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反体制勢力の動き
イスラーム戦線は声明(第4号)を発表し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)にアレッポ県アターリブ市からの即時撤退とムジャーヒディーン(「自由シリア軍」、イスラーム戦線の戦闘員)への殺戮を停止するよう求めた。
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シリア革命家戦線は声明を出し、「自由シリア軍」と民間人に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻撃を「自らに対する攻撃」とみなすと発表、24時間以内に、武器引き渡しと、シリア革命家戦線、ないしは自由シリア軍への投降(参加)か、シリアからの退去のいずれかを行うよう、ダーイシュ戦闘員に呼びかけた。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、民主統一党人民防衛隊が、軍と連携しハサカ県タッル・ハミース市一帯の「自由シリア軍」への攻撃を続けていると非難した。
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シリア人権監視団は声明を出し、昨年12月15日以降の軍によるアレッポ市などでの「樽爆弾」による爆撃での犠牲者数が553人に達したと発表した。
うち158人は子供、48人は女性、35人以上が戦闘員、16人がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員だという。
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シリア人権監視団は、イドリブ県ハザーヌー町の検問所で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に従うダーウド旅団の戦闘員10人以上が数日前に、シャームの民のヌスラ戦線などからなる武装集団と交戦し、殺害されていたと発表した。
国内の暴力
アレッポ県では、『ハヤート』(1月4日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「自由シリア軍」やムジャーヒディーン軍などが支配するアターリブ市および第46連隊基地の制圧をめざして攻撃を本格化し、アターリブ市に突入した。
シリア人権監視団によると、ダーイシュによるアターリブ市への砲撃で、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員複数名が負傷したという。
アターリブ市一帯での戦闘激化に関して、クッルナー・シュラカー(1月3日付)は、ダーイシュが2日から攻勢を強め、3日深夜にアブザムー町を制圧した後、アターリブ市の北部に位置するマアーッラト・アターリブ村方面からアターリブ市に突入を試み、同市を砲撃したと報じた。
同報道によると、ダーイシュは、ラッカ県から戦車4輌、ピックアップ・トラック約100台からなる増援部隊をアターリブ市一帯に派遣する一方、アブザムー町とアターリブ市東部の交差点に位置する検問所、イッビーン村の検問所、自由シリア軍第9師団基地などを制圧したという。
これに対して、アターリブ市を拠点とする「自由シリア軍」、イスラーム戦線などが応戦、同市へのダーイシュの突入を阻止、「アブー・アクラマ」を名乗るダーイシュの司令官を逮捕したという。
また、サッハーラ村を拠点とする「自由シリア軍」やイスラーム戦線などが、アレッポ県西部やイドリブ県に至る街道を寸断し、キッリー村、イッビーン村、ジーナ村、アブザムー町、バータブー村を奪還・制圧したという。
この戦闘で、ダーイシュの戦闘員20人以上が死亡、またイスラーム戦線側も5人の戦闘員が死亡した。
一方、SANA(1月3日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、アレッポ中央刑務所周辺、マーイル町、ザルズール村、マアーッラト・アルティーク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、カスタル・マシュト地区、サーフール地区、カーディー・アスカル地区、ザバディーヤ地区、バニー・ザイド地区、ブスターン・カスル地区、ジャズマーティーヤ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ県郊外で、イスラーム戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、戦闘員42人と民間人20人が負傷、病院に搬送された。
また同監視団によると、カフルナブル市、カフルタハーリーム町では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の退去を求めるデモが発生した。
このほか、イドリブ市に対して軍が砲撃を加え、市民3人が死亡したという。
一方、SANA(1月3日付)によると、フバイト村、食品加工工場北部、カフルジャーリス村、アブー・ズフール町西部、ブワイティー村、タフタナーズ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ルハイバ市、ヤブルード市、ドゥーマー市を軍が砲撃・爆撃、またサクバー市で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アブー・ファドル・アッバース旅団が反体制武装集団と交戦した。
ドゥーマー市への爆撃では「樽爆弾」が使用されたという。
またクッルナー・シュラカー(1月3日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプのパレスチナ人キャンプに対して、軍が「樽爆弾」を投下し、子供2人を含む4人が死亡、15人以上が負傷した。
一方、SANA(1月3日付)によると、ハラスター市、ザバダーニー市、クカイルッザイト市、ムライハ市、アドラー市(旧市街)、ダーライヤー市、ルハイバ市、ハジャル・アスワド市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団、ハック殉教者旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がサクービーン村、サトマルフー村を手製の迫撃砲で攻撃する一方、軍はサルマー町一帯を「樽爆弾」で爆撃した。
