2014年1月1日のシリア情勢

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月1日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長がアフマド・トゥウマ暫定内閣首班に事前報告なしに、アスアド・ムスタファー国防大臣に200万米ドルを支給したと報じた。

支給の事実を知ったトゥウマ首班はムスタファー国防大臣に資金の返却を求めたが、ムスタファー大臣は100万ドルを返却しただけだという。

なおトゥウマ首班は返却された100万ドルを暫定政府各省に配分したという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ラッカ県タッル・アブヤド国境通行所局長のフサイン・スライマーン氏(シャーム・イスラーム自由人運動)を拉致・殺害したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を「ダーイシュとアサドのテロ体制の関係は有機的な関係であり…、アサドの悪党どもの望みを直接、間接に実現しようとしている」と非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員会委員長は、「シリア国民の殺害だけでなく、過激分子を多数製造したバッシャール・アサドは処罰されるべきだ」としたうえで、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はアサド政権が革命の身体に植え付けた地雷だ」と断じた。

リハーブ・ニュース(1月2日付)が伝えた。

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『ハヤート』(1月2日付)は、シリア人からなる反体制武装集団のダーウド旅団(ハッサーン・アッブード司令官、シャーム・イスラーム自由人運動のハッサーン・アッブード司令官と同姓同名の別人)が、数日前にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に合流した、と報じた。

同報道によると、ダーウド旅団は1,000人の戦闘員を擁する武装集団で、アッブード司令官は、この合流を受け、イドリブ県ダーナー市に隣接する地域の「軍事アミール」に任命されたという。

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『ハヤート』(1月2日付)によると、ハサカ県で活動するタウヒード・ワ・ジハード旅団とイカーブ旅団が合併し、タッル・ハミース市一帯での軍、国防隊、民主連合党人民防衛隊との戦闘に向けて合同作戦司令部を設置した。

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「イスラーム戦線(イスラーム軍)」は副司令官の署名入りで声明を出し、ドゥーマー殉教者旅団がアサド政権の「シャッビーハ」とともに、ダマスカス郊外県のミスラーバー陸橋、シャイフーニーヤ陸橋にある戦線の検問所を占拠し、アサド政権に奉仕し、ムジャーヒドゥーンどうしの内紛を助長していると厳しく批判した。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アキユール地区のマイサルーン病院近く、スッカリー地区、カーディー・アスカル地区、サーフール地区、フィルドゥース地区、マサーキン・ハナーヌー地区を軍が爆撃・砲撃し、複数名が死傷した。

Kull-na Shuraka', January 1, 2014

Kull-na Shuraka’, January 1, 2014

また軍はダイル・ハーフィル市に対しても砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、アズィーズィーヤ村、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、クワイリス村、マアーッラト・アルティーク村、マンスーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ラーシディーン地区、ハナーヌー地区、カスタル・ハラーミー地区、ジュダイダ地区、旧市街、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市、ダーライヤー市、マルジュ・スルターン村一帯に対して、軍が「樽爆弾」で爆撃を行った。

またカフルバトナー町、サクバー市、ザムラーニー村に対しても、軍は砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ムライハ市および同市周辺、アドラー市(旧市街)、アーリヤ農場、ザバダーニー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、ハラスター市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカッサーア地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民2人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市インシャーアート地区、旧市街に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月1日付)によると、ヒムス市クスール地区、ガースィビーヤト・ナイーム村、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、キースィーン村、ハワーラ村、バアユーン村、タルビーサ市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市クスール地区にある検閲査察局ビル近くに迫撃砲弾が着弾した。死傷者はなかった。

一方、SANA(1月1日付)によると、サラーキブ市南西部、アブー・ズフール町西部、ブワイティー村、マアッラト・ヌウマーン市、イドリブ中央刑務所周辺、バーブッラー村、イドリブ市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、イドリブ市内中心部に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾3発が着弾した。

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ダルアー県では、SANA(1月1日付)によると、ジーザ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ファッルージャ・ハウラーン旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月1日付)によると、ムーリク市西部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ヒズブッラーの前線司令官フサイン・サラーフ・ハビーブ氏(アブー・アリー・リダー)の葬儀がベカーア県バアルベック市で執り行われた。

ハビーブ氏(30歳)は2013年5月のヒムス県クサイル市奪還戦でシリアの反体制武装集団に捕捉され、1週間前にクサイル市近郊で遺体が発見されていた。

AFP(1月1日付)が伝えた。

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NNA(1月1日付)などによると、シリア軍機がベカーア県バアルベック郡アルサール地方に領空侵犯し、同地を爆撃した。

イラクの動き

リハーブ・ニュース(1月1日付)によると、イラク当局は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアンバール県の広範囲を制圧し、ファッルージャ市などの治安状況が悪化している、と発表した。

イラク当局によると、イラク軍のテロ撲滅部隊がダーイシュに制圧された地域の奪還を準備しているという。

これに関して、イラキー・ニュース(1月1日付)は、治安筋の話として、正体不明の武装集団がラマーディー市南西部の警察署4カ所を制圧しようとして放火し、全焼したと報じた。

また、イラク陸軍のアリー・ガイダーン司令官は、イラキー・ニュース(1月1日付)に「アンバール県でのテロは終わっていないが、我々は都市、砂漠であらゆるテロリストと戦うだろう」と述べた。

諸外国の動き

『ラディカル』(1月1日付)は、ハタイ県クルクハン市・レイハンル市間でトルコ警察が人道支援物資を積んでシリアに向かおうとしていた貨物トラックに隠されていた武器弾薬を発見、押収した。

AFP, January 1, 2014、AP, January 1, 2014、Champress, January 1, 2014、al-Hayat, January 2, 2014、Iraqinews.com, January 1, 2014、Kull-na Shuraka’, January 1, 2014, January 3, 2014、Naharnet, January 1, 2014、NNA, January 1, 2014、Radikal, January 1, 2014、Reuters, January 1, 2014、Rihab News, January 1, 2014、SANA, January 1, 2014、UPI, January 1, 2014などをもとに作成。

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