はシャッアール地区などへの爆撃で「樽爆弾」を投下したという。

またアレッポ市サイフ・ダウラ地区、ライラムーン地区では、軍と反体制武装集団が激しく交戦、反体制武装集団がアレッポ市西ザフラー地区にある科学研究センターを手製の迫撃砲で攻撃した。

このほか、アナダーン市に対して、軍は「樽爆弾」で爆撃したという。

一方、SANA(1月2日付)によると、ザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、アルバイド村、クワイリス村、ヒーラーン村、ズィルバ村、マアーッラト・アルティーク村、ハイヤーン町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・ナッジャール地区、ハナーヌー地区、スッカリー地区、カーディー・アスカル地区、ブスターン・カスル地区、ジャズマーティー地区、カスタル・ハラーミー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区で大きな爆発が2回あった。

またヒムス市南部のヒルバト・ヒワーラ村、ガントゥー市に軍が砲撃を行う一方、イッズッディーン町周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

さらにレバノン国境に近いジュースィーヤ村郊外で、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が反体制武装集団と交戦、双方に複数の人的被害が出た。

一方、SANA(1月2日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、タラフ村、カフルラーハー市、キースィーン村、ラスタン市郊外、クサイル市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領からクサイル市方面に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

このほかヒムス市カラム・シャーミー地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾2発が着弾し、市民4人が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、カーブーン区、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

またムワーサー地区のムワーサー病院に近いティシュリーン公園に迫撃砲弾2発が着弾した。

一方、『ハヤート』(1月2日付)は、シリアのサッカー代表チームのキャプテンを務めるマーヒル・サイイド氏がダマスカス県内で何者かに誘拐された、と報じた。

サイイド氏は12月31日の午後、練習に出かけたまま、消息を絶っているという。

他方、SANA(1月2日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またムワーサー地区のムワーサー病院裏に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾3発が着弾し、市民3人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーイヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯に軍が「樽爆弾」で爆撃を行った。

またクッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、ザバダーニー市で活動するハック殉教者大隊司令官の「ライイス」氏が死亡した。

一方、SANA(1月2日付)によると、ザバダーニー市、バラダー渓谷、マダーヤー平原、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、ムライハ市、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、クウェート人、カタール人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカタナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾4発が着弾し、子供2人を含む3人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市に軍が「樽爆弾」で爆撃を行うとともに、フラーク市を砲撃し、複数の市民が死傷した。

一方、SANA(1月2日付)によると、ダルアー市旧税関地区など、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市シャイフ・ヤースィーン地区を軍が砲撃する一方、ダイル・ザウル航空基地のミサイル大隊基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月2日付)によると、民主連合党人民防衛隊が、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ないしは自由シリア軍の支援を受けるアラブ人部族」の武装集団とタッル・ブラーク町東部のアビータフ村などで交戦し、武装集団戦闘員3人を処刑した。

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ハマー県では、SANA(1月2日付)によると、ラビーア町に反体制武装集団が迫撃を加え、女性1人、子供2人が死亡、6人が負傷した。

レバノンの動き

NNA(1月2日付)、マナール(1月2日付)などによると、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のハーラト・フライク地区アリード通りで、車に仕掛けられた爆弾が爆発(自爆)、少なくとも5人が死亡、80人余りが負傷した。

自爆テロはヒズブッラー政治局本部から数百メートルの場所で起きた。

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AFP(1月2日付)によると、シリア軍機がベカーア県バアルベック郡アルサール地方、ヒルバト・ダーウド地方を爆撃し、シリア人9人が負傷した。

同地域には、ダマスカス郊外県カラムーン地方から敗走したシリア人武装集団戦闘員が潜入し続けているのだという。

イラクの動き

イラキー・ニュース(1月2日付)によると、アンバール県ラマーディー市で、ブー・ガーニム部族の民兵が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との交戦の末、戦闘員3人を拘束した。

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イラキー・ニュース(1月2日付)によると、ニナワ県モスル市南部でイラク警察の治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の司令官の一人で指名手配中のサージド・ハマド・アティーヤ容疑者を殺害した。

AFP, January 2, 2014、AP, January 2, 2014、Champress, January 2, 2014、al-Hayat, January 2, 2014, January 3, 2014、Iraqinews.com, January 2, 2014、Kull-na Shuraka’, January 2, 2014, January 3, 2014、al-Manar, January 2, 2013、Naharnet, January 2, 2014、NNA, January 2, 2014、Reuters, January 2, 2014、Rihab News, January 2, 2014、SANA, January 2, 2014、UPI, January 2, 2014などをもとに作成。

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