一方、SANA(1月3日付)によると、カフリーヤ村、ヒルバト・スーラーン村、ラビーア町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市国立病院周辺での軍との戦闘員で、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。
一方、SANA(1月3日付)によると、ダルアー市各所、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市郊外の戦闘で、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダール・カビーラ村が軍の砲撃を受けた。
一方、SANA(1月3日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区、カラービース地区、マサービグ地区、ワアル地区、カルアト・ヒスン市、ガースィビーヤト・ナイーム村、バイト・ハッジュー村、クマイリー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、SANA(1月3日付)によると、ジャウバル区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(1月3日付)によると、タッル・ビーア村でアサド政権を支持していたシャイフの一人、アブドゥルアズィーム・シャイフー師を含む市民12人がタッル・ビーア村で遺体で発見された。
複数の活動家によると、シャイフー師らはシャイフー村を占拠したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に背教宣告を受け、処刑されたという。
シャイフー師は2011年11月のアサド大統領によるラッカ市訪問時に、政権を支持する説教などを行っていた。
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SANA(1月3日付)は、スライマーン・アッバース石油鉱物資源大臣の話として、ダマスカス県バイタリーヤ地方およびヒムス県ザーラ村で、反体制武装集団が石油パイプライン2カ所を爆破、これにより首都ダマスカスをはじめとする国内の広い範囲が停電に見舞われたと報じた。
『ハヤート』(1月4日付)によると、このうちヒムス市近郊で爆破されたパイプラインは、タルトゥース県バーニヤース市の発電所に燃料を供給するためのもので、シリア人権監視団によると、これによりタルトゥース県のタルトゥース市、バーニヤース市、およびヒムス県一帯が停電となったという。
レバノンの動き
NNA(1月3日付)は、レバノン捜査当局がDNA鑑定により、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)ハーラト・フライク地区での自爆テロ(2日)の実行犯をクタイバ・ムハンマド・サーティム氏と特定したと報じた。
同報道によると、サーティム氏(20歳)(は北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方出身で、レバノン大学トリポリ校に通っていたが、シリアに潜入し、反体制武装活動に参加していたという。
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レバノン軍司令部は、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方で、シリア領内から不法入国したシリア人4人を逮捕したと発表した。
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『ウォールストリート・ジャーナル』(1月3日付)は、米国防省高官の話として、ヒズブッラーがシリアから高性能の対鑑ミサイル・システムの一部をすでにレバノン領内に持ち込んだと報じた。
ただし、同高官によると、すべての部品の搬入は終わっておらず、システムは作動してないという。
イラクの動き
イラク覚醒大会のアフマド・アブー・リーシャ議長は、AFP(1月3日付)に対し、イラク治安部隊および部族の民兵がアンバール県ラマーディー市などでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、62人の戦闘員を殺害したことを明らかにした。
アブー・リーシ議長によると、62人の戦闘員のうち、アンバール県のダーイシュのアミール、アブー・アブドゥッラフマーン・バグダーディー氏を含む17人がハーリディーヤ市で、46人がラマーディー市で殲滅されたのだという。
またRT(1月3日付)によると、この戦闘で、ダーイシュのラマーディー市におけるアミールも殺害されたという。
諸外国の動き
バレリー・アモス人道問題担当事務次長はニューヨークの国連本部で記者会見を開き、シリアの紛争などについて言及、シリアおよび周辺諸国への人道支援のために65億ドルが必要だと述べた。
アモス人道問題担当事務次長はまた、シリアだけで930万人が支援を必要としており、650万人が避難生活を余儀なくされており、また約230万人が周辺諸国で避難生活を送っていると述べ、紛争の政治的解決の必要を訴えた。
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AFP(1月3日付)は、シリア国内からの化学物質の搬出を行うノルウェーとデンマークの貨物船がキプロスを発ち、シリアのラタキア港に向かったと報じた。
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国境なき医師団は声明を出し、シリア国内での医療活動に協力している5人の活動家が3日晩によって拉致されたと発表した。
AFP, January 3, 2014、AP, January 3, 2014、Champress, January 3, 2014、al-Hayat, January 4, 2014, January 6, 2013、Iraqinews.com, January 3, 2014、Kull-na Shuraka’, January 3, 2014、Naharnet, January 3, 2014、NNA, January 3, 2014、Reuters, January 3, 2014、Rihab News, January 3, 2014、RT, January 3, 2014、SANA, January 3, 2014、UPI, January 3, 2014、 The Wall Street Journal, January 3, 2013などをもとに作成。
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